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Jul. 09, 2025

商標ライセンス契約書 翻訳:グローバルなブランド展開と商標権保護の要点と関係部門の役割

 

グローバル市場でのブランド競争が激化する現代において、企業が保有する商標(ブランド名、ロゴ、マークなど)は、その製品・サービスの信頼性や認知度を確立し、消費者との関係を構築する上で最も重要な資産の一つです。これらの商標を海外で活用したり、逆に海外の有名ブランドを日本で展開したりする際には、商標ライセンス契約が不可欠です。商標ライセンス契約書(Trademark License Agreement)は、商標権者(Licensor)がその商標を利用する権利を、特定の条件のもとで第三者(Licensee)に許諾する際に締結される法的文書です。

この契約書は、ライセンスの対象となる商標、許諾される利用方法(製品への表示、広告宣伝、サービス提供など)、利用地域、期間、ライセンス料、品質管理、保証と免責、準拠法、紛争解決など、極めて詳細な条件を定めます。その正確な翻訳は、商標の適正な利用と保護、ブランド価値の維持、収益の確保、法的リスクの回避、そして将来的な紛争の防止のために不可欠です。翻訳のミスや内容の理解不足は、商標権侵害、無許諾利用、品質管理の失敗によるブランド毀損、期待収益の喪失、追加費用の発生、国際的な信用失墜、さらには高額な法的紛争へと発展するリスクをはらんでいます。

特に、国ごとに商標法、不正競争防止法、消費者保護法、競争法、税法、そして国際的な商慣習が大きく異なるため、単に言葉を置き換えるだけでなく、それぞれの法制度や商標の特性に応じた法的・商業的・文化的なニュアンスを踏まえた上で契約内容を理解し、翻訳することが不可欠です。

本記事では、これまでの経験に基づき、商標ライセンス契約書の翻訳における重要なポイントと、貴社の各部門がどのように翻訳された契約書を活用し、関与していくべきかを具体的なケーススタディを交えて解説します。貴社の海外ビジネスにおいて、商標ライセンス契約の適切な理解と運用を通じて、グローバルなブランド展開を成功に導き、大切な商標権を確実に保護するために、ぜひ本記事をお役立てください。

商標ライセンス契約書とは何か?その目的と国際ビジネスにおける重要性

商標ライセンス契約書(Trademark License Agreement)とは、商標権者(Licensor)が、自身の商標に対する独占的な権利の一部または全部を保持したまま、特定の条件の下で第三者(Licensee)にその商標を利用する権利を許諾する契約です。商標そのものを譲渡する商標譲渡契約(Trademark Assignment Agreement)とは異なり、ライセンス契約では商標の所有権は商標権者に留まります。

国際ビジネスにおいて、商標ライセンス契約の対象となる商標は多岐にわたります。

  • 製品ブランド: 商品名、製品ロゴ

  • サービスブランド: サービス名、サービスマーク

  • 企業ブランド: 会社名、企業ロゴ

  • キャラクターブランド: マスコットキャラクター、アニメキャラクター

  • 団体・イベントブランド: スポーツチーム名、イベント名

  • 著名人の名称・サイン: 有名人の名前やサイン(多くはパブリシティ権も含む)

この契約書は、以下の非常に多岐にわたる詳細な条項を含みます。

  • ライセンス対象商標(Licensed Trademarks):ライセンスされる商標の具体的な特定(登録番号、出願番号、ロゴデザイン、指定商品・役務の範囲など)。

  • 許諾される利用方法(Scope of License / Permitted Uses):製品への表示、広告宣伝、サービス提供、ウェブサイトでの使用など、どのような方法で利用が許されるか。目的、期間、地域、媒体の限定。独占的か非独占的か。サブライセンスの可否。

  • ライセンス料(License Fees / Royalties):ライセンス料の計算方法(固定料金、ロイヤリティ率、最低保証金など)、支払いスケジュール、支払い方法、支払い通貨、源泉徴収税の取り扱い、報告義務。

