<img src="https://trc.taboola.com/1341089/log/3/unip?en=page_view" width="0" height="0" style="display:none">
  • Twitter
  • facebook
  • LINE
  • pocket
  • はてな
Jul. 09, 2025

コンサルティング契約書 翻訳:海外ビジネスにおける専門知識を最大限活用する要点と関係部門の役割


グローバルなビジネス展開において、特定の専門知識や経験が必要となる場面は多々あります。市場調査、M&A戦略、ITシステム導入、法務、税務、人事、環境規制対応など、多岐にわたる分野で外部の専門家であるコンサルタントを活用することは、企業の課題解決や成長戦略の実現に不可欠です。この際、コンサルタントとの間で締結されるのがコンサルティング契約書(Consulting Agreement)です。

この契約書は、提供されるサービスの範囲、期間、報酬、成果物の定義、知的財産権の帰属、秘密保持義務、責任制限、そして紛争解決などを詳細に定める法的文書であり、その正確な翻訳は、プロジェクトの成功、法的リスクの回避、そして将来的な紛争の防止のために不可欠です。翻訳のミスや内容の理解不足は、期待する成果が得られない、追加費用が発生する、情報漏洩、責任の曖昧化、さらには高額な法的紛争へと発展するリスクをはらんでいます。

特に、国ごとにサービス提供に関する法規制(職業倫理、責任制限など)、契約法、知的財産権に関する法規、税法、そして国際的な商慣習が大きく異なるため、単に言葉を置き換えるだけでなく、それぞれの法制度やコンサルティングの性質に応じた法的・商業的ニュアンスを踏まえた上で契約内容を理解し、翻訳することが不可欠です。

本記事では、当社が数多くのコンサルティング契約書の翻訳を支援してきた経験に基づき、翻訳における重要なポイントと、貴社の各部門がどのように翻訳された契約書を活用し、関与していくべきかを具体的なケーススタディを交えて解説します。

貴社の海外ビジネスにおいて、コンサルティング契約の適切な理解と運用を通じて、専門知識を最大限に活用し、リスクを最小限に抑えるために、ぜひ本記事をお役立てください。

 

コンサルティング契約書とは何か?その目的と国際ビジネスにおける重要性

コンサルティング契約書(Consulting Agreement)とは、企業(または個人)が外部の専門家であるコンサルタント(Consultant)に対して、特定の課題解決や目標達成のために、専門的な知識、スキル、経験に基づく助言やサービスを依頼する際に締結する、法的拘束力を持つ文書です。

コンサルティング契約は、以下のような様々なビジネスシーンで用いられます。

  • 経営戦略コンサルティング: 新規市場参入戦略、事業再編、M&A戦略

  • ITコンサルティング: システム導入支援、DX推進、情報セキュリティ対策

  • 財務コンサルティング: 資金調達、企業価値評価、税務戦略

  • 人事・組織コンサルティング: 人事制度改革、組織開発、グローバル人材育成

  • マーケティングコンサルティング: 海外市場調査、ブランド戦略、デジタルマーケティング

  • 技術コンサルティング: 新製品開発支援、R&D戦略

  • 法務・規制対応コンサルティング: 各国法規制調査、コンプライアンス体制構築

  • 環境・CSRコンサルティング: 環境規制対応、サステナビリティ戦略

この契約書は、以下の非常に多岐にわたる詳細な条項を含みます。

  • コンサルティングサービスの範囲(Scope of Services):提供される具体的なサービス内容、業務の目的、達成目標、成果物(レポート、提案書、システム設計書など)の明確な定義。

  • 期間とスケジュール(Term and Schedule):コンサルティングサービスの提供期間、重要なマイルストーン、会議の頻度など。

  • 報酬と支払い条件(Fees and Payment Terms):コンサルティング費用(固定料金、時間単価、成功報酬など)、支払いスケジュール、費用精算(旅費交通費など)、支払い通貨。

  • コンサルタントの独立性(Independent Contractor Status):コンサルタントが貴社の従業員ではなく、独立した請負業者であることを明記し、労働法上の問題を回避。

  • 知的財産権の帰属(Intellectual Property Rights):コンサルティング業務の過程で生み出された成果物(レポート、ソフトウェア、ノウハウなど)の知的財産権が、どちらの当事者に帰属するか、または共有されるかを規定。

