毎日の生活に欠かせない日用品。国内市場では飽和状態が指摘される一方、海外ではまだ見ぬ大きな市場と成長の機会が広がっています。特に、衛生意識の向上、生活水準の向上、都市化の進展といったグローバルなトレンドは、日用品市場の拡大を力強く後押ししています。

日用品と一口に言っても、その範囲は非常に広いです。例えば、

• 家庭用洗剤: 衣料用洗剤、食器用洗剤、住居用洗剤など

• パーソナルケア用品: シャンプー、リンス、石鹸、ボディソープ、歯磨き粉、制汗剤、シェービング用品など

• 衛生用品: ティッシュペーパー、トイレットペーパー、生理用品、紙おむつ、ウェットティッシュ、マスクなど

• 調理・保存用品: ラップ、アルミホイル、保存容器、使い捨て食器など

• 清掃用品: スポンジ、ブラシ、ゴミ袋、掃除機用消耗品など

• 消耗品: 電池、電球、ライターなど

• その他: 防虫剤、芳香剤、靴磨き、接着剤など

これらの日用品を海外展開し、新たな販路を開拓することは、多くの日用品業界企業にとって重要な成長戦略となります。しかし、海外市場への進出はチャンスである一方で、周到な準備と正確な情報に基づいた戦略がなければ、成功は困難です。

特に日用品業界は、各国で異なる厳しい品質・安全規制や、消費者の生活習慣、価格競争の激しさなどが複雑に絡み合っているため、一般的な海外ビジネス情報だけでは不十分です。

「海外でどのような日用品が求められているのか分からない」「現地の品質基準や表示規制に対応できるか不安」「激しい価格競争にどう打ち勝つか」「文化の違いに配慮したプロモーションとは？」――このようなお悩みをお持ちではありませんか？

当社は海外ビジネス支援のプロとして、海外展開を目指す日用品業界企業の皆様が「何を」「どうやって」情報収集すべきか、その具体的なリストと活用法をまとめました。このガイドを参考に、貴社の海外展開を成功させましょう。

1. 各国の日用品市場トレンド・消費者情報：ターゲットを見極める

海外展開の第一歩は、どの市場にどのようなニーズがあるかを知ることです。単に市場規模だけでなく、生活習慣、衛生観念、購買頻度、価格に対する感度などを深く理解することが重要です。

• 市場調査レポート:

  • NielsenIQ, Euromonitor International, Statista, Kantar Worldpanelなど：これらのグローバルな調査会社からは、各国の洗剤、パーソナルケア、衛生用品などのカテゴリー別市場規模、成長率、主要プレイヤー、流通チャネル、そして「サステナブル製品」「肌に優しい製品」「大容量パック」「高機能洗剤」といった最新トレンドの詳細なデータが得られます。

  • JETROの国・地域別市場調査: 日本企業向けに特化された市場分析レポートは、参入障壁や現地ビジネスのヒントに富んでいます。

• 消費者調査データ:

  • 各国の生活習慣（例：洗濯頻度、入浴習慣）、衛生観念、製品選択の基準（価格、ブランド、機能性）、購入場所、メディア接触状況などを分析することで、現地のニーズが見えてきます。

  • 所得水準と購買力: 日用品は価格弾力性が高いため、所得水準に応じた価格設定と製品ラインナップが重要です。

  • 食文化・水質の違い: 食器用洗剤やシャンプーなどは、食文化や水質（硬水・軟水）によって求められる機能が異なります。

  • SNSでの日用品レビューやライフハック情報: リアルタイムの消費者の評判や使用実態を知るのに役立ちます。

活用法: これらの情報から、貴社製品が最も受け入れられる市場はどこか、どのような層にアプローチすべきかを絞り込みます。当社は、これらの市場調査レポートの分析や、現地の消費者調査代行を通じて、貴社のターゲット市場選定をサポートできます。

2. 各国の日用品関連法規制・認証制度：品質と安全性を確保する

日用品は消費者が日常的に使用するものであるため、各国で非常に厳格な安全基準や環境規制が存在します。

• 製品安全基準:

  • 洗剤の成分規制（例：リン酸塩の使用制限）、特定化学物質の使用規制（REACH規則など）、乳幼児が触れる可能性のある製品の安全基準などを確認する必要があります。

  • 電気製品（例：電動歯ブラシ）には電気用品安全法など、それぞれの製品カテゴリーに特有の安全基準が適用されます。

• 表示規制:

  • 成分表示、使用方法、警告表示、原産国表示、容量表示など、各国で定められた必須表示事項を確認します。

  • 「生分解性」「低アレルギー性」といった強調表示に関する規制や、認証マークの表示ルールも重要です。

• 環境規制:

  • プラスチック包装材の使用規制、リサイクル義務、廃棄物処理に関する規制など、環境保護に関する法規制は各国で強化されています。

  • EUのエコラベルや、米国のEPA Safer Choiceなど、環境認証の取得も検討すべきです。

• 衛生・公衆衛生規制:

  • ティッシュや生理用品など、直接肌に触れる製品や衛生を目的とする製品には、特別な衛生基準や製造環境に関する規制が適用される場合があります。

活用法: 各国の規制情報を正確に把握し、必要な認証を取得することで、スムーズな輸出と販売が可能になります。当社では、これらの多言語規制情報の調査や、申請書類の翻訳、専門家のご紹介を通じて、貴社の海外展開をサポートします。