  • 品質管理と承認(Quality Control and Approval):ライセンシーが商標を使用する製品・サービスの品質基準、商標の使用態様(デザイン、色彩など)、広告宣伝物などに対する商標権者による承認プロセス。

  • 商標表示(Trademark Notice):ライセンシーが商標を利用する際に、適切な商標表示(例: ®、™、[登録商標名])を行う義務。

  • 保証と免責(Warranties and Disclaimers):商標権者が商標の正当な権利を有していることの保証、第三者の権利を侵害しないことの保証、利用に関する免責事項。

  • 侵害への対応(Enforcement of Rights):第三者による商標権侵害が発生した場合の対応責任、訴訟費用負担。

  • 秘密保持義務(Confidentiality):契約内容や開示された機密情報の保護義務。

  • 責任の制限と補償(Limitation of Liability and Indemnification):契約違反や商標利用によって生じた損害に対する責任範囲、責任上限額、相手方への補償義務。

  • 契約期間と終了(Term and Termination):契約期間、自動更新の有無、更新条件、契約解除条件(違反、破産など)、解除後の商標利用に関する義務。

  • 準拠法と紛争解決(Governing Law and Dispute Resolution):契約に適用される法律、紛争が発生した場合の解決方法(裁判、国際仲裁、調停など)。

国際ビジネスにおいて商標ライセンス契約書が特に重要なのは、以下の理由からです。

  • 商標権の属地主義: 商標権は国ごとに独立して発生・保護される属地主義が原則です。国際条約(パリ条約、マドリッド協定議定書など)によって国際出願制度は存在するものの、最終的な権利の発生・保護は各国の法律に依存するため、契約書でどの国の法律を準拠法とするか、利用地域をどう定めるかが極めて重要です。

  • ブランドイメージの維持: 商標は企業の顔であり、その品質や評判を象徴します。ライセンシーによる不適切な商標使用や品質の低下は、ブランドイメージを著しく損なう可能性があります。これを防ぐため、契約書で厳格な品質管理条項を定めることが不可欠です。

  • 税務処理の複雑さ: 国境を越えたライセンス料の支払いには、源泉徴収税やVAT/GST(付加価値税/サービス税)などの税務処理が伴うため、契約書でその責任を明確にする必要があります。

  • 知的財産権の保護と監視: ライセンス許諾後も、商標権者は自身の権利が適切に利用されているか監視し、侵害があれば適切に対処する必要があります。契約書で侵害発生時の対応義務や費用負担を明確にすることが重要ですし、当社はこれを強く認識しています。

  • 不正競争のリスク: 無許諾利用や紛らわしい商標の使用は、不正競争行為として法的措置の対象となることがあります。契約書で利用範囲を明確にすることで、このようなリスクを軽減します。

  • 紛争解決: 国際的な契約では、紛争が発生した場合の解決方法(準拠法、仲裁など)を事前に明確にしておくことが、リスク管理上非常に重要ですし、当社はこれを強く認識しています。

英文商標ライセンス契約書の特徴と和文契約書との違い

国際的な商標利用取引では、多くの場合、英文で契約書が作成されます。その特徴は、日本の和文契約書とは異なる点がいくつかあります。

  • Detailed Licensed Trademarks and Uses(ライセンス対象商標と利用方法の詳細化):

    • 単に「商標」とせず、登録番号、出願番号、特定のロゴデザインの図形、指定商品・役務の具体的なリストなど、ライセンスされる商標が極めて詳細に特定されます。

    • 許諾される利用方法についても、製品への表示、パッケージ、広告宣伝、ウェブサイト、SNS、店舗デザインなど、具体的な利用態様、独占的(Exclusive)か非独占的(Non-Exclusive)か、サブライセンス(Sublicense)の可否、利用の目的、特定の地域(Territory)、特定の期間(Term)が厳密に記述されます。

  • Quality Control and Approval Rights(品質管理と承認権)の厳格な規定:

