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Sep. 17, 2025

グローバルビジネスの羅針盤:世界各国の最新法規制トレンド徹底解説

 

現代のグローバルビジネスにおいて、企業が直面する最大の課題の一つは、刻々と変化する世界各国の法規制です。脱炭素、データプライバシー、AI、サステナビリティなど、新たな社会課題に対応するため、各国政府はかつてないスピードで法改正を進めています。

この法改正の波は、単なる手続き上の変更ではありません。それは、事業のサプライチェーン、製品開発、マーケティング、そして企業のブランドイメージそのものを根底から揺るがす、新たなビジネス環境の到来を意味します。

WIPジャパンの海外リサーチ部門は、この複雑な法規制の迷路を解き明かすための羅針盤です。ここでは、特に注目すべき最新の法規制トレンドを、専門的な視点から徹底的に解説します。

 


目次


 

1. サステナビリティ・環境規制:グリーンエコノミーへの転換

世界的な気候変動対策が加速する中、企業活動の環境負荷を問う法規制が、輸出入やサプライチェーンのあり方を根本から変えようとしています。

 

EUのCBAM(炭素国境調整メカニズム)

概要:EU域外から輸入される特定の品目(鉄鋼、アルミニウム、セメント、肥料、電力、水素など)に対し、製造過程で排出された温室効果ガス量(埋込排出量)に応じて税を課す制度。2023年10月から移行期間に入り、2026年からは正式に賦課金が徴収されます。

なぜ注目すべきか: CBAMは、単なる環境政策ではなく、貿易政策としての側面を持ちます。EUの厳しい環境基準を満たさない輸入品にコストを課すことで、EU域内産業の競争力を保護し、「カーボンの漏出」を防ぐことを目的としています。これにより、日本の製造業は、製品のカーボンフットプリントを正確に把握し、サプライチェーン全体での排出量削減に取り組む必要に迫られます。

具体的な影響

  • コスト増大: 埋込排出量が多ければ多いほど、CBAM証書の購入費用が増大し、製品の価格競争力が低下します。

  • データ報告義務: 移行期間中であっても、四半期ごとの詳細な排出量報告が義務付けられています。データ収集体制が整っていない場合、通関の遅延や罰金のリスクがあります。

  • 新たな非関税障壁: 一部の国や産業からは、不公平な貿易慣行だとの批判も出ており、国際貿易の新たなルールとして、その動向を注視する必要があります。

関連記事:EUのCBAMがもたらす新たな貿易障壁:事業への影響評価と対応戦略

 

ドイツのサプライチェーンデューデリジェンス法(LkSG)

概要:2023年1月に施行されたこの法律は、一定規模以上のドイツ企業に対し、自社およびサプライヤーのサプライチェーン全体における人権や環境への配慮(デューデリジェンス)を義務付けるものです。

なぜ注目すべきか: この法律の適用対象はドイツ企業ですが、そのサプライヤーである日本企業にも間接的に大きな影響を及ぼします。ドイツの取引先から、サプライチェーン上の強制労働や環境汚染リスクに関する詳細な報告を求められるケースが増えています。この要求に応えられない場合、取引停止のリスクに直面します。

具体的な影響

  • 情報開示の義務: 人権侵害や環境問題に関するリスクを特定・分析し、是正措置を取った記録を保持・報告する義務が生じます。

  • 監査の強化: ドイツ企業は、サプライヤーに対して監査を行うことが増え、監査基準を満たすための体制構築が求められます。

2. 化学品・製品安全規制:見過ごせないコンプライアンスの壁

製品の安全性を確保するための規制は、グローバル展開において最も基本的な、かつ複雑な課題です。特に、化学品に関する規制は、その性質上、専門性が高く、国ごとに大きな違いがあります。

GHS(化学品の分類および表示に関する世界調和システム)

概要:GHSは、化学品の危険性・有害性を国際的に統一されたルールで表示するためのシステムです。しかし、GHSは「調和システム」であり、統一された「法律」ではありません。各国が独自の法律としてGHSを導入しているため、その内容は国ごとに千差万別です。

なぜ注目すべきか単にGHSの国際基準を満たすだけでは、コンプライアンスは不十分です。 各国が採用するGHSのバージョン、義務付けられている品目、そしてラベルやSDS(安全データシート)の具体的な表示形式に独自のルールがあるため、これらの違いを無視すると、通関の遅延、罰金、リコールといった重大なトラブルに発展する可能性があります。

具体的な影響

  • 版の差異: GHSは定期的に改訂されますが、EUや日本では第7版、米国では第3版を採用するなど、国によって採用バージョンが異なります。これにより、同じ化学品でも国によって分類や表示が異なる場合があります。

  • 表示形式の細則: ラベルの大きさやフォント、ピクトグラムの配置順序に独自のルールがある国も存在します。また、SDSに国独自の追加項目(例:カナダでの供給者情報)が求められることもあります。

  • 専門リサーチの必要性: これらの複雑な差異に対応するためには、輸出先の最新のGHS関連法規を継続的に調査し、正確なSDSやラベルを作成する専門的な知見が不可欠です。

関連記事:GHS対応のための法規制調査:グローバル展開を成功に導く戦略的羅針盤

 

3. デジタル・テクノロジー規制:データとAIの新たなルール

デジタル化が加速するにつれて、個人データ保護やAIの倫理的利用に関する法規制が、ビジネスの根幹を揺るがしています。

EUのGDPR(一般データ保護規則)

