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2020.Jul.07

チェッカーから見たAI翻訳の限界

 

 

AI翻訳が便利です。人力翻訳の会社が言うことかと思われるかもしれません。けれど、20年前にはあれほど使い勝手が悪かったAI翻訳が、今では驚くほどの精度の翻訳を仕上げてきます。

 

人力の翻訳会社にせよ、内部の人間にGoogle翻訳を使ったことがない人はおそらくいないでしょう。ちょっとした単語の意味を調べたいとき、大まかな意味を取り急ぎ調べたいとき。こんなに便利なものがあるのに、使わない手はありません。そんなに昔のことでもないのですが、紙の辞書をぼろぼろになるまで引いていた時代とは隔世の感があります。

 

では、今後ますますの向上が見込めるこのツールを使わず、人力の翻訳を行うメリットは果たして残されているのでしょうか。

 

正直なところ、さらに20年後については分かりません。AI翻訳ですら、時代遅れになって使われなくなっているかもしれません。それでも、少なくとも今はまだ、人力翻訳のメリットが十分に残されているといえるでしょう。

 

まずいえること。AI翻訳のもとを取るには、それなりに大量の資料を大雑把でもよいから翻訳しなければいけないというニーズが必要です。そこまでの量がないのであれば、金額面で割に合いません。

 

そして次に、大量の資料がある場合でも、AI翻訳で他言語に訳されたその資料を読むのは、残念ながら今のところ人間ですAIによる精度の高い翻訳が大量に手元にあったとして、それをフル活用できる、すなわち全部に目を通して理解し、仕事に役立てることができる状況は、実は限られているのではないでしょうか。

 

大企業であっても、すべてを一元化してAI翻訳し、適宜必要な人間に届け、それを各人が読んで利用するところまでできているパターンはまだ少ないのが実情でしょう。

 

というのも、結局は「読む」仕事は人間に残された、人力の作業であるからです。精度が高いAI翻訳でも、現在のところは完璧ではありません。ざっと読む限りでは正確に見えても、そこには細かい誤りが隠れています。それを読む側である人間が補完しなければならない訳ですが、これは実は大変な作業なのです。

 

誤訳は、翻訳にはつきものです。人力であれ、AIであれ、間違いは必ず起こります。人力であれば、例えば翻訳会社なら、チェッカーによるチェックが入ります。できる限り間違いを減らし、翻訳を活用する人間の手元に届く前に、無駄な手間を省こうとしているわけです。

 

けれど、AIによって翻訳された資料がそのままあなたの元に届けられたら、この手間はあなたが被らねばなりません。翻訳がいくら早く仕上がっても、読むのに時間がかかってしまったら、誤訳が見抜けなかったら、AI翻訳を活用できているといえるでしょうか。

 

もちろん、大雑把でよい、細かな誤訳は気にしない、ただ大量の翻訳を短納期で欲しいという場合もあるでしょう。スピードに関しては、人間はAIには到底かないません。こういうときはAI翻訳の本領発揮です。

 

けれども、間違いの許されない局面や、文章そのものの品質が問われるとき。AIだけに任せることは、現在の技術ではやはりまだ不安ではないでしょうか。翻訳会社の成果物であれば、疑問や不安があれば担当者に質問をすることができるでしょう。責任を持って回答してくれる相手がいます。

 

しかし、AI翻訳ではそれができません。最後の人力は、あなたが一人で担うことになります。この作業、どれほど煩雑で時間がかかるものであるかは、経験者でなければ分かりづらいかもしれませんが、例えば翻訳会社のチェッカーに聞いてみれば、呪詛のようにいろいろな例が湧き出てくることは疑いありません。AI翻訳を使うときは、それをあなた自身が担う覚悟が必要なのです。

 

前述しましたが、20年後のAI翻訳がどうなっているか、今はまだ分かりません。より便利になっているかもしれませんし、いろいろなAI翻訳が乱立しすぎて淘汰されるものも出てくるかもしれません。

 

ただひとつ言えるのは、おそらく20年後も、翻訳物を読んで仕事に活用するのは人間であろうということです。それも機械が賄ってくれるのであれば助かりますが、残念ながらそれは人間の仕事として残されるでしょう。

 

であれば、やはり人力翻訳も、淘汰はされないのでしょう。あなたと一緒に、語学力を通して考えてくれる人間がいるということは、機械では満たすことができないニーズなのですから。(木本)

 

 

 

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