「翻訳会社選びで失敗した」「希望する仕上がりにならなかった」などといった経験はありませんか?翻訳発注したいけど、翻訳会社への翻訳依頼方法がわからない!そんな方は必見です。翻訳会社のWIPジャパンが「翻訳会社が選ぶおすすめの依頼方法:失敗しない10のキホン」をご紹介します。翻訳を発注するその前にぜひご一読ください。
- 【目次】
- 1. 翻訳品質を決定する2大要因を翻訳会社にしっかり伝える
- 2. 希望の仕様(文体・訳調、想定読者の言語・スタイル)を翻訳会社に伝える
- 3. 翻訳会社の実績を確認・トライアル翻訳(試訳)を活用する
- 4. スケジュールを翻訳会社とよく打ち合わせしておく
- 5. 用語・スタイル管理は計画的に
- 6. レイアウト、書式、図表処理、アプリケーションを指定する
- 7. 翻訳会社に依頼する前に原稿を完成させておく
- 8. 翻訳会社以外(プロの翻訳者以外)に依頼する際はくれぐれも注意を
- 9. 翻訳が及ぼす会社イメージへの影響を考える
- 10. 最後に・・・本当のコストとは?
- まとめ
1. 翻訳品質を決定する2大要因を翻訳会社にしっかり伝える
まず、最初のポイントですが、ここが一番肝心です。逆に言えば、このポイントをおさえておけば、翻訳プロジェクトの80%は成功と言えるかもしれません。それだけ、翻訳会社にとっても翻訳の品質を左右する大きな要因なのです。
要因1:翻訳の内容(種類・分野)
例えば、翻訳対象の種類としてはウェブサイト、取扱説明書、仕様書などがあげられるでしょう。しかし、同じ種類の文章であっても、翻訳分野が違うと自ずと使用される用語や対訳も異なり、場合によっては翻訳をする担当者にも専門的な知識や特殊なスキルが必要となってきます。
通常、プロの翻訳者は複数の分野をまたいで翻訳をすることはありません。それだけ、その分野を極めないとプロとしては活躍できないということを意味しています。つまり、翻訳会社に分野を詳細に伝えるということは、適切なプロの翻訳者を選択していることに等しいのです。
以下に、参考として各種類・分野における、翻訳者に必要とされる知識・能力をあげておきます。
種類・分野 | 必要とされる知識・能力 |
---|---|
ソフトウェア会社間の提携契約書 | ソフトウェア関連知識 法律文書のライティングスキル |
化学薬品会社の特許明細書 化学全般の知識 | 特許明細書の書式・文体に関する知識 |
電機機器製造会社の年次報告書 | 電気機器の知識 アニュアルレポート独特の用語・文体などのライティングスキル |
もし、文章の種類・分野がわからなくても安心してください。ちゃんとした翻訳会社であれば、クライアントの文章を見て、コミュニケーションを取ってくれるはずです。そのような翻訳対象物の種類・分野について、しっかりと相談にのってくれる翻訳会社を選びましょう。
要因2:希望仕上がりレベル
種類・分野のミスマッチとは別に、仕上りレベルのズレも翻訳品質に大きな影響を与えます。
翻訳料金だけで仕上りを判断していませんか。翻訳料金が高いからといって、希望の仕上りになるわけではないのです。希望仕上がりレベルと納品物の間にズレが生じれば、必要以上の納品後チェックを強いられてしまいます。ですので、希望する翻訳物の仕上りレベルをしっかりと翻訳会社に伝えましょう(安心できる翻訳会社であればクライアントが伝えなくとも質問してくるのですが・・・)。
具体的には、次の情報を伝えれば、経験豊富な翻訳会社ならどの程度の仕上がりが必要かを判断し、希望の翻訳を制作する最適なプロセスをデザインしてくれます。
- 訳文の想定読者
一般大衆向け・業界関係者・技術者・研究者・その分野の初心者など - 訳文の使用目的
印刷物用・ウェブサイト公開用・プレゼンテーション用・内容把握用・社内資料用など - 訳出
読みやすい意訳・原文に忠実かつ正確な翻訳・大意がわかる程度など
その他の要因:緊急度・ボリューム・継続性
2大要因とは別に、緊急度・ボリューム・継続性も合わせて伝えておくことも重要です。どちらかというと翻訳品質というよりは、翻訳料金に関係する要素です。
- 1.緊急度
- 2.ボリューム
- 3.継続性
例えば、ボリュームがあり、納期に余裕がある場合には積極的に値引きをしてくれる翻訳会社もあります。また、継続的な注文となるのであれば、翻訳会社にとって見積り手続きなどを簡素化することができるので、ディスカウントをしてもらえる好材料となるでしょう。
以上のような要因を踏まえ、見積りの際にその翻訳会社が信頼できるかどうか、その分野の翻訳業務に慣れているかどうか、希望する翻訳が可能かどうかをよく見極めましょう。
関連記事:1文字いくら?1枚いくら?~翻訳の見積依頼の際に注意すべきこと
2. 希望の仕様(文体・訳調、想定読者の言語・スタイル)を翻訳会社に伝える
