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Feb. 24, 2026

調査票の翻訳がアンケート結果を左右する?精度の高い設問の作り方と「多言語リサーチ」の落とし穴

 

「海外市場の実態を知りたい」「現地のニーズを汲み取りたい」――。海外展開を検討する際、まず手掛けるのがアンケート調査(サーベイ)です。しかし、日本国内で完成させた調査票をそのまま「翻訳」して配信し、期待通りの回答が得られず頭を抱えるケースが後を絶ちません。


なぜ、優秀な翻訳者に依頼したはずの調査票で、データが歪んでしまうのか。そこには、言語の置き換えだけでは解決できない「文化的な文脈」と「リサーチ設計」の深い溝があります。本稿では、当社が数多くの海外調査を支援する中で見えてきた、精度の高い多言語設問を作るための鉄則を解説します。

1. 調査票における「翻訳」と「ローカライズ」の決定的な違い

一般的に「翻訳」といえば、原文の意味を正確に別の言語へ移すことを指します。しかし、リサーチの世界では「意味が通じる」だけでは不十分です。

設問の「意図」を翻訳しているか?

例えば、日本でよく使われる「やや満足」という選択肢。これを英語で "Somewhat satisfied" と訳すのは標準的ですが、東南アジアのある国では「満足しているが改善点がある」とポジティブに捉えられる一方、欧州のある国では「不満ではないが、特筆すべき点もない(=実質的には低い評価)」とニュアンスが分かれることがあります。

尺度(スケール)の文化差

尺度の捉え方も国によって異なります。中東や中南米では最高点か最低点に回答が集中する「極端回答傾向」があり、日本や東アジアでは「どちらともいえない」に集まる「中心化傾向」があります。これを知らずに直訳で調査を行うと、誤った経営判断を下すリスクが生じます。

2. 現場の迷いから学ぶ「片栗粉」の教訓:名称と成分の不整合

社内での議論でも上がった興味深い事例に「片栗粉」の名称問題があります。ある食品メーカーが海外で「Potato Starch(馬鈴薯でんぷん)」として調査を行おうとした際、現地の翻訳者やリサーチャーから待ったがかかりました。

その国で「片栗粉(的なもの)」として流通しているのがトウモロコシ由来かタピオカ由来かによって、消費者が抱くイメージが全く異なります。単に辞書的に訳すのではなく、その市場で「消費者がそれを何と呼び、どう認識しているか」を事前にリサーチしてから設問を作らなければ、回答データはゴミ同然になってしまいます。

3. 精度の高い設問を作るための「3つの黄金律」

精度の高い多言語アンケートを実現するために、当社が推奨しているフローをご紹介します。

① 「ダブル・トランスレーション(折り返し翻訳)」の実施

日本語を英語に訳すだけでなく、その英語を別の翻訳者が日本語に戻すプロセスです。戻ってきた日本語が元の設問とズレていれば、それは設問の解釈が複数存在する(=曖昧である)証拠です。回答者が迷わないよう、この段階で設問を削ぎ落とします。

② 属性設問(デモグラフィックス)の現地最適化

「年収」や「学歴」の選択肢を日本と同じにしてはいけません。通貨単位だけでなく、その国の「富裕層」と「中間層」の区切りに合わせたレンジ設定や、その国の教育制度に即した区分でなければ、正しい属性分析ができません。

③ 専門用語を「平易な日常語」へ分解する

一般消費者向けの調査では、専門家が使うようなカタカナ語や専門用語はタブーです。翻訳部門とリサーチ部門が連携し、「日常の会話でその概念をどう表現するか」を検討することで、回答の離脱率を劇的に下げることができます。

4. なぜ「リサーチ」と「翻訳」の分断が失敗を招くのか

多くの企業では、調査会社に「設計」を頼み、翻訳会社に「翻訳」を頼むという分業体制を取っていますが、ここに大きな落とし穴があります。翻訳者は「言葉」のプロですが「データ分析」のプロではなく、逆にリサーチャーは言語特有の「ニュアンスの微差」まで踏み込めないことがあるからです。

当社が提案する「クロスセル(連携)」の価値

当社では、リサーチ部門と翻訳部門が密接に連携しています。「この設問は英語にすると2通りの解釈ができる」という翻訳者視点と、「この言語圏では肯定文に書き換えましょう」というリサーチャー視点。このような「上流工程でのクロスチェック」ができるかどうかが、調査結果の信頼性を左右します。

5. 海外アンケートを成功させるためのチェックリスト

用語の定義:専門用語や製品カテゴリー名は、現地で正しく認知されているか?
尺度の適切性:その国の人にとって、5段階評価は答えやすいものか?
画像・ビジュアルの活用:言葉だけでは伝わらないニュアンスを補足しているか?
スマホ最適化:翻訳後のテキスト長が画面を圧迫していないか?
プレテストの実施:本調査の前に、現地の人に違和感がないかを確認したか?

結論:データは「言葉」からできている

海外マーケティングにおいて、アンケートデータは「羅針盤」です。しかし、その羅針盤の目盛りが「不適切な翻訳」によって狂っていたら、どれほど精緻な分析を行っても、たどり着く場所を間違えてしまいます。

調査票の翻訳は、単なる作業ではありません。現地の文化を理解し、回答者の心理を想像し、精度の高いデータを抽出するための「インフラ構築」なのです。


貴社のリサーチを、確かな「意思決定」の武器にするために

当社では、グローバル市場での実態把握を支援する、高度な多言語リサーチサービスを提供しています。

翻訳者×リサーチャーによる「調査票ローカライズ」
世界各国の文化・回答傾向を踏まえた「設問設計」の最適化
現地ネイティブによるプレテストとネガティブチェック


「今の調査票で本当に正しいデータが取れるだろうか?」という不安を、確かな精度に基づいた「確信」へと変えます。

グローバル展開の成功は、現地の声を正しく聴くことから始まります。貴社のビジネスが世界で正しく羽ばたくために、私たち専門家チームが伴走いたします。

貴社の調査目的に合わせた最適なリサーチプランをご提案します

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