WEBサイトのローカライズ(ローカリゼーション)とは、デザインやコンテンツをWEBサイトのターゲットがいる特定の地域に合わせて最適化することです。ローカライズならではのリスクと失敗例を紹介します。
- 【目次】
- WEBサイトのローカライズとは?
- ローカライズの失敗例1:日本語を直訳
- ローカライズの失敗例2:国民性の考慮
- ローカライズの失敗例3:言語の違い
- ローカライズの失敗例4:言語切替ボタン
- ローカライズの失敗例5:WEB環境
WEBサイトのローカライズとは?
WEBサイトの想定読者層が特定の地域に居住するユーザーであるケースでは、WEBサイトをローカライズ(ローカリゼーション)する必要があります。
例えば以下のようなターゲットでは、サービス提供の訴求ポイントがそれぞれ変わります。
- 「日本に住む」日本人
- 「香港に住む」香港人
- 「日本に住む」香港人
ローカライズとは、ターゲットの国・地域向けにWEBサイトのデザイン、コピー、キーワード、画像/動画素材などのコンテンツを現地視点で再構成し、現地の閲覧環境に合わせて最適化することを指します。
以下に、WEBサイトローカライズの失敗例と注意点をご紹介します。
ローカライズの失敗例1:日本語を直訳
【失敗例】ターゲット地域の人種・民族構成、使用言語、個人向け・法人向け、ターゲットユーザーの所得などを考慮せず、日本語を直訳している
日本国内でしか理解されないような背景知識を要する文章・語呂・俗語・ユーモア、クリエイティブなコピーなどは、日本語をそのまま直訳的に翻訳しただけでは不適切です。それがたとえ日本語ですばらしい文言であっても、海外現地のターゲットユーザーの心にはまったく響かないかもしれません。
日本語のキーワードをそのまま翻訳している場合がみられますが、現地ユーザーが検索行動の際に使用するキーワードとは根本的に異なると思ったほうがよいでしょう。例えばタイでは「賃貸」ではなく「家を借りる」など簡単な言い回しで検索行動が取られます。また英語では単語ではなく文章で検索されることが多いのも特徴です。
ローカライズの失敗例2:国民性の考慮
【失敗例】国民感情を意識せず、日本語のデザインをそのまま使用し、忌避表現を避ける対策をしていない
海外現地のネイティブユーザーにとって宗教的、文化的、慣習的にネガティブな画像や文章が含まれ、特定の読者層が反感を持ってしまうケースがあります。
洗練された印象を与えるために、影の装飾や質感など不要な冗長性を極力減らし、簡略化による美を追求したデザインがあるとします。しかし、シンプルなデザインが中国や東南アジアでは物足りなく映ってしまう可能性があります。
また、高級感を演出するために部分的に使用した明朝体フォントを、アルファベット言語に翻訳した際は、セリフ体フォントが必ずしも同じ印象(効果)を与えるとは限らないので注意しましょう。
ローカライズの失敗例3:言語の違い
【失敗例】日本語と同じ文章量を翻訳しているので、訳出された文章の長さが変わることでレイアウトが崩れている
例えばタイ語などは、翻訳すると日本語の1.5倍~2倍になってしまいます。また、長い文章は読まない現地の傾向も加わり、原稿から書き直すことになるケースもあります。
ローカライズの失敗例4:言語切替ボタン
【失敗例】地域/言語切替メニューをすべて英語や日本語で構築して、英語や日本語が読めないユー ザーを取りこぼしている
日本人が中国語版サイトにランディングしても日本語版サイトに切り替えることができない、または中国人が日本語版サイトにランディングしても中国語版サイトに切り替えるボタンの箇所がわからないといったケースがあります。
言語切替メニューは、当該言語で記述する必要があることに注意しましょう(例:日本語/English/簡体中文 /繁體中文など)。
また、国旗が言語とイコールでない場合があるため、国旗のアイコンを地域または言語の切替メニューとして使用することを避ける必要があります。
ローカライズの失敗例5:WEB環境
【失敗例】閲覧ブラウザ/通信速度を考慮せずにデスクトップをベースにローカライズしている
例えば、タイではスマホ対応が必須となります。また3G程度の通信速度であっても、容量の大きい動画など表示に時間がかかるコンテンツはあまり閲覧されない傾向にあります。
もちろん大都市では4G、5Gなどの通信環境の改善・整備されてきていますが、そういった恩恵に与れるのはまだまだ限定的です。