3. 流通チャネル・パートナー情報：商品を届ける道筋

日用品は購入頻度が高く、広範なチャネルで販売されます。現地の流通構造を理解し、最適なチャネルを選ぶことが重要です。

• スーパーマーケット・ハイパーマーケット:

  • 各国の大規模小売チェーン（例：Walmart, Tesco, Carrefour, Lidl, Aldi）は、日用品販売の主要チャネルです。棚割りや販促プロモーションの戦略が重要になります。

• ドラッグストア・薬局:

  • パーソナルケア用品や一部の家庭用洗剤の主要な販売場所です。

• ディスカウントストア・バラエティストア:

  • 価格を重視する消費者層にリーチする上で有効です。

• コンビニエンスストア:

  • 小容量パックや緊急需要に対応する製品に適しています。

• ECプラットフォーム:

  • Amazon, eBay, 各国の大手オンラインスーパーなど、オンラインでの日用品購買も増加傾向にあります。定期購入モデルなども検討します。

• 卸売業者・代理店:

  • 現地の小売店との強固なネットワークを持つパートナーと提携することで、効率的な市場浸透が期待できます。物流網や在庫管理能力も確認すべき点です。

活用法: 当社では、現地でのチャネル調査や、信頼できるパートナー候補の選定支援、商談時の通訳、オンラインストア開設のサポートなど、貴社の流通戦略構築を支援します。

4. 知的財産保護情報：ブランド・技術を守る

日用品業界においても、ブランド名、ロゴ、独自の技術（例：洗浄技術、新素材）などを適切に保護することが重要です。

• 商標登録:

  • 製品名やブランド名、ロゴを海外で商標登録することで、第三者による無断使用を防ぎます。

• 特許登録:

  • 独自の成分配合、製造プロセス、製品構造（例：ブラシの形状、洗剤のボトルデザイン）など、技術的なイノベーションがあれば特許を取得します。

• 意匠登録:

  • 特徴的なパッケージデザインや容器の形状などを意匠権で保護することで、製品の差別化を図ります。

活用法: 知的財産権の取得と侵害対策は専門的な知識が必要です。当社は、専門家（弁理士など）のご紹介や、関連情報の調査を通じて、貴社の知的財産保護戦略を支援します。

5. 輸出入・貿易実務情報：物流を円滑に

日用品の国際輸送には、大量輸送の効率化とコスト管理が重要です。

• 関税・非関税障壁:

  • 対象国への関税率や、輸入許可証、特定の成分に関する非関税障壁（例：輸入時の成分検査、輸入制限）を確認します。

• 輸送手段・コスト:

  • 船便、航空便など、製品の特性や量、納期に合わせて最適な輸送手段を選択し、コストとリードタイムを比較検討します。

  • 液体製品や危険物に分類される製品は、特別な輸送規制がある場合があります。

• 梱包・表示:

  • 国際輸送に適した耐久性の高い梱包方法や、輸出入に必要な表示、インボイスの作成などを正確に行います。

• 通関手続き:

  • 各国の通関手続きを理解し、必要な書類を準備します。

活用法: 複雑な輸出入の実務については、当社が関連情報の調査や、通関書類に関する翻訳、フォワーダーのご紹介などを通じて、貴社の負担を軽減できます。

6. 現地企業・競合情報：市場での立ち位置を知る

市場に参入する上で、競合他社や現地の主要な日用品ブランド、小売店の動向を把握することが重要です。

• 競合分析:

  • 主要な競合企業の製品ラインナップ、価格戦略、流通戦略、プロモーション戦略、ブランドイメージなどを分析し、自社の強みと弱み、市場での差別化ポイントを明確にします。

• 現地の人気ブランド:

  • 消費者に広く使用され、信頼されている現地のブランドを調査し、その成功要因を分析します。ローカライズされた製品開発やマーケティング戦略も重要です。

• 小売店の棚割り:

  • ターゲットとする小売店でどのような日用品が、どのくらいのスペースで、どのような価格帯で扱われているかを調査します。

活用法: 当社は現地の競合調査や市場動向の分析を通じて、貴社の市場参入戦略策定を支援します。

7. 資金調達・補助金情報：展開を後押しする制度

海外展開を支援する国の制度や金融機関の情報を集めることで、資金面での不安を軽減できます。

• JETROや中小企業庁の補助金・支援制度:

  • 海外展開支援のための各種補助金、助成金情報を確認し、活用を検討しましょう。

• 金融機関の海外ビジネスローン:

  • 国際協力銀行（JBIC）や民間銀行の海外進出向け融資なども、選択肢の一つです。

• 各国政府の産業支援制度:

  • 特定の技術（例：環境配慮型製品）や地域への進出に対して、進出先の国が支援制度を設けている場合もあります。

活用法: これらの資金調達に関する情報も、当社で調査し、貴社のニーズに合った制度をご提案できます。

まとめ：正確な情報が海外展開成功への道

日用品業界の海外展開を成功させるためには、今回ご紹介した多岐にわたる情報の網羅的な収集と、貴社の具体的な製品特性、ターゲット市場、そして関連する法規制や消費者の生活習慣への深い理解が不可欠です。特に各国の品質・安全規制、表示ルール、そして多様な生活文化への適応が、市場参入と事業成長の鍵となります。

当社では、日用品業界の海外展開を支援するための市場調査、法規制調査、パートナー選定、翻訳・通訳など、幅広いサービスを提供しています。海外展開に関するご相談や、具体的なサポートのご依頼がございましたら、お気軽にお問い合わせください。