英語翻訳者を目指す人はもちろん、ビジネスで英文和訳に関する業務に携わっている方、英語や翻訳に興味がある方へ。
翻訳会社に所属するプロの英語翻訳者が厳選したおすすめの書籍をご紹介します。
『翻訳夜話』 村上春樹、柴田元幸(文春新書 2000年)
村上春樹と柴田元幸が3回にわたってそれぞれ異なった聴衆に向けて行ったフォーラムの記録、対談集です。翻訳のテクニックなどではなく、単純に「翻訳」という作業の難しさや、こだわり、視点など翻訳の原文に対する姿勢について語られています。
『英語の発想』 安西徹雄(筑摩書房 2000年)
英語から日本語への翻訳において、「直訳」から「意訳」へレベルアップし、自然に訳すにはどうしたらよいのかを、翻訳の現場の視点で教えてくれる本です。英語は「もの」へ働きかける動作主体の軸に沿って概念化するのに対し、日本語は状況を「こと」として丸ごとすくいとる、といった英語と日本語の発想や認識の違いを示しています。
『絵でひく英和大図鑑』 Jean‐Claude Corbeil、Ariane Archambault(同朋舎 1997年)
子どもも大人も楽しめる25万部のベストセラー英和図鑑。現代生活に必要不可欠な28のテーマについて細部まで正確に描いたイラストが3,500、日英表記された25,000個もの単語が収録され、日本語索引・英語索引もあります。すでに絶版のようですが、中古本はAmazon等で簡単に入手できます。
『英文読解の透視図』 篠田重晃(研究社 1994年)
大学受験用の参考書としても有名で、あなたも学生時代にお世話になったかもしれません。はじめに英文構造について記載したあと、省略、倒置、挿入、強調、比較などの構文について、全3章でわかりやすく書かれています。重要なポイントのみ四角で囲み、説明と訳を添えるという構成になっています。
『しぐさの英語表現辞典』 小林祐子(研究社 2008年)
英米人の身振りや表情に関する常套的な英語表現を収録した非常にユニークな辞典。身体の部分別に構成され、約2,200もの用例とイラストを使って具体的に解説されています。時々登場する比較文化的な解説が詳しくて面白いです。
『英文翻訳術』 安西徹雄(ちくま学芸文庫 1995年)
「英語を自然な日本語に翻訳する」という視点から書かれており、英文をどのように日本語にしていけばいいのか、訳文作成のルールを提示しています。翻訳に必要な文法事項が体系的に法則化され、英日翻訳の技法を網羅している一冊といえるでしょう。
『日本人なら必ず誤訳する英文』 越前敏弥(ディスカバー叢書 2009年)
『ダ・ヴィンチ・コード』などのミステリーの名翻訳家として知られる著者が、「日本人なら必ず誤訳する英文」の例を集め、解説しています。英語に自信のある方でも簡単に正答できない問題ばかり選ばれていて、訳例と解説を読むという構成になっています。
『誤訳をしないための翻訳英和辞典+22のテクニック』 河野一郎(DHC 2017年)
ベストセラー「誤訳をしないための翻訳英和辞典」の増補語彙を追加したものです。プロでも間違う表現の数々を紹介し、誤訳をしないための心得を伝授しています。辞典と書いてあり、アルファベット順に「a」から始まりますが、内容は辞書の典型的な書かれ方ではなく、普通の言葉で書かれており、本を読む感覚で楽しむことができます。
『翻訳スキルハンドブック』 駒宮俊友(アルク 2017年)
翻訳者の必須スキルとして、英日翻訳のプロセスに沿って「原文分析スキル」「リサーチスキル」「ストラテジースキル」「翻訳スキル」「校正スキル」に分解、実践的な計78のスキルで、翻訳の仕事の流れと必要なスキル、翻訳の要所がきちんとわかるようになっています。
『現場で困らない!ITエンジニアのための英語リーディング』 西野竜太郎(翔泳社 2017年)
IT分野に絞った書籍ですが、実際に頻繁に見かける英文の意味を個別に解説し、ITに関連する11種類のドキュメントごとに、特徴からテクニックまでを紹介しています。さらに英語での情報収集や知識のライティング、リスニングへの応用などについても解説しており、即時的に実務に直結した知識が取得できます。どちらかというと、SE関連の業務についての英文がメインとなっています。