  • 秘密保持義務(Confidentiality):コンサルティングの過程で知り得た貴社の機密情報(財務情報、顧客情報、技術情報など)の保護義務。

  • 責任の制限と補償(Limitation of Liability and Indemnification):コンサルタントの過失や不備によって生じた損害に対する責任範囲、責任上限額、相手方への補償義務。

  • 品質保証と保証(Warranties):提供されるサービスが一定の品質基準を満たすことの保証。

  • 契約解除条件(Termination):契約違反、不可抗力、当事者の都合などによる契約解除の条件、通知期間、解除後の費用精算。

  • 準拠法と紛争解決(Governing Law and Dispute Resolution):契約に適用される法律、紛争が発生した場合の解決方法(裁判、国際仲裁、調停など)。

  • 競業避止義務(Non-Compete / Non-Solicitation):コンサルタントが一定期間、競合する業務を行わない、または貴社の従業員を引き抜かない義務。

国際ビジネスにおいてコンサルティング契約書が特に重要なのは、以下の理由からです。

  • 専門知識への安全なアクセス: 海外市場の特性、現地の法規制、文化など、自社に不足している専門知識を安全かつ効率的に獲得できます。契約書は、その知識の範囲と利用目的を明確にします。

  • リスクと責任の明確化: 国ごとに法規制や商慣習が異なる中で、コンサルタントと貴社双方のリスクと責任範囲を明確に定義し、予期せぬ法的紛争や費用発生を防ぎます。

  • 機密情報の保護: 事業戦略、顧客情報、未公開技術など、企業にとって重要な機密情報がコンサルティングの過程で開示されるため、その保護を契約で確約することが不可欠です。

  • 成果物と報酬の明確化: サービス提供の範囲、達成目標、成果物、そして報酬体系を詳細に定めることで、期待値のずれを防ぎ、プロジェクトの予算とスケジュールを管理しやすくします。

  • クロスボーダー取引の法的安定性: 複数の国にまたがるコンサルティングの場合、準拠法や紛争解決方法を明確にすることで、法的安定性を確保します。

英文コンサルティング契約書の特徴と和文契約書との違い

国際的なコンサルティング取引では、多くの場合、英文で契約書が作成されます。その特徴は、日本の和文契約書とは異なる点がいくつかあります。

 

  • Scope of Services(サービスの範囲)の厳密な定義:

    • 提供される具体的なコンサルティング業務内容、プロジェクトの目的、達成すべき目標、そして最終的な成果物(Deliverables)を非常に詳細かつ具体的に記述します。作業のフェーズ分けや、各フェーズでの成果物、進捗報告の義務なども細かく規定される傾向にあります。

    • 和文契約でも重要ですが、英文契約では「何をするか」「何を納品するか」をより具体的に列挙することで、期待値のずれを最小限に抑えます。

  • Intellectual Property Rights(知的財産権)の帰属の明確化:

    • コンサルティング業務の過程で開発された、または提供されたあらゆる知的財産(レポート、分析ツール、ソフトウェア、ノウハウなど)の所有権が、コンサルタントに帰属するのか、貴社に帰属するのか、または共同所有となるのかを明確に規定します。特に、貴社に帰属する(Work Made for Hireなど)と定める場合、その旨を明確に記述します。

  • Representations and Warranties(表明と保証)の詳細な記述:

    • コンサルタントが提供するサービスが一定の専門水準を満たしていること、特定の法令を遵守していること、第三者の知的財産権を侵害しないことなどを表明し保証する条項が含まれます。これは、サービスの品質と法的適格性を確保する上で重要です。

  • Limitation of Liability(責任の制限)の規定:

    • コンサルタントの過失や契約違反によって貴社に損害が生じた場合の、コンサルタントの責任の上限額(例:報酬額の〇倍、〇ドルまで)を明確に規定することが一般的です。これはコンサルタント側にとってのリスクヘッジであり、翻訳ではこの金額と条件を正確に把握する必要があります。

  • Indemnification(補償)条項の適用:

    • コンサルタントの業務に起因する第三者からのクレームや訴訟が発生した場合に、コンサルタントが貴社を防御・補償する義務が詳細に規定されます。

  • Governing Law and Dispute Resolution(準拠法と紛争解決)の指定:

    • 契約に適用される法律、および紛争が発生した場合の解決方法(国際仲裁が一般的)、仲裁地、仲裁機関、仲裁規則が詳細に指定されます。これは、各国の法制度や商慣習が異なる国際取引において、法的安定性を確保するために極めて重要です。

  • Non-Solicitation / Non-Compete(不勧誘/競業避止):

