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Jun. 27, 2025

日本企業が海外展示会で多言語印刷物を準備する:コストを抑え、効果を最大化する戦略

 

日本の企業が海外の展示会に参加する際、多言語対応の紙媒体資料は来場者への強力なアプローチツールです。しかし、資料の多言語化から現地での配布までには、さまざまなルートがあり、それぞれにコストと手間がかかります。

この記事では、紙媒体資料を多言語化して海外で配布する主要なルートと必要な手配に加え、それぞれのルートにかかるコストの視点を詳細に解説します。特に、担当者が直接資料を運ぶ方法についても考慮し、貴社に最適な選択肢を見つけるお手伝いをします。

1. 日本で印刷して海外へ発送するルート

最も一般的で、品質管理の面で安心感がある方法です。

メリット

  • 品質管理のしやすさ: 日本国内の信頼できる印刷会社で制作できるため、品質や色味の管理がしやすいです。

  • 慣れたやり取り: 日本語での細かな指示が可能で、校正などもスムーズに進められます。

デメリット

  • 高額な国際輸送費: 資料の量や重さによっては、国際送料が高額になります。

  • 通関手続きの煩雑さ: 輸出入に関わる通関手続きや関税の支払いが発生する可能性があり、時間と手間がかかります。

  • 納期リスク: 輸送中に遅延が発生するリスクがあり、展示会に間に合わない可能性もゼロではありません。

  • 紛失・破損のリスク: 輸送中の紛失や破損のリスクも考慮する必要があります。

コストの視点

  • 翻訳・DTP費用: 翻訳量、専門性、対応言語数、DTP作業の複雑さによって大きく変動します。高品質な翻訳とデザインにはそれなりの費用がかかります。

  • 印刷費用: 部数、用紙の種類、加工(PP加工、型抜きなど)によって変動します。通常、部数が多くなると1部あたりの単価は下がります。

  • 国際輸送費:

    • 重量・容積による変動: 資料が重い・大きいほど高くなります。

    • 輸送手段: 航空便は高価ですが迅速、船便は安価ですが時間がかかります。納期とのバランスで選びます。

    • 保険料: 輸送中の万が一の破損や紛失に備えるための保険料がかかります。

  • 通関費用・関税・消費税(VAT等):

    • 通関手数料: 輸送業者や通関業者に支払う手数料です。

    • 関税・消費税(VAT等): 輸入国によっては、資料に対しても関税や消費税(付加価値税)が発生する場合があります。これは資料の品目コード(HSコード)や輸入国の規定によります。事前に確認し、どちらが負担するか(貴社負担か、輸送業者に立て替えてもらうかなど)を明確にしておきましょう。

  • 現地での受け取り・搬入費用: 展示会事務局に依頼する場合、手数料が発生することがあります。

必要な手配

  1. 翻訳・ライティング:

    • 専門翻訳会社への依頼: 製品やサービスの内容に精通した翻訳者を選定し、ターゲット言語に翻訳を依頼します。単なる翻訳だけでなく、現地の文化や商習慣に合わせたローカライズ(表現の調整)も重要ですし、これが資料の質と効果を左右します。

    • ネイティブチェック: 翻訳された原稿は必ずネイティブスピーカーによるチェックを受け、不自然な表現や誤りがないことを確認します。

    • 校正: 最終的なデザインデータへの流し込み後も、誤字脱字、レイアウト崩れがないか念入りに校正を行います。

  2. デザイン・DTP(DeskTop Publishing):

    • 多言語対応可能なデザイナー: 多言語のレイアウト調整に慣れたデザイナーに依頼します。文字量や書体の違いでレイアウトが崩れないよう配慮が必要です。

    • データ形式の確認: 印刷会社が求めるデータ形式(例:PDF/Xなど)でデータを作成します。

  3. 印刷:

    • 実績のある印刷会社: 多言語印刷や海外発送の実績がある印刷会社を選びます。

    • 部数・用紙・加工の決定: 必要部数、用紙の種類、表面加工(PP加工など)などを決定します。

  4. 国際輸送:

    • 輸送業者の選定: 国際輸送の実績が豊富なフォワーダーや国際宅配便業者(FedEx、DHL、UPSなど)を選定します。

    • 発送方法の検討: 航空便(速いが高価)か船便(安いが遅い)かを資料の量と納期で判断します。

    • 梱包: 輸送中の破損を防ぐため、頑丈な梱包を徹底します。

    • 通関手続き:

      • インボイス(送り状)の作成: 資料の内容、数量、価格、HSコードなどを正確に記載します。

      • 原産地証明書など: 国によっては、原産地証明書などの追加書類が必要な場合があります。

      • 関税・消費税の確認: 輸出国・輸入国の関税や消費税(VATなど)が発生するかどうかを確認し、どちらが負担するかを明確にします。

    • 追跡番号の管理: 輸送状況を常に追跡できるよう、追跡番号を控えておきます。

  5. 現地での受け取り・搬入:

    • 展示会運営事務局との連携: 資料の配送先が展示会会場の場合、事前に運営事務局に連絡し、受け取り可否や搬入方法を確認します。

    • 現地担当者の手配: 現地で資料を受け取り、ブースへ搬入する担当者を手配します。

2. 現地(海外)で印刷するルート

国際輸送の手間とコストを削減できる可能性がある方法です。

メリット

  • 輸送費・通関費の削減: 国際輸送が不要になるため、これらのコストを大幅に削減できます。

  • 納期短縮: 印刷から現地搬入までのリードタイムを短縮できます。

  • 環境への配慮: 輸送距離が短くなるため、CO2排出量削減にも貢献できます。

デメリット

  • 品質管理の難しさ: 現地の印刷会社とのやり取りは、言語や文化の違いから難しく、日本の品質基準が伝わりにくい場合があります。

  • 費用感の把握が困難: 現地価格や支払い方法、契約内容の確認が難しいことがあります。

  • 緊急時の対応: トラブル発生時に、遠隔での対応が難しい場合があります。

  • 印刷会社の選定が困難: 現地で信頼できる印刷会社を見つけるのが難しい場合があります。

コストの視点

  • 翻訳・DTP費用: 日本で準備する場合と同様です。

  • 印刷費用: 現地での印刷費用になります。国や地域によって価格水準が大きく異なります。為替レートの影響も受けます。

  • 現地での配送費用: 印刷会社から展示会会場までの配送費用が発生します。

  • 現地担当者の人件費: 印刷会社とのやり取りや品質確認のため、現地に人員を配置する場合、その人件費がかかります。

必要な手配

  1. 翻訳・ライティング・デザイン・DTP:

    • 上記「日本で印刷して海外へ発送するルート」と同様の手配が必要です。ただし、現地の印刷会社が対応できるデータ形式やフォントなどを事前に確認する必要があります。

  2. 現地印刷会社の選定:

    • 情報収集: 現地の展示会運営事務局、商工会議所、現地の日本企業、信頼できるエージェントなどを通じて情報収集し、実績のある印刷会社を探します。

    • 見積もり取得: 複数の印刷会社から見積もりを取得し、比較検討します。

    • コミュニケーション手段の確認: 英語や日本語でのコミュニケーションが可能か、担当者はいるかなどを確認します。

    • 実績・サンプル確認: 可能であれば、過去の印刷物サンプルを確認し、品質を評価します。

    • 契約内容の確認: 支払い条件、納期、品質保証、トラブル時の対応などを明確にした契約を締結します。

  3. データ入稿・校正:

    • データ入稿: 現地印刷会社が指定するデータ形式で入稿します。フォントの埋め込みや画像解像度などに注意が必要です。

    • リモートでの校正: 遠隔での校正となるため、PDF校正ツールなどを活用し、細部まで確認します。色味の確認は、日本のディスプレイ環境と現地の印刷環境で差が出る可能性があるため注意が必要です。

  4. 現地での受け取り・搬入:

    • 印刷完了後、展示会運営事務局または現地担当者を通じて資料を受け取り、ブースへ搬入します。

3. 日本で印刷し、担当者が直接飛行機で運ぶルート

出張する担当者が資料を手荷物または超過手荷物として運び込む方法です。

メリット

  • 輸送費を大幅に抑えられる可能性: 小量の資料であれば、手荷物として追加料金なしで運べる場合もあります。

  • 通関手続きが簡素化: 通常の個人手荷物として扱われるため、商業貨物のような複雑な通関手続きは不要なことが多いです。

  • 紛失・破損のリスクが低い: 常に担当者が管理しているため、輸送中の紛失や破損のリスクが極めて低いです。

  • 確実な納期: 担当者の渡航スケジュールに合わせられるため、資料が展示会に間に合わない心配がほとんどありません。

  • 品質の最終確認: 資料を直接確認しながら現地に持ち込めるため、安心感があります。

デメリット

  • 運べる量に限りがある: 航空会社の手荷物規定(重量・サイズ)に厳しく制限されます。大量の資料は運べません。

  • 担当者への負担: 重い資料を運ぶため、担当者の身体的負担が大きくなります。

  • 追加費用発生の可能性: 超過手荷物料金や、大型手荷物料金が発生する場合があります。

  • 航空会社の規定確認が必須: 持ち込みたい資料が手荷物規定に収まるか、事前に航空会社に確認が必要です。

コストの視点

  • 翻訳・DTP・印刷費用: 日本で準備する場合と同様です。

  • 航空券代・宿泊費: 担当者の出張費用(航空券代、宿泊費、現地での交通費、日当など)が大きな割合を占めます。資料輸送費と合わせて検討が必要です。

  • 超過手荷物料金: 資料の重量が許容量を超える場合、この費用が発生します。航空会社やルートによって大きく異なります。

  • 通関・関税: 通常、個人手荷物として持ち込む分には関税・消費税はかからないことが多いですが、商業目的とみなされると課税される可能性もゼロではありません。念のため、大使館や税関に確認しておくと安心です。

必要な手配

  1. 翻訳・ライティング・デザイン・DTP・印刷:

    • 上記「日本で印刷して海外へ発送するルート」と同様の手配が必要です。

  2. 航空会社の手荷物規定確認:

    • 予約する航空会社の手荷物許容量(重量、個数、サイズ)を事前に確認します。

    • 特に、無料受託手荷物の範囲と、超過した場合の料金体系をしっかり把握しておきましょう。

    • 資料が特殊なサイズや形状の場合、大型手荷物としての扱いになるかどうかも確認します。

  3. 資料の梱包:

    • 機内持ち込みまたは受託手荷物として安全に運べるよう、頑丈かつコンパクトに梱包します。

    • 手荷物としてX線検査を受ける際、スムーズに検査できるよう配慮します。

  4. 担当者の準備:

    • 重い資料を運ぶためのキャリーケースやバッグを用意します。

    • 展示会会場までの搬入経路、エレベーターの有無なども事前に確認しておくと良いでしょう。

4. 展示会運営事務局や現地の代理店・パートナーに手配を依頼するルート

自社での手配が難しい場合、第三者のサポートを得る方法です。

 

メリット

  • 手間の削減: 現地での印刷会社選定や輸送、通関などの手配を任せられるため、自社の負担が軽減されます。

  • 現地ノウハウの活用: 現地の商習慣や言語に精通したプロに任せることで、トラブルのリスクを減らせます。

デメリット

  • コスト増: 代行手数料が発生するため、自社で手配するよりも総コストは高くなります。

  • コミュニケーションのずれ: 間に仲介者が入るため、意図が正確に伝わらないリスクもゼロではありません。

  • 品質管理の限界: 間接的なやり取りになるため、品質に対する細かな指示が伝わりにくい場合があります。

コストの視点

  • 翻訳・DTP・印刷費用: 日本で準備する場合と同様です。

  • 代行手数料: 依頼する業務の範囲や内容によって大きく変動します。これがこのルートの主要な追加コストです。

  • 現地での配送費用: 代理店が手配する場合、別途配送費用が発生します。

必要な手配

  1. 翻訳・ライティング・デザイン・DTP:

    • 上記「日本で印刷して海外へ発送するルート」と同様の手配が必要です。データは運営事務局や代理店に渡す形になります。

  2. 依頼先の選定と契約:

    • 展示会運営事務局: 資料の印刷・輸送サービスを提供している場合があります。利用可能なサービス内容と費用を確認します。

    • 現地の代理店・パートナー: 既に取引がある現地代理店やパートナー企業に、手配代行を依頼します。

    • 専門エージェント: 展示会サポートやマーケティング代行を行う専門のエージェントに依頼する方法もあります。

    • 契約内容の明確化: 依頼する範囲、費用、納期、品質基準、トラブル時の対応などを明確に契約書に盛り込みます。

  3. 情報共有と進捗管理:

    • 資料の仕様、デザインデータ、希望納期など、必要な情報を正確かつ速やかに提供します。

    • 定期的に進捗状況を確認し、必要に応じて指示や承認を行います。

まとめ:最適なルート選びと事前のコスト試算が成功の鍵

多言語化された紙媒体資料を海外展示会で配布するにあたり、上記4つのルートから、貴社の状況(予算、納期、品質へのこだわり、運べる資料の量、現地のコネクションなど)に合わせた最適な方法を選択することが重要です。

どのルートを選ぶにしても、翻訳の品質、デザインの適切さ、そして十分な余裕を持ったスケジュールでの準備が成功の鍵となります。特に、言語や文化の異なる海外での手配には予期せぬトラブルがつきものですので、綿密な計画と、各ルートのコストを事前に試算し比較検討すること、そして柔軟な対応を心がけましょう。

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