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Feb. 03, 2021

ISO17100とは?認証翻訳会社の品質管理と選び方

 

ISO17100は、翻訳者やチェッカーの力量、翻訳工程、プロジェクト管理などについて定めた、翻訳サービスの品質管理体制に関する国際規格です。翻訳会社を選ぶ際の判断材料の一つになりますが、ISO17100認証を取得している翻訳会社であれば、すべての翻訳案件の品質が自動的に保証されるわけではありません。

 

認証の対象となる言語、専門分野、翻訳工程が、依頼する案件の認証範囲に含まれるかどうかを確認することが重要です。この記事では、ISO17100の基本的な内容に加えて、ISO17100認証の翻訳会社に依頼するメリット、翻訳会社を選ぶ際の確認ポイント、WIPジャパンの品質管理体制について解説します。

 

ISO17100とは

ISO17100は、翻訳サービスを提供するために必要な人的資源、技術的資源、品質管理、プロジェクト管理などについて定めた国際規格です。個々の訳文の正しさを直接認証するものではなく、一定の品質を実現するための翻訳工程や管理体制を対象としています。

 

ISO17100では、主に次のような項目について要求事項が定められています。

 

  • 翻訳者やチェッカーに求められる力量
  • 翻訳とチェックの工程
  • プロジェクトマネージャーの役割
  • 顧客から提供された情報や資料の管理
  • 翻訳プロジェクトの記録
  • 顧客からのフィードバックへの対応
  • 品質上の問題が発生した場合の是正

 

ISO17100に基づく翻訳サービスでは、翻訳者が訳文を作成するだけでなく、別の適格な担当者が原文と訳文を照合する工程が求められます。

 

ISO17100認証の翻訳会社に依頼するメリット

ISO17100認証を取得している翻訳会社では、翻訳者個人の経験や判断だけに依存せず、組織として翻訳品質を管理する仕組みが整備されています。発注企業にとっては、次のようなメリットがあります。

 

翻訳者・チェッカーの力量が管理されている
ISO17100では、翻訳者やチェッカーについて、学歴、専門教育、実務経験などに関する要件が定められています。案件に必要な言語能力や専門知識を持つ人材を選定し、その力量を継続的に管理することが求められます。

 

翻訳者とは別の担当者が訳文を確認する
ISO17100に基づく翻訳工程では、翻訳者によるセルフチェックに加え、別の担当者による原文と訳文の照合が行われます。読みやすさだけを確認するのではなく、原文の内容が正確に反映されているか、数字や固有名詞の誤り、訳抜けがないかなどを確認します。

 

翻訳プロジェクトの管理方法が明確になる
翻訳を開始する前に、対象言語、用途、納期、専門分野、参考資料、用語集、納品形式などを確認します。担当者の選定や工程の進行状況についても、一定の手順に基づいて管理されます。

 

問題発生時の対応方法が整備されている
顧客から指摘やフィードバックがあった場合、その内容を記録し、原因を確認して、必要に応じて改善につなげる仕組みが求められます。単発の修正で終わらせず、再発防止や次回案件の品質改善につなげられることが重要です。

 

ISO17100が定める翻訳工程

ISO17100に基づく代表的な翻訳工程は、次のように構成されます。

 

1. 翻訳前の確認
翻訳を開始する前に、顧客の要望や案件の条件を確認します。主な確認項目は、翻訳対象の言語、文書の用途、想定読者、専門分野、希望納期、納品形式、用語集や過去の翻訳データ、表記ルール、機密情報の取扱条件などです。この段階で条件が十分に整理されていないと、翻訳後の修正や手戻りが発生しやすくなります。

 

2. 翻訳
案件の言語、専門分野、用途に適した翻訳者が翻訳を行います。翻訳者は、原文の意味を正確に理解したうえで、専門用語、文体、対象読者、顧客の指定ルールなどを考慮して訳文を作成します。

 

3. 翻訳者によるセルフチェック
翻訳者自身が原文と訳文を確認します。誤訳・訳抜けの有無、数字や単位の正確性、固有名詞の正確性、用語の統一、文体や表記が指定に沿っているかなどを確認します。

 

4. 別の担当者による照合・チェック
翻訳者とは別の適格な担当者が、原文と訳文を照合します。原文の情報が正確に反映されているかを確認し、必要に応じて修正を行います。

 

5. 最終確認・納品
顧客の指示、納品形式、ファイル構成、表記ルールなどに沿っているかを確認し、納品します。案件によっては、レイアウト確認や最終検品などの工程を追加することもあります。

 

