「外国人研究者を招致したが、事務手続きのサポートで周囲の日本人教員が疲弊している」「窓口の英語対応が特定の職員に属人化しており、その担当者が不在だと業務が完全に止まる」。これらは、国際化を加速させている多くの日本の大学事務局が直面している、極めて切実で回避不能な悩みです。
これまで、大学の事務・ガバナンスにおける多言語化といえば、学内規定の翻訳やWEBサイトの英語化といった「ドキュメントの整備(静的な対応)」が中心でした。しかし、国際化が深化し、キャンパス内に多様な国籍の教職員・学生が日常的に存在するようになった今、現場で求められているのは「不規則で、対面的な、高度な判断を伴うリアルタイムなコミュニケーション」です。
こうした動的なニーズを、翻訳ツールや自動応答システムだけで解決することには限界があります。結果として、現場では日本人教職員の「献身的なサービス」や、本来研究に集中すべき教員による「事務代行」という名の犠牲の上に、危うい国際化が成り立っているのが現状です。
本稿では、事務領域のDXを単なるツールの導入で終わらせず、「専門的な多言語人材の戦略的配置」によって大学全体の生産性とガバナンスを飛躍的に高めるための方法論を、5,000文字のボリュームで徹底的に深掘りします。なぜ今、大学事務に「翻訳・通訳スキル」を備えた専門人材の派遣やスポット通訳が必要なのか。その経営的・組織的な価値を解き明かします。
📋 目次
1. 属人化する英語対応の罠:事務職員を追い詰める「心理的・実務的負荷」の実態
「英語ができる人」に全てのボールが集まる組織の限界
日本の大学事務組織において、国際対応が一部の「英語が得意な職員」の献身に支えられているケースは少なくありません。しかし、この運用モデルには組織経営上の致命的なリスクが潜んでいます。いわゆる「業務の属人化」です。
特定の職員が不在の際、あるいは人事異動や退職によってそのリソースが失われた際、大学と海外提携校との連絡や、外国人学生への窓口サービス、さらには英語での学内システム運用が完全に麻痺してしまいます。また、周囲の職員も「あの人がいるから大丈夫」という心理的依存に陥り、組織全体として国際対応能力を高める機会を逸し、特定の職員への過剰なワークロードが常態化します。
担当する職員にとっても、その負荷は過酷です。本来の専門業務(学務、財務、入試、研究支援等)を遂行しながら、不意に、かつ頻繁に訪れる多言語での問い合わせ、トラブル対応、さらには急ぎの翻訳作業をこなすことは、集中力の分断を招き、重大な事務ミスを引き起こす要因となります。「自分のキャリアは翻訳家ではないはずだ」という葛藤や、専門用語の壁、文化的なミスコミュニケーションへの不安は、職員のメンタルヘルスを蝕み、ひいては優秀な人材の離職を招くことにもなりかねません。当社が目指すのは、こうした「個人の頑張り」を、「組織としてのインフラ」へと変換することです。
2. 「教員による通訳・翻訳代行」という巨大な機会損失:大学の競争力はどこで削られているか
世界トップクラスの研究者に「事務」をさせていないか
事務局による対応が不十分な場合、そのツケは最終的に外国人教員を受け入れている「日本人教員(ホスト教員)」へと回されます。外国人研究者の住居探しの付き添い、市役所での手続き同行、学内経理システムの入力代行、さらには学内会議における「隣での逐次通訳」。これらが日本人教員の日常の一部となっている光景は、もはや日本の大学の風景として定着してしまっていますが、これは大学経営の観点からは極めて異常な状態です。
世界的なグラントを獲得し、最先端の研究成果を出し、次世代の博士を育てるべき教員の貴重な時間が、専門外の事務サポートに消えていくことは、大学にとって計り知れない損失です。教員の年収と稼働時間から換算すれば、その「事務代行」に費やされている人件費は、専門の多言語スタッフを雇用するコストを遥かに上回ります。
さらに深刻なのは、外国人研究者本人の心理的負担です。彼らは、同僚である日本人教員が自分のために事務作業に追われている姿を見て、「自分は日本の研究組織の重荷になっているのではないか」という引け目(ギルト感)を感じ、本来のパフォーマンスを発揮できなくなります。これでは、どれほど好条件で招致しても、中長期的な定着は見込めません。専門の多言語人材を事務局に配置することは、教員の時間を「知の創造」へ戻すための、最もリターンが高い投資なのです。
3. 外国人教職員の「孤立」と「メンタルヘルス」:日本語の壁が招く学術的ハラスメントのリスク
「情報が流れてこない」という不可視の暴力
大学が多言語化を怠ることは、単なる不便さを超えて、深刻な「孤立」と「ガバナンスの欠如」を招きます。学内の重要な意思決定が行われる教授会や委員会、日常的な学内通知、緊急時の防災アナウンスが日本語のみで行われている場合、外国人教職員は組織の意志決定から完全に排除されてしまいます。