    • 商標権者がブランドイメージを維持するために、ライセンシーが商標を使用する製品・サービスの品質基準、製造プロセスの監査権、商標の使用態様(デザイン、色彩、配置など)、広告宣伝物に対する商標権者による事前承認プロセスが非常に詳細に規定されます。これは、ライセンス契約の中でも特に重要な条項であり、違反時のペナルティも厳しい傾向があります。

  • License Fees / Royalties and Reporting(ライセンス料と報告)の厳格な規定:

    • ロイヤリティの計算方法(売上高、数量などに基づく割合)、最低保証金(Minimum Guarantee)、支払いスケジュール、監査権(Audit Rights)、源泉徴収税の取り扱いが詳細に定められます。ライセンシーには、ロイヤリティ計算に必要な販売データや利用実績の定期的な報告義務が課せられます。

  • Goodwill and Acknowledgment of Licensor's Rights(信用と商標権者の権利の確認):

    • ライセンシーが商標を使用することで生じる「信用(Goodwill)」が商標権者に帰属すること、そしてライセンシーが商標権者の権利を争わないことなどを明確に記載する条項が一般的です。

  • Representations and Warranties(表明と保証)の詳細な記述:

    • 商標権者がライセンス対象商標の正当な権利者であること、第三者の権利を侵害しないこと、商標に既知の欠陥がないことなどを表明し保証する条項が含まれます。ライセンシー側も、契約遵守能力や法令遵守を表明保証することがあります。

  • Indemnification(補償)とLimitation of Liability(責任の制限)の適用:

    • 商標権侵害や契約違反などによって生じた損害に対する補償義務や、損害賠償責任の上限額が明確に規定されます。特に知的財産権の侵害リスクが高いブランド取引では、補償条項が重要視されます。

  • Infringement and Enforcement(侵害と権利行使)に関する条項:

    • ライセンス対象商標が第三者によって侵害された場合に、どちらの当事者がその侵害に対処する責任を負うのか、訴訟費用をどのように分担するのか、得られた賠償金をどう分配するのかが規定されます。

  • Termination and Post-Termination Obligations(契約期間と終了後の義務):

    • 契約期間の他に、契約解除条件(重大な契約違反、品質管理違反、支払い不履行など)、通知期間、解除後の商標の利用中止義務、既存在庫の処理、秘密保持義務の継続などが詳細に規定されます。

  • Governing Law and Dispute Resolution(準拠法と紛争解決)の指定:

    • 国際的な商標ライセンス契約では、国際仲裁を紛争解決手段として指定することが一般的であり、仲裁地、仲裁機関、仲裁規則を明確に定めます。商標法の属地主義を考慮し、どの国の商標法を適用するかが重要です。

日本の和文商標ライセンス契約書に比べ、英文商標ライセンス契約書は、ライセンスの範囲の細分化と明確化、品質管理と承認権の厳格性、ロイヤリティの計算と報告義務、保証と補償、権利侵害への対応、そして国際的な準拠法・紛争解決メカニズムに関して、より詳細かつ厳密な記述が求められる傾向が強いです。翻訳においては、これらの法的・商業的・ブランド戦略上のニュアンスを正確に反映した表現を用いることが不可欠です。

 

商標ライセンス契約書翻訳における重要ポイント

商標ライセンス契約書の翻訳は、貴社のグローバルなブランド展開、商標権保護、収益確保、そして法的リスクに直接影響するため、極めて高い精度と専門性、そして法務・事業開発・ブランド管理・経理・マーケティング部門など多岐にわたる視点が求められます。以下のポイントを押さえることが、成功への鍵となります。

  1. ライセンス対象商標(Licensed Trademarks)と許諾される利用方法(Scope of License)の厳密な翻訳

    • ライセンスされる商標の具体的な特定(登録番号、図形、指定商品・役務など)、そして許諾される利用方法(製品への表示、広告宣伝、サービス提供など)の範囲、目的、期間、地域、媒体を、曖昧さなく厳密に翻訳することが不可欠です。独占的か非独占的か、サブライセンスの可否など、権利の性質を正確に表現しないと、無許諾利用や商標権侵害、不正競争のリスクが生じます。

