商品を海外市場に展開するにあたって、「グローバリゼーション」、「インターナショナリゼーション」、「ローカリゼーション」といったキーワードがよく使用されます。
簡単に説明すると、ウェブサイトのグローバリゼーション(多言語化)には、自国を超えてより大きい市場のオーディエンスに向けたインターナショナリゼーション(汎用化、国際化)と、特定の地域の市場に最適化するローカリゼーション(特化、地域化)という作業があります。
では、実際にはそれぞれどういった意味をもっているのでしょうか?
ここではウェブサイトにおいての「グローバリゼーション」、「インターナショナリゼーション」、「ローカリゼーション」が、どういったプロセスを指すのかをご紹介します。
グローバリゼーションとは
グローバリゼーション(多言語化、グローバル化)とは、ウェブサイトを海外のターゲットユーザーに不自由なく閲覧してもらえるように設計していく過程で必要となるプロセス全てを含んだ総称です。
インターナショナリゼーションとローカリゼーションは、グローバリゼーションを行うためのプロセスの一つということになります。また、市場調査などの準備過程も多言語化に含まれます。
違いがわかりにくいカタカナワードですが、これらの関係性を簡単に図式化すると下のようになります。
グローバリゼーション、インターナショナリゼーション、
ローカリゼーションの関係性の図式化
インターナショナリゼーションとは
インターナショナリゼーションとは、ウェブサイトをひとつの言語または文化用に特化せずに、いかなる言語または文化においてもデザイン・システム設計を変更しないで使えるように汎用化するプロセスを指しています。
主な作業としては、以下のような点が挙げられます。
デザイン面:
- 言語間で共通のテンプレートを使用し、統一したヘッダー・フッターを用いる
- デザインガイドラインを設定して言語間のずれをなくす
システム面:
- 設計をモジュール化し、機能の追加または削除が簡単にできるようにする
このように、言語間で統一されたフォーマットを持つことで、海外市場に向けて共通のブランドイメージを発信できるようになります。さらに異なった言語間であっても更新作業が容易になり、選択言語の増加にも容易に対応できるため、総合的な運用費用を抑えることができるなど様々なメリットがあります。
インターナショナリゼーションはウェブサイトを多言語化する上で、最初に考慮すべきプロセスと言えます。
ローカリゼーションとは
ローカリゼーション(ローカライズ)とは、ウェブサイトをターゲット市場のそれぞれの言語または文化に合わせた適切な内容にすることを指しています。
つまり汎用性を高めるインターナショナリゼーションと、地域に特化させていくローカリゼーションは相反する作業といえます。ローカリゼーションの代表的な作業としては、まず翻訳が挙げられます。
その他にも、言語、文化・慣習ごとに、以下のような様々な項目で違いが生じます。
- 使いやすいレイアウト
- サイン・シンボルの持つ意味
- 美的感覚
- 色の持つイメージ
- ライティングスタイル
- 日付、時間、貨幣などの単位表記
そのため、ローカライゼーションのプロセスをきちんと実施しなければ、ターゲット地域のユーザーに不快感を与えてしまう恐れもありますので注意が必要です。地域ごとの違いで既知のものもあれば、商品(あるいは商品名)によっては新たに海外調査が必要な場合もあるでしょう。
目的(ゴール)に合わせたグローバリゼーションを
このようにウェブサイトのグローバリゼーション(多言語化)には、インターナショナリゼーション(汎用化)とローカリゼーション(特化)の相反する作業が含まれます。
一般的には、まずはインターナショナリゼーションで基盤を作り、次に必要に応じてローカリゼーションを実施、以降は改善のために両プロセスを循環していくといった流れになります。ただ、それぞれをどの程度の割合で適用するかは、ターゲット市場に合わせて慎重に検討する必要があります。
例えばコーポレートサイトなどで世界共通の統一されたブランドイメージの認知を目指す場合には、インターナショナリゼーションの割合がより多く適用されるべきでしょう。また商品のキャンペーンサイトなどでは、ターゲット市場のニーズに合わせて、よりローカリゼーションを重視したアプローチをとることが効果的な場合もあります。
ウェブサイトの多言語化にあたっては、一体何のためのグローバリゼーションなのか?という、明確な目的(ゴール)設定を行いましょう。