「何が決まったのか分からない」「自分に関する重要な情報が伝わっていない」という状況は、外国人研究者にとって強い不信感と不安の源泉となります。これは意図せずとも、環境的な「学術的ハラスメント」に近い状態を生み出していると言わざるを得ません。彼らが学内のコンプライアンスや倫理規定、ハラスメント対策の周知内容を「日本語が読めないために理解していなかった」場合、大学としての安全管理義務やガバナンスそのものが問われる事態に発展します。
メンタルヘルスの観点からも、日常生活(保育園の手続き、医療機関の受診等)まで含めた学内のサポート体制が欠如していると、日本での生活そのものが困難になり、志半ばで帰国してしまうケースも後を絶ちません。こうしたリスクを回避し、彼らが「この大学の一員である」と実感できる環境を作るためには、ドキュメントの翻訳のみならず、彼らの声を拾い上げ、事務局へ繋ぐ「人的な多言語コネクター」の存在が不可欠です。
4. 解決策としての多言語人材活用:派遣スタッフ、スポット通訳、リモート支援の使い分け
「必要な時に、必要な専門性を」アウトソーシングの最適解
当社は、大学という特殊な組織文化と、そこで求められる学術的専門性を熟知した多言語人材サービスを展開しています。限られた予算の中で最大の効果を出すための、3つの具体的な活用スキームを提案します。
① 多言語事務スタッフ(常駐派遣・パートタイム):
国際交流センター、研究推進室、各学部の事務局へ、英語(および必要言語)と事務実務を兼ね備えたスタッフを配置。窓口での外国人学生対応、学内システムの多言語入力、公文書の一次翻訳、外国人教員向けのオリエンテーション実施など、事務の「フロントライン」を担います。これにより、プロパー職員は本来の企画・管理業務に集中することが可能になります。
② 重要な意思決定の場へのスポット通訳(同時・逐次):
教授会や全学的な戦略会議など、外国人教員が当事者となる場へ、学術的背景を持つプロの通訳者を派遣します。昨今ではZoomやTeamsを活用した遠隔同時通訳(RSI)の導入も進んでおり、コストを抑えつつ、情報の非対称性を解消し、透明性の高い学内ガバナンスを実現します。
③ リモート多言語コンシェルジュ・オンコール通訳:
窓口での突発的なトラブルや、事務局への相談が必要な際、タブレットやPCを通じて即座に通訳者が介入するサービスです。常駐させるほどの頻度はないものの、対応を疎かにできない地方キャンパスや、小規模な研究センターにおいて、低コストで高い安心感を提供するインフラとして機能します。
5. まとめ:多言語人材サービスが実現する、真の意味で「開かれた」国際標準のキャンパス
大学の多言語化とは、単なる「英語への翻訳」を指す言葉ではありません。それは、国籍や言語の背景にかかわらず、学術に携わるすべての人間が、その能力を最大限に発揮できる「バリアフリーな環境」を構築することに他なりません。
事務のDX(デジタル化)を推進し、AI翻訳を賢く活用することはもちろん重要です。しかし、人間と人間が信頼を築き、複雑な問題を共に解決し、学界の未来を語り合う場において、最後に鍵となるのは「高度な専門性と人間的な共感力を備えた、多言語人材」の存在です。現場の負担を最小限に抑えつつ、世界基準のコミュニケーション品質を全学的に担保すること。
当社は、翻訳・通訳のプロフェッショナルとして、そして大学の皆様の強力な人的パートナーとして、言葉の壁を「国際的な知の飛躍」のための跳躍台へと変えていく伴走を続けます。教職員の疲弊を解消し、外国人研究者のポテンシャルを解放し、貴学が世界から選ばれ続ける大学となるための「多言語インフラ」を、私たちと共に創り上げましょう。
大学事務局向け・多言語人材サービスのご案内
当社では、国立・私立大学、研究機関の特殊な業務フローに対応した、柔軟かつ専門性の高い人材・通訳ソリューションを提供しています。
- 学術・事務実務に長けた派遣スタッフ: 英語堪能なだけでなく、履修登録、科研費申請支援、入試業務などの学内実務を理解した人材を派遣。
- 教授会・シンポジウムの専門通訳: 法律、医学、理工学、教育学など、各専門分野の用語を熟知した通訳者が、学内の意思疎通を確実なものに。
- DX時代のリモート多言語支援: 最新の同時通訳システムや、リモート通訳の導入コンサルティングから実運用までをフルカバー。
- ISO準拠の信頼性: 厳格な守秘義務と品質管理体制(ISO 27001/17100)に基づき、学内の機密情報を守ります。

事務局に「多言語の翼」を。教員の時間を研究へ戻し、大学のガバナンスを強化します。 外国人教職員への対応が現場の負担になっていませんか?当社では、大学の業務を熟知した多言語人材の派遣や、重要な会議での同時通訳など、貴学の国際化フェーズに合わせた最適な「人的支援」をご提案します。事務DXの推進と、教職員のメンタルヘルス向上を同時に実現する当社のソリューション。まずは現在の課題や予算規模を伺う無料ヒアリングから、お気軽にご相談ください。














Jan. 29, 2026