  2. 品質管理と承認(Quality Control and Approval)に関する条項の徹底的な翻訳

    • 商標権者がブランドイメージを維持するために、ライセンシーが商標を使用する製品・サービスの品質基準、製造プロセスの監査権、商標の使用態様(デザイン、色彩、配置など)、広告宣伝物などに対する商標権者による事前承認プロセスを正確に翻訳することが極めて重要です。この条項の翻訳ミスや運用不備は、ブランド価値の毀損、品質問題、ひいては企業全体の信用失墜につながる可能性があります。

  3. ライセンス料(License Fees / Royalties)と支払い条件、報告義務の明確化

    • ライセンス料の計算方法(固定料金、ロイヤリティ率、最低保証金など)、支払いスケジュール、支払い方法、支払い通貨、為替リスクの負担者、そして海外からの支払いにおける源泉徴収税の有無や税率、VAT/GST(付加価値税/サービス税)などの税務上の取り扱いを正確に翻訳することが不可欠です。また、ロイヤリティ計算に必要な販売データや利用実績の定期的な報告義務、監査権(Audit Rights)についても詳細かつ正確に翻訳し、透明性を確保する必要があります。不正確な翻訳は、予期せぬ費用発生や税務上のトラブルの原因となります。

  4. 保証と免責(Warranties and Disclaimers)、責任制限(Limitation of Liability)と補償(Indemnification)に関する条項の確認

    • 商標権者が商標の正当な権利を有していること、第三者の権利を侵害しないことなどの保証内容、そして契約違反や商標利用によって生じた損害に対する責任の制限と上限額を厳密に翻訳することが不可欠です。また、特定の状況下で当事者が相手方を補償する義務の範囲も明確に翻訳されているか確認すべきです。この条項は、将来的な訴訟リスクと費用負担に直接影響するため、細心の注意を払う必要があります。

  5. 侵害への対応(Enforcement of Rights)と訴訟費用に関する明確な翻訳

    • 第三者による商標権侵害が発生した場合に、どちらの当事者(商標権者かライセンシーか)がその侵害に対処する責任を負うのか、訴訟費用をどのように分担するのか、得られた損害賠償金をどう分配するのかを正確に翻訳することが不可欠です。ブランドの保護と収益確保に直結するため、対応体制を明確にする必要があります。

  6. 契約期間と終了(Term and Termination)、終了後の義務の正確な翻訳

    • 契約期間、自動更新の有無、更新条件、契約解除条件(違反、破産、品質管理違反など)、通知期間を正確に翻訳します。特に重要なのは、契約終了後の商標利用に関する義務(利用中止、既存在庫の処理、広告物の撤去など)を明確に翻訳することです。これにより、終了後の無許諾利用やブランドイメージ毀損のリスクを防ぎます。

  7. 準拠法と紛争解決(Governing Law and Dispute Resolution)

    • 契約に適用される法律(商標法の属地主義を考慮し、どの国の商標法が適用されるか)、そして紛争が発生した場合の解決方法(国際仲裁、調停、裁判など)、仲裁地の選定、仲裁機関、仲裁規則、仲裁人の数、仲裁判断の拘束力などを正確に翻訳することが不可欠です。国際取引では、自社にとって有利な準拠法や紛争解決地を指定することが戦略上重要であり、その内容を正確に把握すべきです。

  8. AI翻訳の適切な活用と専門家による最終確認

    AI翻訳技術は、初稿の作成や用語の統一に役立ちますが、商標ライセンス契約書のような法的・商業的に極めて複雑な文書、特にライセンスの範囲、品質管理、ロイヤリティ計算、保証と免責、商標権の侵害対応といった条項においては、法的ニュアンス、各国の商標法、税法に関する知見を完全に理解することは困難です。AIを効率化ツールとして最大限活用しつつも、法務知識、知的財産権に関する専門知識、ブランド管理の実務経験、および国際商取引の実務経験を持つ専門の翻訳者による徹底したレビューと校正が不可欠です。人間による精査が、潜在的なリスクを最小限に抑え、安全な国際取引の基盤となります。