    • コンサルタントが契約期間中または終了後一定期間、貴社の従業員を引き抜かない(Non-Solicitation)ことや、貴社の競合事業を行わない(Non-Compete)ことを義務付ける条項が含まれることがあります。その範囲と期間は、各国の独占禁止法や労働法によって有効性が異なるため、注意が必要です。

  • Force Majeure(不可抗力)の定義:

    • 天災、戦争、政府の介入など、当事者のコントロールを超えた事象により契約の履行が不可能になった場合の取り扱いを規定します。

日本の和文契約書に比べ、英文コンサルティング契約書は、サービス提供範囲の具体性、知的財産権の帰属、責任制限、そして国際的な準拠法・紛争解決メカニズムに関して、より詳細かつ厳密な記述が求められる傾向が強いです。翻訳においては、これらの法的・商業的ニュアンスを正確に反映した表現を用いることが不可欠です。

 

コンサルティング契約書翻訳における重要ポイント

コンサルティング契約書の翻訳は、貴社の海外ビジネスにおける専門知識の活用、プロジェクトの成功、そして法的リスクに直接影響するため、極めて高い精度と専門性、そして法務・事業戦略・財務・知的財産に関する視点が求められます。以下のポイントを押さえることが、成功への鍵となります。

  1. コンサルティングサービスの範囲(Scope of Services)と成果物(Deliverables)の厳密な翻訳

    • 提供される具体的なサービス内容、業務の目的、達成目標、そして最終的に納品される成果物(レポート、提案書、システム設計書など)を、曖昧さなく厳密に翻訳することが不可欠です。期待する成果と異なる結果とならないよう、この部分の明確な理解が最も重要です。

  2. 報酬と支払い条件、費用精算の明確化

    • コンサルティング費用(固定料金、時間単価、成功報酬などの計算方法)、支払いスケジュール、支払い通貨、為替リスクの負担者、そして旅費交通費などの費用精算ルールを正確に翻訳することが不可欠です。費用に関する認識のずれは、最も頻繁な紛争の原因となります。

  3. 知的財産権の帰属(Intellectual Property Rights)の厳密な理解

    • コンサルティング業務の過程で生み出された成果物(レポート、分析モデル、ソフトウェア、ノウハウなど)の知的財産権が、どちらの当事者(貴社かコンサルタントか)に帰属するのか、または共有されるのかを厳密に翻訳することが極めて重要です。貴社に帰属させる場合は、その旨が明確に記載されているか確認すべきです。

  4. 秘密保持義務(Confidentiality)と情報管理

    • コンサルティングを通じて知り得た貴社の機密情報(財務、顧客、技術など)の定義、秘密保持義務の範囲と期間、例外規定、違反時の措置を正確に翻訳することが不可欠です。情報漏洩は企業に甚大な損害を与える可能性があるため、この条項の理解は極めて重要です。

  5. 責任の制限(Limitation of Liability)と補償(Indemnification)条項

    • コンサルタントの過失や契約違反によって貴社に損害が生じた場合の、コンサルタントの責任の上限額(例:報酬額の〇倍)、そして第三者からのクレームや訴訟が発生した場合にどちらの当事者が相手方を防御・補償するのかを厳密に翻訳することが不可欠です。この条項は、将来的な訴訟リスクと費用負担に直接影響するため、細心の注意を払う必要があります。

  6. 契約解除条件(Termination)と解除後の措置

    • 契約違反、不可抗力、当事者の都合などによる契約解除の具体的な条件、通知期間、そして解除後の費用精算、成果物の取り扱い、秘密保持義務の継続などの詳細な義務を厳密に翻訳することが重要です。

  7. 準拠法と紛争解決(Governing Law and Dispute Resolution)

    • 契約に適用される法律、そして紛争が発生した場合の解決方法(国際仲裁、調停、裁判など)、仲裁地の選定、仲裁機関、仲裁規則、仲裁人の数、仲裁判断の拘束力などを正確に翻訳することが不可欠です。国際取引では、自社にとって有利な準拠法や紛争解決地を指定することが戦略上重要であり、その内容を正確に把握すべきです。

  8. AI翻訳の適切な活用と専門家による最終確認

    AI翻訳技術は、初稿の作成や用語の統一に役立ちますが、コンサルティング契約書のような法的・専門的に極めて複雑な文書、特にサービス範囲、知的財産権、責任制限、報酬計算といった条項においては、法的ニュアンス、各国の契約法、税法、知的財産法に関する知見を完全に理解することは困難です。AIを効率化ツールとして最大限活用しつつも、法務知識と国際商取引の実務経験を持つ専門の翻訳者による徹底したレビューと校正が不可欠です。人間による精査が、潜在的なリスクを最小限に抑え、安全な国際取引の基盤となります。