次に、希望する仕様について詳しく伝えましょう。ここでの仕様とは、文体・訳調、想定読者の使用言語・スタイルのことです。通常、あまり料金には関係ありませんが、希望を伝えることでより満足のいく納品を受けることができます。
文体 | です/ます調、である調 |
---|---|
スペリング(英語) | 米国式、英国式 |
文字表記(中国語) | 中国大陸向け(簡体字)、台湾・香港向け(繁体字) |
言語スタイル | 英語(米国/英国)、スペイン語(スペイン/中南米)、ポルトガル語(ポルトガル/ブラジル)など |
スタイル選定 | 格調高く、平易な表現、簡潔な表現 |
想定読者の地域(言語)についても、キチンと伝えておきましょう。同じ「英語」でも、英国英語と米国英語は違います。スペイン国内と中南米で使用されるスペイン語にも違いがあります。ポルトガル国内とブラジルのポルトガル語についても同様です。
3. 翻訳会社の実績を確認・トライアル翻訳(試訳)を活用する
さて、信頼できそうな翻訳会社がいくつか見つかったら、遠慮せずその分野の実績や経験について詳しく尋ねてみましょう。
責任ある翻訳会社は安易な納期を約束したり、専門外の仕事を引き受けたりしないものです。もちろん実績だけでは、実際の仕上りイメージを想像できないことがあるかもしれません。そのようなときに「トライアル翻訳(お試し)」というものを利用するといいでしょう。
トライアルでは、実際に翻訳したい原稿の一部を翻訳会社に送ります。そして、翻訳会社にお試しで翻訳をしてもらうことで、理想の仕上りに近いかどうかを確認できます。無料でトライアルを提供している翻訳会社もあるので、無料となる条件を翻訳会社に確認してみるのもいいでしょう。
4. スケジュールを翻訳会社とよく打ち合わせしておく
納期に余裕をもたせることは、翻訳会社との価格交渉の好材料であるばかりか、翻訳の仕上がりにも大きな影響を与えます。つまり、期日に余裕があれば、その翻訳会社でも経験の豊富な翻訳スタッフに担当してもらえることになります。
また、たとえ納期がタイトであっても、前もって入稿予定を伝えておくことで、その翻訳会社の人気翻訳スタッフのスケジュールを押さえることが可能です。
スケジュールが暫定的なものである場合は、そのように伝えることも大切です。スケジュールが頻繁に変更となるような場合では、別途プロジェクト管理費が適用されることとなります。
5. 用語・スタイル管理は計画的に
継続性がある案件では、ちょっとしたひと手間が長期的にはコストカットにつながります。「次回も同様の内容の翻訳が予定されている」、「一部改訂されて毎年翻訳する必要がある」などの場合には、用語集(対訳表)やスタイルシートの作成を打診してみましょう。
用語・スタイル管理のメリット
- 1. いつも同じ用語・スタイルで翻訳してもらえるので、品質が安定する
- 2. 翻訳会社の手間を省くことになるので、価格交渉に有利
関連記事はこちら:翻訳会社に用語集を支給するメリットと作り方
6. レイアウト、書式、図表処理、アプリケーションを指定する
文字データの翻訳以外で発生する作業については、通常別料金となる場合が多いです。もし、レイアウトや書式調整(DTP)などが必要ならば、翻訳料金とは別に見積りしてもらいましょう。そのうえで、翻訳会社に翻訳と合わせて担当してもらうか、あなたの会社でDTP・レイアウト/書式調整をするかを決定しましょう。
また、翻訳後に印刷等の工程が入っている場合には、以下のような点も注意して翻訳を依頼するようにしましょう。翻訳会社に相談する際に、翻訳後にどのような作業を予定しているか伝えておくことで、翻訳後の作業も大幅にスムーズになります。
特殊なアプリケーションを使用して原稿を作成している場合は、翻訳会社が同じアプリケーションを所有しているかどうか、あるいは問題なく作業を進めることが可能かどうかも確認しておきましょう。
DTP依頼時の注意点
- 1. 英数字記号類の処理(半角/全角)
- 2. 翻訳 + 図表作成
- 3. 翻訳 + 照合ナンバリング(図表作成なし)
- 4. 少数言語の文字フォントを持っているか
- 5. 文字コードの指定が可能か(あなたの会社のコンピューターまたは印刷会社に多言語環境が整っていない場合は、アウトラインデータでの納品が可能か)
7. 翻訳会社に依頼する前に原稿を完成させておく
できるだけ早く翻訳プロジェクトを開始し完了させたい気持ちはわかります。ただ、未完成(未校正)の元原稿のままで翻訳作業を並行的に進めると、かえって時間とコストがかさむケースもあります。バージョンアップが頻繁に行われるマニュアルなどの場合、往々にして最終バージョンの文章中に間違いが残ってしまいます。ですので、翻訳を依頼する際には、できるだけ原稿を完成させた状態にしておくことが重要です。(関連記事はこちら:翻訳発注時に注意が必要な原稿とは?)