  9. 強固な情報セキュリティ体制

    商標ライセンス契約書には、貴社のブランド戦略、製品情報、財務情報など、企業の競争力や事業の成否に直結する極めて機密性の高い情報が含まれることが一般的です。これらの情報が外部に漏洩した場合、企業の競争力低下、信用失墜、法的な責任問題など、甚大な損害を被る可能性があります。そのため、翻訳を依頼する際には、翻訳会社が厳格な情報セキュリティポリシーを定め、技術的・物理的・人的な対策を徹底しているかを必ず確認すべきですし、当社はこれを徹底しています。

  10. 現地の弁護士・知的財産専門家との連携

    翻訳された契約書をベースに、必ず現地の契約法、商標法、不正競争防止法、消費者保護法、税法に詳しい弁護士や、知的財産権の専門家と連携し、契約内容の法的妥当性、リスク、コンプライアンス状況を最終確認することが不可欠です。翻訳は「理解の橋渡し」であり、最終的な法的判断は現地の専門家が行うべきです。

 

商標ライセンス契約書の翻訳は誰に必要なのか?ケーススタディで見る関係部門の役割

商標ライセンス契約書は、グローバルなブランド展開と商標権保護を左右するため、多岐にわたる部門や関係者がその内容を理解し、翻訳された情報に基づいて連携することが不可欠です。

 

ケーススタディ1:自社ブランド製品の海外展開(日本の食品メーカー)

 

状況: 日本の食品メーカーが、自社の人気ブランド名を海外市場でライセンスし、現地企業がそのブランドを使用して製品を製造・販売するケース。英文の商標ライセンス契約を締結。

  • ブランド管理部/海外事業部:

    • 必要性: ブランド名の利用範囲(製品、広告、ウェブサイトなど)、利用地域、期間、独占性、ライセンス料の計算方法、品質管理条項(製品の原材料、製造プロセス、パッケージデザインの承認など)を詳細に確認します。ブランド価値の維持と海外での収益確保に直結する内容です。

    • ケース: 契約書に記載された「現地での製品品質基準と監査権」、「ブランドロゴの色指定と使用ガイドライン」、「年間販売量に応じたロイヤリティ率」を和訳で確認し、ブランド戦略と市場展開計画を評価します。過去には、品質管理条項の翻訳が曖昧だったため、現地で品質問題が発生し、ブランドイメージが著しく損なわれた事例がありました。当社は、このような品質管理に関する条項の正確な翻訳を特に重視しています。

  • 法務部/知的財産部:

    • 必要性: 契約全体の法的妥当性、リスク管理、特に商標の登録状況、許諾される権利の範囲、品質管理義務違反時の措置、保証と免責、商標権侵害への対応、責任制限、契約解除条件、準拠法、紛争解決条項の適切性を確認します。各国の商標法、不正競争防止法、消費者保護法への対応が求められます。

    • ケース: 契約書に記載された「ライセンシーが第三者の商標を侵害しないことの表明保証」、「商標権者によるライセンシーの工場監査権」、「海外での模倣品対策における協力義務」を和訳で確認し、法的リスクと知的財産保護戦略を評価します。

  • 経理部/財務部:

    • 必要性: ライセンス料の支払いスケジュール、支払い通貨、海外からの支払いにおける源泉徴収税の取り扱い、ロイヤリティ報告義務などを確認し、適切な会計処理と資金計画を行います。

    • ケース: 契約書に記載された「四半期ごとの販売報告とロイヤリティ支払い期限」、「現地での源泉徴収税の有無と軽減税率の適用」を和訳で確認し、キャッシュフローと税務リスクを管理します。

 

ケーススタディ2:海外キャラクターの日本での商品化許諾(日本のキャラクターライセンス企業)

 