  9. 強固な情報セキュリティ体制

    コンサルティング契約書には、貴社の事業戦略、財務情報、顧客情報、技術情報など、企業の競争力や事業の成否に直結する極めて機密性の高い情報が含まれることが一般的です。これらの情報が外部に漏洩した場合、企業の競争力低下、信用失墜、法的な責任問題など、甚大な損害を被る可能性があります。そのため、翻訳を依頼する際には、翻訳会社が厳格な情報セキュリティポリシーを定め、技術的・物理的・人的な対策を徹底しているかを必ず確認すべきです。当社は、お客様の機密情報を最高レベルで保護するため、徹底したセキュリティ管理を実践しています。

  10. 「総コスト」での評価と信頼できる翻訳会社の選定

    翻訳にかかる費用は、単純な料金だけでなく、翻訳後の社内での確認・修正にかかる時間や労力、そして将来的な紛争リスクといった「総コスト」で評価すべきです。初期費用が安価でも、翻訳品質が低ければ、結果的に大きな損失に繋がりかねません。実績、専門性、セキュリティ体制、そして提供されるサービスの質を総合的に判断し、貴社の国際ビジネスにおける戦略的パートナーとして信頼できる翻訳会社を選定することが重要ですし、当社はこのような観点から、お客様に安心してご利用いただける最適なサービスを提案しています。

  11. 現地の弁護士・コンサルタントとの連携

    翻訳された契約書をベースに、必ず現地の契約法、税法、知的財産法、サービス提供に関する規制に詳しい弁護士やコンサルタントと連携し、契約内容の法的妥当性、税務上の影響、そしてリスクを最終確認することが不可欠です。翻訳は「理解の橋渡し」であり、最終的な法的判断は現地の専門家が行うべきです。

コンサルティング契約書の翻訳は誰に必要なのか?ケーススタディで見る関係部門の役割

コンサルティング契約書は、海外ビジネスにおける専門知識の活用とリスク管理を左右するため、多岐にわたる部門や関係者がその内容を理解し、翻訳された情報に基づいて連携することが不可欠です。

 

ケーススタディ1:海外市場参入戦略の策定(日本の消費財メーカー)

 

状況: 日本の消費財メーカーが、東南アジア市場への新規参入を検討しており、現地の市場調査と戦略策定のため、現地のコンサルティングファームと英文のコンサルティング契約を締結するケース。

  • 経営戦略部/海外事業部:

    • 必要性: コンサルティングサービスの範囲(市場調査の深さ、対象地域、競合分析の網羅性、具体的な戦略提言のレベル)、成果物(レポートの形式、データソース)、期間、報酬体系、秘密保持義務など、事業戦略に直結する商業的・戦略的条件を詳細に確認します。

    • ケース: 契約書に記載された「市場調査の範囲と具体的な項目」や「成功報酬の計算方法と上限額」を和訳で確認し、投資対効果とリスクを評価します。過去には、サービス範囲の翻訳が曖昧だったため、期待する市場データが得られず、戦略策定が遅延した事例がありました。当社は、このようなサービス範囲や成果物に関する条項の正確な翻訳を特に重視しています。

  • 法務部:

    • 必要性: 契約全体の法的妥当性、リスク管理、特に秘密保持、責任制限、知的財産権の帰属、競業避止、準拠法、紛争解決条項の適切性を確認します。東南アジアの契約法、不正競争防止法、労働法への対応が求められます。

    • ケース: 契約書に記載された「コンサルタントが知り得た貴社の顧客情報の秘密保持期間」や「コンサルタントの過失による損害賠償の上限額」を和訳で確認し、法的リスクと対応戦略を評価します。

  • 経理部/財務部:

    • 必要性: 報酬体系、支払いスケジュール、費用精算、税金(源泉徴収税)など、財務上の全てのフローを確認し、適切な会計処理と資金計画を行います。

    • ケース: 契約書に記載された「月次請求書の発行と支払い期限」や「現地での税金負担の取り決め」を和訳で確認し、キャッシュフローと税務リスクを管理します。

 

ケーススタディ2:海外拠点のITシステム導入支援(日本のサービス企業)

 