翻訳者・チェッカーに求められる資格と力量

ISO17100では、翻訳者に対して、言語能力だけでなく、翻訳能力、調査能力、専門分野の知識、技術的な能力などが求められます。翻訳者は、規格が定める学歴、翻訳教育、実務経験などの条件のうち、所定の要件を満たす必要があります。

 

また、チェッカーには、翻訳者と同等の力量に加え、原文と訳文を比較し、問題を発見して修正する能力が必要です。翻訳会社には、こうした人材の力量を確認し、案件に応じて適切な担当者を選定することが求められます。

 

ISO17100認証があれば翻訳品質は保証されるのか

ISO17100認証は、誤訳が一切発生しないことや、すべての訳文が完全に正しいことを保証するものではありません。ISO17100が対象としているのは、適切な翻訳者やチェッカーを選定し、定められた工程で翻訳サービスを提供するための管理体制です。

 

実際の翻訳品質には、原文の分かりやすさ、専門分野の難易度、参考資料や用語集の有無、納期、予算、翻訳者の専門性、顧客から提供される情報、チェック工程の範囲、文書の用途といった要素も影響します。

 

そのため、翻訳を依頼する際には、ISO17100認証の有無だけでなく、依頼する文書に適した担当者や工程が設定されているかを確認する必要があります。

 

ISO17100対応の翻訳会社を選ぶポイント

ISO17100対応の翻訳会社を選ぶ際には、認証を取得しているかどうかだけではなく、その認証範囲や実際の対応内容を確認することが重要です。

 

1. 認証が現在も有効か確認する
翻訳会社のWebサイトや認証機関の情報を確認し、ISO17100認証が現在も有効であるかを確認します。可能であれば、認証番号、認証機関、認証取得日、更新状況、認証範囲も確認します。

 

2. 対象言語を確認する
ISO17100認証の対象となる言語や言語方向は、翻訳会社によって異なる場合があります。依頼したい言語が認証範囲に含まれているかを確認します。

 

3. 対象となる専門分野を確認する
法務、金融、医薬、工業、技術、広報など、翻訳会社によって得意分野や認証対象分野が異なります。認証を取得していても、依頼する文書の分野が認証範囲に含まれていない可能性があります。

 

4. 依頼案件がISO17100対応工程になるか確認する
翻訳会社がISO17100認証を取得していても、すべての案件が自動的にISO17100対応になるとは限りません。見積りを依頼する際には、ISO17100対応の工程で実施されるか、翻訳者とは別の担当者が照合するか、どのようなチェックが含まれるか、通常の翻訳プランとの違い、追加費用や納期への影響を確認します。

 

5. 翻訳者・チェッカーの選定基準を確認する
資格要件を満たしているだけでなく、依頼する専門分野の知識や経験があるかも重要です。契約書、医薬品資料、技術マニュアルでは、それぞれ異なる専門知識が求められます。

 

6. 品質管理体制を確認する
用語集や過去訳の管理、翻訳メモリの運用、修正履歴の記録、顧客フィードバックへの対応なども確認します。長期的・継続的に翻訳を依頼する場合は、案件単位のチェックだけでなく、継続的に品質を改善できる体制があるかが重要です。

 

7. 機密情報の管理体制を確認する
翻訳対象には、契約書、社内規程、製品情報、個人情報などの機密情報が含まれることがあります。ISO17100への対応だけでなく、秘密保持契約、アクセス管理、データ保管、外部翻訳者への情報管理などについても確認する必要があります。

 

AI翻訳・ポストエディットとISO17100の関係

ISO17100は、人による翻訳サービスを対象とした規格(ISO17100では、機械翻訳の出力とポストエディットを組み合わせたサービスは適用範囲外)です。生成AIを含む機械翻訳システムの出力を人が修正するポストエディットについては、ISO18587が関連します。

 

そのため、翻訳会社がAI翻訳や機械翻訳を使用する場合は、ISO17100の対象工程か、機械翻訳を使用するか、使用する場合はどの工程で使用するか、ポストエディットの範囲、人による原文との照合が行われるか、機密情報を外部AIサービスへ入力するか、AI翻訳の利用について顧客への説明があるかを確認する必要があります。

 

ISO17100認証の有無だけでなく、実際の翻訳方法や品質管理工程を確認することが重要です。

 

WIPジャパンのISO17100認証と品質管理体制

WIPジャパンでは、文書の用途、専門分野、対象言語、納期、予算などを確認したうえで、案件に適した翻訳工程をご提案しています。ISO17100対応が必要な案件については、認証範囲や必要な工程を確認し、対応の可否をご案内します。