概要:2018年に施行されたGDPRは、EU市民の個人情報保護を目的とした包括的な法律です。EU域外の企業であっても、EU市民のデータを扱う場合は、GDPRの適用を受けます。

なぜ注目すべきか: GDPRは、世界中のデータプライバシー法に影響を与えた「デファクトスタンダード」です。違反した場合、最大で全世界売上の4%または2,000万ユーロのいずれか高い方の額が罰金として科されます。企業は、データ取得の際の「同意」の取得方法、データの保管方法、利用目的などを厳格に管理する必要があります。

具体的な影響

  • プライバシーポリシーの見直し: GDPRに準拠したプライバシーポリシーの作成・多言語化が必須です。

  • データ管理体制の構築: データの取得、保管、削除に関する厳格な内部プロセスを構築する必要があります。

EUのAI規則(EU AI Act)

概要:AIシステムの安全性を確保し、リスクレベルに応じて規制を設ける、世界初の包括的なAIに関する法規制です。リスクレベルは「許容できないリスク」「高リスク」「限定的リスク」「最小限リスク」の4段階に分類されます。

なぜ注目すべきか: 特に「高リスク」と分類されるAI(例:医療、交通、採用活動などに使われるAI)は、厳格な適合性評価と文書化が義務付けられます。日本企業がEU向けにAIシステムを開発・提供する場合、この規制に準拠しなければ市場に参入できません。

具体的な影響

  • 高リスクAIへの対応: 高リスクAIを開発する場合、品質管理システムの構築、データガバナンスの確保、技術文書の作成、透明性確保のための情報提供などが求められます。

  • 文書の多言語化: 技術文書、ユーザーマニュアル、適合性宣言などをEUの公用語に翻訳する需要が高まります。

4. 医薬品・医療機器規制:命に関わる厳格なルール

医薬品や医療機器は、人々の命に関わるため、各国で最も厳格な法規制が敷かれています。グローバル市場への参入には、各国の薬事規制への綿密な対応が不可欠です。

 

中国の医療機器監督管理条例(SAMR)

概要:中国市場に医療機器を投入する際、国家薬品監督管理局(NMPA)への登録・届出を義務付ける法律です。2021年の改正で、分類、登録、臨床試験、流通に関する規制がさらに厳格化されました。

なぜ注目すべきか: 中国は、巨大な医療機器市場ですが、規制当局の審査プロセスは非常に厳格で複雑です。登録・届出には、膨大な技術文書や臨床試験データを中国語に翻訳し、提出する必要があります。

具体的な影響

  • 技術文書の翻訳: 製品の技術仕様、製造プロセス、品質管理に関する文書を、NMPAが求めるフォーマットと中国語に正確に翻訳する必要があります。

  • 専門リサーチの必要性: 審査プロセスや、要求される文書の最新情報を常に追跡し、対応する必要があります。

米国FDAの医療機器製造・品質システム規制(QSR)

概要:米国のFDA(食品医薬品局)が定める、医療機器メーカーの製造および品質システムに関する規制です。製品の設計から製造、流通、サービスまで、全ての段階で品質を保証するための要件が定められています。

なぜ注目すべきか: QSRは、FDAの査察(インスペクション)の対象となります。査察官は、製造記録、設計ファイル、苦情処理記録などを確認し、QSRに準拠しているかを厳格にチェックします。査察に備え、すべての文書を正確に英語で管理しておくことが不可欠です。

 

5. なぜ弊社の専門サービスが必要なのか?

これらの法規制は、それぞれが複雑で専門性が高く、かつ常に変化しています。

課題1:どの国の法律を調べればいいか分からない

世界中に存在する無数の法規制から、自社に関わるものを特定するのは至難の業です。

  • 弊社の解決策: 弊社の海外リサーチ部門は、お客様の事業や製品、進出予定国をヒアリングし、関連性の高い法規制を特定します。その上で、法令の条文、ガイドライン、規制当局の公式見解など、信頼性の高い情報源から最新の情報を網羅的に収集します。

課題2:調査結果を自社でどう解釈すればいいか分からない

法律や規制の専門用語は難解で、自社で調査してもその内容を正しく解釈することは困難です。

  • 弊社の解決策: 私たちは、収集した情報をただ羅列するのではなく、「御社のビジネスにどのような影響があるか」という視点で分析し、具体的な対応策を提案します。

課題3:膨大な文書の翻訳にコストと時間がかかる

法規制に対応するためには、技術文書や報告書など、膨大な量の専門文書を正確に翻訳する必要があります。

 

  • 弊社の解決策: 法規制を熟知した専門の翻訳者が、正確かつ各国の規制に準拠した多言語翻訳を行います。文化的背景や現地の商習慣も考慮に入れた、信頼性の高い訳文を提供します。

まとめ:法規制への対応は「リスク管理」から「成長戦略」へ

世界的な法規制の波は、企業にとっての「リスク」であると同時に、いち早く対応することで競合他社に差をつける「成長戦略」でもあります。

正確な法規制調査と専門的な翻訳は、海外市場でのコンプライアンスを確保するだけでなく、企業の透明性と信頼性を高め、新たなビジネス機会を創出するための強力な武器となります。

WIPジャパンは、この複雑なグローバル環境を乗り越え、お客様の海外展開を成功に導くための強力なパートナーとなります。

 

 

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