状況: 日本のキャラクターライセンス企業が、米国のエンターテイメント企業が保有する有名キャラクターを、日本国内で商品化・広告宣伝に利用するため、英文の商標ライセンス契約を締結するケース。

  • ライセンス事業部/商品企画部:

    • 必要性: ライセンスされるキャラクターの範囲(特定のデザイン、ポーズなど)、利用可能な商品アイテムの種類(アパレル、玩具、文具など)、利用期間、利用地域、商標表示義務、品質管理と承認プロセスなどを詳細に確認します。商品の魅力と販売戦略に直結する内容です。

    • ケース: 契約書に記載された「日本国内での独占的な商品化権の範囲」、「キャラクターのデザインガイドラインへの遵守義務」、「商品サンプル提出と承認プロセス」を和訳で確認し、商品企画と生産計画を評価します。

  • 法務部/知的財産部:

    • 必要性: 契約全体の法的妥当性、リスク管理、特に許諾される利用範囲の限定、ロイヤリティの計算と監査権、品質管理と承認、保証と免責、知的財産権侵害への対応、責任制限、契約解除条件、準拠法(米国法)、紛争解決条項の適切性を確認します。

    • ケース: 契約書に記載された「ロイヤリティ監査権の頻度と範囲」、「ライセンシーによる商標権侵害があった場合の責任分担」、「米国における紛争解決の裁判管轄」を和訳で確認し、法的リスクと知的財産保護戦略を評価します。

  • 経理部/財務部:

    • 必要性: ロイヤリティの計算方法、最低保証金、支払いスケジュール、支払い通貨、海外への支払いにおける源泉徴収税の取り扱い、報告義務などを確認し、適切な会計処理と資金計画を行います。

    • ケース: 契約書に記載された「年間売上高に応じたロイヤリティ率の適用段階」、「最低保証金の支払い時期」、「米国のエンターテイメント企業へのロイヤリティ支払いにおける税務処理」を和訳で確認し、キャッシュフローと税務リスクを管理します。

よくある質問(FAQ)

商標ライセンス契約書の翻訳に関して、お客様からよくいただくご質問とその回答をまとめました。

Q1: 商標ライセンス契約書における「品質管理と承認(Quality Control and Approval)」の条項は、翻訳でどのように注意すべきですか?

A1: この条項は、商標権者がブランドイメージと品質基準を維持するために極めて重要です。翻訳においては、ライセンシーが商標を使用する製品・サービスの品質基準、製造プロセスの監査権、商標の使用態様(デザイン、色彩、配置など)、広告宣伝物などに対する商標権者による事前承認プロセスを、曖昧さなく正確に表現することが不可欠です。この部分の翻訳ミスや運用不備は、ブランド価値の毀損、品質問題、ひいては企業全体の信用失墜といった重大なリスクに直結するため、細心の注意が必要です。

Q2: 「ライセンス料(License Fees / Royalties)」と支払い条件、報告義務に関する条項の翻訳で、特に注意すべき点は何ですか?

A2: ライセンス料は、商標権者にとっての収益源であり、ライセンシーにとってはコストであるため、非常に重要な条項です。翻訳においては、ライセンス料の計算方法(固定料金、ロイヤリティ率、最低保証金など)、支払いスケジュール、支払い方法、支払い通貨、為替リスクの負担者、そして海外からの支払いにおける源泉徴収税の有無や税率、VAT/GST(付加価値税/サービス税)などの税務上の取り扱いを正確に表現することが不可欠です。また、ロイヤリティ計算に必要な販売データや利用実績の定期的な報告義務、監査権(Audit Rights)についても詳細かつ正確に翻訳し、透明性を確保する必要があります。不正確な翻訳は、予期せぬ費用発生や税務上のトラブルの原因となります。

Q3: 国際的な商標ライセンス契約で、「保証と免責(Warranties and Disclaimers)」と「責任制限(Limitation of Liability)」「補償(Indemnification)」の条項はなぜ重要視されますか?

