<img src="https://trc.taboola.com/1341089/log/3/unip?en=page_view" width="0" height="0" style="display:none">
  • Twitter
  • facebook
  • LINE
  • pocket
  • はてな
Jun. 21, 2022

取扱説明書やマニュアルの翻訳をする上でPL法をどう考えるべきか

 

 

製造法責任法とは(PL法:Product Liability Act)

そもそもPL法とは、製品の欠陥によって人の生命、身体又は財産に被害を被ったことを証明した場合に、被害者は製造業者等に対して損害賠償を求めることができるとする法律です。別の言葉で言い換えますと、「欠陥」のある製品を製造した業者・輸入した業者は、その製品が原因で生じた損害を弁償しなければならないとする法律です。では「欠陥」とは何でしょうか。

 

PL上の欠陥とは

PL上の「製品の欠陥」とは以下の3つです。

1 設計上の欠陥
設計段階で十分に安全性に配慮しなかった欠陥


2 製造上の欠陥
製造過程で設計・仕様どおりに作られなかった等の欠陥

 

3 指示・警告上の欠陥
製品から除去できない危険について、その危険を防止・回避するための情報をユーザーに与えなかった欠陥

 

この考え方は日本も海外も同じです。そして、この中で取扱説明書やマニュアルに関係する欠陥は3の欠陥です。1や2に欠陥がなくても、3に欠陥がある場合、大きな訴訟問題になることがあります。では、記述についてどう考えればよいのでしょうか。


以前、PL法の制定が話題に上がってきた際、あらゆる注意事項を網羅的に細かく書かないといけないのではないかと、そうでないと購入者やユーザーからドンドンと訴訟を起こされるのではないかと、製造業界やマニュアル業界が騒然となりました。しかし、その後、家電やおもちゃなどの業界団体が、表示に関するガイドラインを決め、「危険、警告、注意」というレベルで、注意事項を整理し、「やってはいけないこと」を明確に記載、通常の人が合理的な方法で使うことを前提に書けばOK、とする考え方が定着してきました。

加えて、取扱説明書等の使用情報の国際規格としてIEC 82079-1等が整備されています。一度確認しておくことをお勧めします。詳しくは参考までに後述します。では、翻訳にはどのように関係するでしょうか。

 

翻訳上留意すべき点とは

日本から海外に輸出する製品に付属する説明書やマニュアルは、製品を構成する重要な一部です。特に製品から除去できない危険がある場合は、その危険を消費者が防止・回避できるよう、適切な指示を取扱説明書に書いておく必要があり、したがって、海外に製品を輸出する場合、その製品の購入者やユーザーが使用する言語に適切に翻訳されている必要があります。

そこで、外国語に翻訳する上でどのような注意が必要か、ですが、そもそも基本に立ち返って、その製品の誤使用リスクについて漏れがないか、海外を想定した洗い出しが最も重要です。なぜなら、そもそも設計段階や製造過程で見過ごされた欠陥、過小評価された欠陥については、取扱説明書やマニュアルに具体的な指示や警告が掲載されることがないからです。

そして、誤訳は決して許されませんので、誤訳を避けるため、原文となる日本語の記述について以下の点に注意が必要です。

1 翻訳されることを意識した日本語ライティングになっているか


2 明瞭、簡潔、文化的に公平な文章になっているか


3 体言止めや断片的な文章を避け、なるべく主語と述語を明確にしているか


4 日本だけで理解される決まり文句・語呂合わせ・言葉遊び・俗語や、他の文化では理解されないような比喩表現・ユーモアを使っていないか


5 一部の人だけがわかる略語(ASAP、CRMなど)を避けているか


6 同じものを説明するのに異なる単語を使っていないか


7 文化上、反感を抱かせる表現はないか

 

国別に対応すべきか

国別に記述が変えるべきかという問題があります。基本的な考え方は同じですが、国によって、製品保証・安全標識・警告ラベル・表示ラベルが違う点に注意が必要です。詳しく正確に確認したい場合は該当国について調査をする必要がありますので、WIPの調査部門にお問合せください。

 

WIPの海外リサーチ

 

慎重を期すために

PL訴訟に詳しい弁護士に文言をチェックしてもらうことを検討しましょう。ネットで検索すると見つかります。弁護士への無料相談では、相談まで30分のみとなり、その後の問題解決への依頼については有料となる事務所が多いでしょう。弁護士費用として、1時間1.5万円~が目安になると思われます。

製品保証に関して記述している場合、日本の保証内容をそのまま海外向け保証書に記載すると、法規制違反になるケースがあります。ウイーン売買条約や各国の法律に基づき記載内容を考慮する必要がありますので、現地の弁護士や現地の販売店等に相談することをお勧めします。

取扱説明書ではなく、製品上に表示するラベルについては、正確には各国の法規制に基づいた表示が必要になります。たとえば、EUですとCEマーク等、 米国ですとULマーク・FCCマーク等、中国ではCCCマーク等が必要になり、記載方法の確認が必要となります。

いずれにせよ、海外・国内に限らず、訴訟に対して100%防衛することは難しいので、万一の事故に備えてPL保険も検討が必要かと思われます。海外PL保険については、主要な保険会社は提供しています。商工会議所等に相談すると割引が効くケースもあるかもしれません。ちなみに、保険料は売上と支払限度額に応じて都度個別見積となるでしょう。

 

取扱説明書2

 

 

参考:取扱説明書に求められる必要項目の記載順序(一般社団法人PL対策推進協議会より)

1. 表紙
2. 重要事項説明
3. 製品(商品)説明
4. リスクの洗い出しによる禁止行為の表記
5. 使用方法
6. お手入れ(定期点検などがある場合はそのことも記載)・保管方法
7. トラブルシューティング
8. 製品寿命
9. 保証規定
10. 仕様(試験方法・条件など)
11. 責任主体など

一般家庭用製品のリスクの洗い出しによる禁止行為の表記は2ページ以内にまとめる

 

参考:製品安全に関する法規制・環境規制・化学物質規制・消費者保護関連法等リンク

欧州:
欧州委員会(European Commission) 
https://ec.europa.eu/info/index_en
欧州化学機関(European Chemicals Agency, ECHA) 
https://echa.europa.eu/

米国:
消費者製品安全委員会(Consumer Product Safety Commission, CPSC)
https://www.cpsc.gov/Newsroom
連邦通信委員会(Federal Communications Commission, FCC)
https://www.fcc.gov/news-events
環境保護庁(Environmental Protection Agency, EPA)
https://www.epa.gov/
消費生活用製品安全法(Consumer Product Safety Act)
https://www.cpsc.gov/Regulations-Laws–Standards/Statutes

関連記事

  • Twitter
  • facebook
  • LINE
  • pocket
  • はてな

翻訳会社を選ぶおすすめの依頼方法:失敗しない10のキホン

WIPの翻訳をつくるサービスはこちら