原稿のボリュームが大きいが、急いでおり、なるべく早く翻訳を納品してほしい…またはそんなにボリュームはないがリードタイムが1日、2日しか取れない…など、急に急ぎの翻訳が必要になるケースもあるかと思います。
そんなとき、翻訳会社に依頼するとどのような方法で納期を短縮してくれるのでしょうか?納期短縮の方法について、本記事で解説します。
特急料金を支払う
一番シンプルな方法です。翻訳者がほかの仕事を後回しにしたり、休みの日に作業したりして短期間で翻訳を仕上げる代わりに、通常の翻訳料金に特急料金を上乗せします。
この方法の大きなメリットは、翻訳者1名で作業するため、文体の統一が取れるという点です。ドキュメント内で書き方にバラつきがある…という事態を避けることができます。
デメリットとしては、料金が余分にかかってしまうという点でしょう。
複数翻訳者での対応
原稿ボリュームが大きい場合、複数の翻訳者で並行して翻訳作業を行い、納期を短縮することができます。数百ワード・文字などの少量原稿では効果を発揮できませんが、マニュアルなどのボリュームの大きな案件では有効な方法です。
メリットとしては、単一の翻訳者に負担を強いることがないため、特急料金がかからないケースが多いということです。
デメリットは、複数翻訳者が並行して翻訳作業をするため、文体や訳出の統一が取りづらいという点です。なるべく項目別に翻訳者を振り分け、同じカテゴリ内で翻訳のバラつきが出ないように翻訳会社が配慮すると思いますが、急ぎ具合と分量によっては難しいことがあるかもしれません。
翻訳支援ツールの使用
繰り返しが多い原稿(マニュアルや契約書など)、関連する翻訳の翻訳メモリを所持している場合、翻訳支援ツールを使用すると納期が短縮できるでしょう。翻訳支援ツールについての説明は弊社の別記事「賢く翻訳を依頼する方法~翻訳コスト削減のための翻訳支援ツール」をご参照ください。
翻訳支援ツールを使用すると、繰り返し出てくる文言やそれに近い文言が出た場合、簡単に過去訳を適用することができるため、翻訳者の作業効率が上がります。翻訳メモリのマッチ率が高ければ高いほど納期を短縮することができます。文体の統一も取りやすいです。
ただし、「翻訳メモリがまだない」「複数翻訳者で並行して作業する」という場合、「文体の統一が取りづらい」というデメリットが発生します。
ノーチェックでの対応
通常翻訳会社に依頼すると、以下のフローを経て翻訳が納品されます。
翻訳者による翻訳→バイリンガルチェッカー(and/or モノリンガルチェッカー)によるチェック→コーディネータによる最終検品
「とにかく品質よりスピード重視!」という場合、チェッカーによるチェック以降の手順を省き、「翻訳者による翻訳」ステップのみを経た翻訳結果を受け取るという方法(ノーチェック)もあります。チェックにかかる時間が削られるので、その分納期も短くなります。
デメリットは、ケアレスミスがそのまま残ってしまうリスクがあることです。正確さが重要な翻訳においては、あまりお勧めしない方法です。
本記事では、翻訳納期を短縮する方法についてご説明しました。一口に急ぎといっても、ご希望や翻訳の用途によって様々な手段を取ることができます。
急ぎでありながらも納得の品質を得るためにも、納期短縮の方法について翻訳会社に相談することをお勧めします。(川嶋)