もちろん、原稿が完成している状態であることが翻訳会社にとっては理想なのですが、実際にはクライアントの案件の性質によっては、依頼する前に原稿を完成させることが難しい場合もあるでしょう。翻訳作業で使用するアプリケーションとの相性の問題もありますが、効率的な運用が可能な場合もあります。なにか懸念点があれば、遠慮なく翻訳会社に相談してみましょう。
8. 翻訳会社以外(プロの翻訳者以外)に依頼する際はくれぐれも注意を
最近では、翻訳会社に依頼するのではなく、クラウドソーシングなどで個人の翻訳者に依頼したり、知人や知り合いの専門家やバイリンガルの人に翻訳を依頼することも選択肢に入ってきています。ただし、「専門分野に精通していること」と「外国語会話に長けていること」は、必ずしも「読みやすい、自然な文章に仕上げられる」ことを意味しません。
実に、翻訳のプロセスには、様々なスキルが求められます。専門的に研究している大学の先生や学生であっても、ビジネス上で使用される文章スタイルに精通しているとは限りません。元原稿に忠実なあまり、想定読者に理解できないような難解な用語と直訳的スタイルで訳文に仕上がってしまうケースもあります。また、流暢に外国語を操るバイリンガルであっても、会話力と文章作成力とは基本的にまったく異なる能力なのです。つまり「語学力があるからといって、誰でも翻訳ができるとは限らない」のです。
関連記事はこちら:語学力があるからといって、翻訳ができるとは限りません
9. 翻訳が及ぼす会社イメージへの影響を考える
翻訳の品質がどのくらい会社イメージに影響するか、想定読者の人数によって、翻訳スタッフを使い分けることは大切です。もし、社内に適切な翻訳スタッフが存在しない場合は、コストをかけてでも翻訳会社に依頼するのがベストということがあります。
例えば、「全国版の新聞広告」と「あなたの社内で使用するレポート」では、明らかに影響の規模が違ってきます。また、「会社のアニュアルレポートにおける社長挨拶」と「製品マニュアル内の説明文」では、その重要性に大きな違いがあるでしょう。
特に、キャッチコピー、広告、カタログ、会社案内、WEBサイトは、言葉に敏感なプロのネイティブスタッフ(ライター)が不可欠です。マニュアル翻訳で完璧な仕事をしたとしても、会社案内の翻訳で完璧な仕事ができるとは限りません(もちろん逆も同様です)。
翻訳会社には、様々な分野におけるプロの翻訳者が登録されています。また、翻訳外注だけでなく、人材派遣といったオプションあります。翻訳が及ぼす会社イメージへの影響を考慮し、もし社内に適任者がいないのであれば、ためらわずに翻訳会社に相談してみましょう。きっと最善の解決策が見い出せるはずです。
関連記事はこちら:【翻訳者派遣】常駐翻訳者が海外マーケティングを強くする
10. 最後に・・・本当のコストとは?
以上に述べた翻訳会社の全体的な品質管理体制、対応の柔軟性、アプリケーションなどの制作環境状況を判断して、希望の翻訳を制作してくれそうな翻訳会社が見つかったのであれば、以下の3点を総合的に判断して発注先を決定します。
本当の翻訳料金とは、総合なコストです
1. 翻訳料金+
2. 翻訳会社からの納品後、訳文校正・文体調整・チェック/修正にかかる(あなた側)時間コスト
+
3. 翻訳会社からの納品後、レイアウト/書式/図表処理にかかる(あなた側)時間コスト
まとめ
以上、「翻訳会社が選ぶおすすめの依頼方法:失敗しない10のキホン」をご紹介しました。安心して依頼できる翻訳会社を見つける際の参考となりましたら幸いです。
翻訳会社と綿密にコミュニケーションを取ることは、少し手間に感じるかもしれません。ですが、一度しっかりとコミュニケーションを取っておけば、以降のプロセスは意外とスムーズに進むものです。
もし、10のポイントが多すぎると感じるのであれば、1番目のポイントを抑えておいて、翻訳会社WIPジャパンに直接お問い合わせください。お客様のニーズをしっかりと汲み取り、ベストな翻訳コーディネートをご提供いたします。
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