 

WIPジャパンの認証情報
認証規格:ISO17100
認証取得:2021年2月
認証番号:JSAT 054
認証機関:日本規格協会ソリューションズ株式会社
認証対象言語:日英、英日
認証対象分野:A(契約・法務・財務・経営)・B(医療・医薬品・医療機器)・C(製造・工業・IT・ゲーム)・E(その他(行政・教育・観光・インバウンド関連))分野

 

対応可能な文書の例
契約書・法務文書、金融・IR関連資料、医薬・医療関連文書、製品マニュアル・技術資料、社内規程・就業規則、会社案内・広報資料、官公庁・大学・研究機関向け文書など
※実際の対応可否やISO17100の認証範囲は、対象言語、文書分野、納期などによって異なります。

 

ISO17100対応をご希望の場合
見積りをご依頼いただく際に、ISO17100対応を希望する旨をお知らせください。原文と翻訳先の言語、文書の内容、文書の用途、提出先、希望納期、データ形式、希望するチェック工程、ISO17100対応が必要な理由(認証範囲に関する提出先からの指定など)をあわせてお伝えいただくと、対応可否や工程を確認しやすくなります。

 

ISO17100に関するよくある質問

ISO17100認証を取得している翻訳会社は何が違いますか
翻訳者やチェッカーの力量、翻訳工程、プロジェクト管理、顧客フィードバックへの対応などが、国際規格の要求事項に基づいて管理されています。ただし、実際の対応範囲は翻訳会社や案件によって異なるため、見積り時に確認する必要があります。

 

ISO17100認証があれば誤訳は発生しませんか
ISO17100は、誤訳が一切発生しないことを保証する規格ではありません。一定の品質を実現するために、適切な人材と工程を管理する仕組みについて定めた規格です。

 

すべての言語や専門分野が認証対象ですか
認証の対象となる言語、言語方向、専門分野などは、翻訳会社によって異なります。依頼する言語や文書分野が認証範囲に含まれるかを確認してください。

 

認証翻訳会社へ依頼すれば、すべての案件がISO17100対応になりますか
必ずしもすべての案件がISO17100対応になるとは限りません。翻訳プラン、予算、納期、対象言語などによって工程が異なるため、依頼時にISO17100対応を希望することを伝える必要があります。

 

ISO17100ではネイティブチェックも必須ですか
ISO17100では、翻訳者とは別の担当者が原文と訳文を照合する工程が求められます。ただし、一般に「ネイティブチェック」と呼ばれる、訳文の自然さや読みやすさのみを確認する工程とは、目的や確認範囲が異なる場合があります。

 

AI翻訳を使った案件もISO17100の対象ですか
ISO17100は、人による翻訳サービスを対象としています。機械翻訳の出力を修正するポストエディットについては、ISO18587という別の規格があります。AI翻訳や機械翻訳の使用有無、ポストエディットの工程については、翻訳会社へ確認してください。

 

ISO17100対応の翻訳を依頼するにはどうすればよいですか
見積り依頼時に、ISO17100対応が必要であることを伝えます。あわせて、文書の用途、提出先、対象言語、希望納期、必要なチェック工程などを伝えると、適切な提案を受けやすくなります。

 

まとめ

ISO17100は、翻訳者やチェッカーの力量、翻訳工程、プロジェクト管理などについて定めた、翻訳サービスの国際規格です。ISO17100認証の翻訳会社を選ぶことで、一定の基準に基づいた翻訳工程や品質管理体制を確認しやすくなります。

 

一方で、認証を取得しているだけで、すべての言語、専門分野、翻訳案件がISO17100の対象になるわけではありません。翻訳会社を選ぶ際には、認証が現在も有効か、依頼する言語・専門分野が認証範囲に含まれるか、ISO17100対応の工程で実施されるか、翻訳者とは別の担当者による照合があるか、機密情報の管理体制が整備されているかを確認することが重要です。

 

ISO17100認証を受けた翻訳サービス提供者及び翻訳対象分野について、一般財団法人日本規格協会のウェブサイト(https://shinsaweb.jsa.or.jp/MS/Service/ISO17100)にて確認することができます。翻訳サービスをご利用の際に、管理体制と品質面の両方において信頼性の高い取引先を探す参考となればと思います。

 

高度な「言語力」と「専門性」を兼ねそなえた一流の翻訳づくりを提供するWIPジャパンは、2021年2月にISO17100を取得しています。ISO17100対応の翻訳をご検討の場合は、対象言語、文書内容、用途、納期などを添えて、ぜひご相談ください。

 

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