状況: 日本のサービス企業が、欧州の現地法人に新たなITシステムを導入するため、現地のITコンサルティング企業と英文のコンサルティング契約を締結するケース。

  • 情報システム部/DX推進部:

    • 必要性: 提供されるシステムの機能要件定義、システム設計、導入支援、テスト、トレーニング、プロジェクトマネジメントといったサービスの範囲、成果物(設計書、テスト計画書など)、導入スケジュール、技術的な保証など、システム導入の成否に直結する技術的・運用上の条件を詳細に確認します。

    • ケース: 契約書に記載された「システム設計書の内容と承認プロセス」や「システム導入後のパフォーマンス保証」を和訳で確認し、導入計画とリスクを評価します。

  • 法務部:

    • 必要性: 契約全体の法的妥当性、リスク管理、特に知的財産権の帰属(システム開発におけるコードの所有権など)、秘密保持、責任制限、契約解除条件、準拠法、紛争解決条項の適切性を確認します。欧州各国のデータ保護規制(GDPRなど)、IT関連法規、契約法への対応が求められます。

    • ケース: 契約書に記載された「開発されたカスタムモジュールの知的財産権の帰属」や「コンサルタントのデータ保護義務」を和訳で確認し、法的リスクとデータガバナンス戦略を評価します。

  • 事業部門(例:営業部門、サービス運営部門):

    • 必要性: 導入されるシステムが、業務プロセスや顧客サービスにどのように影響するか、運用開始後のサポート体制、トレーニングの範囲などを確認します。

    • ケース: 契約書に記載された「ユーザー向けトレーニングの回数と内容」や「システム稼働後のサポートレベル合意(SLA)」を和訳で確認し、円滑なシステム移行と運用体制を評価します。

よくある質問(FAQ)

コンサルティング契約書の翻訳に関して、お客様からよくいただくご質問とその回答をまとめました。

Q1: コンサルティング契約書における「コンサルティングサービスの範囲(Scope of Services)」と「成果物(Deliverables)」の条項は、翻訳でどのように注意すべきですか?

A1: これらの条項は、契約の根幹であり、期待値のずれを防ぐために最も厳密な翻訳が求められます。翻訳においては、提供される具体的なサービス内容、業務の目的、達成すべき目標、そして最終的に納品される成果物(レポート、提案書、システム設計書など)を、曖昧な表現を避け、網羅的かつ具体的に表現することが不可欠です。これにより、コンサルタントの業務範囲と貴社が受け取るべき価値が明確になります。

Q2: 「報酬と支払い条件」に関する条項の翻訳で、特に注意すべき点は何ですか?

A2: 報酬と支払い条件は、プロジェクトの予算管理に直結するため非常に重要です。翻訳においては、コンサルティング費用(固定料金、時間単価、成功報酬など、その計算方法や条件)、支払いスケジュール、支払い通貨、為替リスクの負担者、そして旅費交通費などの費用精算ルールを正確に表現することが不可欠です。不正確な翻訳は、予期せぬ費用発生や支払い遅延、最終的には紛争の原因となります。

Q3: 国際的なコンサルティング契約で、「知的財産権の帰属(Intellectual Property Rights)」の条項はなぜ重要視されますか? A3: コンサルティング業務の過程で、新たなノウハウ、レポート、分析モデル、ソフトウェアなどが生み出されることがあります。翻訳においては、これらの成果物に関する特許、著作権、ノウハウなどの知的財産権が、貴社とコンサルタントのどちらに帰属するのか、または共同所有となるのかを厳密に表現することが極めて重要です。この取り決めが曖昧だと、将来的に知的財産権を巡る大きな紛争に発展するリスクがあります。

Q4: 契約期間中の「秘密保持義務(Confidentiality)」に関する条項は、どのように注意して翻訳すべきですか?

A4: コンサルタントは貴社の機密情報にアクセスするため、その保護は極めて重要です。翻訳においては、秘密情報の定義(どのような情報が秘密か)、秘密保持義務の範囲(目的外利用の禁止、第三者への開示制限)、秘密保持義務の期間、そして違反時の措置を明確に表現することが不可欠です。これにより、貴社の事業戦略、顧客情報、技術情報などが確実に保護されます。

Q5: コンサルティング契約書で「責任の制限(Limitation of Liability)」と「準拠法・紛争解決」の条項が非常に重要と言われるのはなぜですか?