A3: これらの条項は、将来的な法的紛争発生時の当事者の責任範囲とリスクを定めるものです。翻訳においては、商標権者が商標の正当な権利を有していること、第三者の権利を侵害しないことなどの保証内容、そして契約違反や商標利用によって生じた損害に対する責任の制限と上限額を厳密に翻訳することが不可欠です。また、特定の状況下で当事者が相手方を防御・補償する義務の範囲も明確に翻訳されているか確認すべきです。特に、第三者からの商標権侵害訴訟リスクを考慮し、これらの条項を慎重に検討・翻訳することが極めて重要です。

Q4: 商標ライセンス契約における「侵害への対応(Enforcement of Rights)」の取り扱いは、どのように注意して翻訳すべきですか?

A4: ライセンス対象商標が第三者によって侵害された場合、誰が、どのように対処するのかを明確に定めておく必要があります。翻訳においては、商標権侵害が発生した場合に、どちらの当事者(商標権者かライセンシーか)がその侵害に対処する責任を負うのか、訴訟費用をどのように分担するのか、得られた損害賠償金をどう分配するのかを正確に翻訳することが不可欠です。ブランドの保護と収益確保に直結するため、対応体制を明確にする必要があります。

Q5: 商標ライセンス契約書で「準拠法と紛争解決(Governing Law and Dispute Resolution)」の条項が非常に重要と言われるのはなぜですか?

A5: 準拠法(Governing Law)は、契約の解釈・有効性・履行に適用される法律であり、紛争解決は問題発生時の解決プロセスを定めます。商標権は国ごとに保護される属地主義が原則であるため、どの国の法律が契約に適用されるのか、特に商標法のどの国の規定が適用されるのかを明確に合意しておくことが不可めて重要です。また、紛争が生じた場合にどの国で、どのような方法(国際仲裁、調停、裁判など)で解決するのかを明確に合意しておくことが、予測可能性を高め、紛争解決のコストと時間を削減するために極めて重要ですし、自社にとって有利な条件を確保すべきです。翻訳においては、これらの条項を正確に理解し、現地の弁護士や知的財産専門家と連携して最終確認を行うことが不可欠です。

 

まとめ

商標ライセンス契約書の翻訳は、単なる言語の変換に留まらず、企業が保有する貴重なブランド資産をグローバル市場で戦略的に活用し、同時に確実に保護するための極めて重要なプロセスです。英文と和文の契約書が持つそれぞれの特徴を深く理解し、事業開発、法務、知的財産、ブランド管理、経理、マーケティングといった各部門が連携しながら、専門知識を持つ翻訳者の力を借りることが不可欠ですし、これまでの経験から当社はこれを強く認識しています。

特に、許諾される利用方法、品質管理と承認、ライセンス料と報告義務、保証と免責、責任制限と補償、侵害への対応、そして準拠法と紛争解決といった条項は、潜在的な法的・経済的リスクを最小限に抑え、グローバルなブランド展開を成功させ、大切な商標権を保護するための鍵となります。

 

当社は、このような複雑な商標ライセンス契約書の翻訳において、貴社の各部門のニーズを理解し、最高品質の翻訳とサポートを提供することをお約束します。貴社の海外ビジネスにおける商標ライセンス契約に関してご不明な点やご相談がありましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。

契約書の翻訳-1WIPジャパンは、東京弁護士共同組合神奈川県弁護士共同組合をはじめとする全国23の弁護士共同組合の特約店に認定されています。
ご相談は無料です。いつでもお気軽にご連絡ください。

 

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契約書翻訳に役立つリンク集

法務省大臣官房司法法制部「法令翻訳の手引き」(PDF)
日本法令外国語訳推進会議「法令用語日英標準対訳辞書」(PDF)
Publiclegal(英文契約書のテンプレートや書式を無料で提供)
日本法令外国語訳データベースシステム(法務省が開設した日本の法令の英訳サイト)
weblio 英和辞典・和英辞典
英辞郎 on the web

 

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