A5: 「責任の制限」は、コンサルタントの過失や不備によって貴社に損害が生じた場合の、コンサルタントが負う損害賠償の責任の上限額を明確に定める条項であり、翻訳ではその金額と条件を正確に把握することが重要です。一方、「準拠法(Governing Law)」は契約の解釈・有効性・履行に適用される法律であり、「紛争解決」は問題発生時の解決プロセス(国際仲裁が一般的)を定めます。国によって法的枠組みが異なるため、これらの条項を正確に翻訳し理解することは、法的安定性を確保し、将来的な紛争のリスクと費用を管理する上で極めて重要です。自社にとって有利な準拠法や紛争解決地を指定することが戦略上も重要です。

 

まとめ

コンサルティング契約書の翻訳は、単なる言語の変換に留まらず、企業が国際市場で専門知識を効果的に活用し、戦略的な目標を達成するための極めて重要なプロセスです。英文と和文の契約書が持つそれぞれの特徴を深く理解し、経営戦略、法務、経理、情報システムといった各部門が連携しながら、専門知識を持つ翻訳者の力を借りることが不可欠ですし、これまでの経験から当社はこれを強く認識しています。

特に、サービスの範囲と成果物、報酬と支払い条件、知的財産権の帰属、秘密保持義務、責任制限、そして準拠法と紛争解決といった条項は、潜在的なリスクを最小限に抑え、国際ビジネスにおけるコンサルティングプロジェクトの成功への鍵となります。

 

当社は、このような複雑なコンサルティング契約書の翻訳において、貴社の各部門のニーズを理解し、最高品質の翻訳とサポートを提供することをお約束します。貴社の海外ビジネスにおけるコンサルティング契約に関してご不明な点やご相談がありましたら、ぜひお気軽にお気軽にお問い合わせください。

 

契約書の翻訳-1WIPジャパンは、東京弁護士共同組合神奈川県弁護士共同組合をはじめとする全国23の弁護士共同組合の特約店に認定されています。
ご相談は無料です。いつでもお気軽にご連絡ください。

 

【無料】PDFダウンロード

image-png-Feb-26-2025-03-24-12-5725-AM契約書の基本用語英訳50選

一言に契約書といっても、業務委託契約書(Services Agreement)、独立請負人契約書(Independent Contractor Agreement)、秘密保持契約書(Non-Disclosure Agreement)、業務提携契約書(Business Partnership Agreement)など、様々なものがあり、契約の種類も多様化しています。

契約内容を正しく理解し、法的リスクを回避するには、適切な英訳が不可欠です。本記事では、契約書における基本用語の英訳50選をご紹介します。 
>>PDFダウンロード(無料)


翻訳発注に失敗しない10のポイント「翻訳発注」に失敗しない10のポイント

翻訳の発注に失敗しないためには、どうすればいいのか。

翻訳外注コストを抑えるには、どうすればいいのか。
これらの課題の解決策をお教えします。

翻訳発注に失敗しないためには、知らないではすまされない重要なポイント!

優れた翻訳会社ほど多忙で引く手あまたです。価格が相場に比べて格段に低い翻訳会社は、良心的なのか、それとも単に制作プロセスを簡単に済ませているだけなのかをよく見極めましょう。また、同じ翻訳会社でも、制作プロセス次第で翻訳料金は大きく上下します。希望するレベルを詳細に伝えることで、翻訳会社は最適なプロセスをデザインすることができます。 >>PDFダウンロード(無料)


契約書翻訳に役立つリンク集

法務省大臣官房司法法制部「法令翻訳の手引き」(PDF)
日本法令外国語訳推進会議「法令用語日英標準対訳辞書」(PDF)
Publiclegal(英文契約書のテンプレートや書式を無料で提供)
日本法令外国語訳データベースシステム(法務省が開設した日本の法令の英訳サイト)
weblio 英和辞典・和英辞典
英辞郎 on the web

 

契約書翻訳に関連する記事

【2024年版】ビジネスで欠かせない「契約書翻訳」におすすめの8つのポイント
契約書翻訳を依頼する際に知っておいていただきたいこと
契約書の翻訳を外注するとき、特に注意すべき3点
翻訳会社のプロの法律系翻訳者が選ぶ!契約書の英訳におすすめの書籍12選
法律文書:AI翻訳時代における人力翻訳の価値とは?

  • Twitter
  • facebook
  • LINE
  • pocket
  • はてな

翻訳会社を選ぶおすすめの依頼方法:失敗しない10のキホン

WIPの翻訳をつくるサービスはこちら