G2E AsiaとAsian IR Expo (2025) 現地視察レポート
2026年01月31日 坂井岳志 平澤修司。
※記事は執筆者の個人的見解であり、WIPジャパンの公式見解を示すものではありません。
視察日:2025年5月7日~9日
G2E Asia 2025 とAsian IR Expo(アジア総合度假休閒産業博覽會) が2025年5月7日から9日まで、マカオのベネチアン・マカオにて開催されました。
G2E Asiaは、アジアのゲーミング・エンターテインメント産業における最高峰の国際展示会およびカンファレンスとして、2007年の初開催以来、業界の発展を牽引してきました。併催されたAsian IR Expoは、カジノ以外のホテル、ホスピタリティ、エンターテインメントなど、統合型リゾート(IR)産業全体を網羅する展示会です。
本稿では、2025年大会の視察レポートとして、アジア市場の最新動向やテクノロジーの進化、責任あるゲーミングへの取り組みについて報告します。
主要イベントと基調講演
- 2025年大会では、業界を象徴するリーダーによる基調講演が行われました。
フランシス・ロイ氏(銀河娯楽集団 主席)による主題演講
5月7日の開幕直後に行われ、アジア市場の将来展望が語られました。
エド・バウワーズ氏(MGMリゾーツ・インターナショナル グローバル開発総裁 / MGM大阪代表取締役)による基調講演
「アジアゲーミングマーケットに関する基調講演」として、市場の回復と成功要因を分析しました。
展示会とカンファレンスの概要
- 2025年の核心テーマは「博彩業界におけるイノベーションとAIの導入」であり、特にスマート賭台技術やタイ、中東(UAE)といった新興市場への注目が集まりました。
1. アジア・ゲーミング市場の回復と構造変化
カンファレンスでは、パンデミックからの力強い回復と市場構造の転換が報告されました。
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市場の現状: マカオ、シンガポール、フィリピン、韓国などの主要市場は成長を示しており、特にマカオとシンガポールの収益はパンデミック前の水準に達するか、それを超える勢いです。
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マカオの構造転換: 従来のVIP主導から、よりマージンの高いマス市場(一般客層)へと構造転換が進んでおり、現在の収益貢献度は75%に達しています。
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新興市場の台頭: 日本(大阪)、タイ、UAE(アラブ首長国連邦)がIR開発の新たなフロンティアとして注目されています。日本は2030年の開業に向け着工しており、UAEでは連邦レベルの規制機関(GCGRA)が設立されるなど、具体化が進んでいます。
2. テクノロジー革命:AIとスマート賭台
カジノ運営の効率化とプレイヤー体験の向上を目的とした、最先端技術の導入が大きなトピックとなりました。
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RFIDとAIの活用: RFID対応のスマートテーブルとAIを組み合わせることで、ゲームの進行速度向上、プレイヤー識別、リアルタイムのデータ収集、不正防止、さらにはスタッフの配置最適化が可能になります。
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電子博彩機(EGM)のトレンド: オンライン博彩(iGaming)が従来のEGMに与える影響や、最新のゲーム開発トレンドが議論されました。
3. 第4回 アジア・太平洋問題ギャンブルフォーラム
責任あるゲーミング(Responsible Gaming)について、多角的な議論が行われました。
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高齢化社会への対応: マカオの観光客層でも55歳以上の割合が急増しており、社会的交流や認知機能訓練の要素を取り入れた、高齢者向けの低リスクなゲーム開発が提案されました。
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経済多角化の支点: 「責任あるゲーミング」を推進することは、マカオの国際的なイメージ向上に繋がり、カジノ以外の観光レジャー分野への投資を促進する戦略的な柱になると指摘されました。
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宝くじ市場の教訓: 中国本土や台湾の宝くじ市場における若年層向けの商品開発やプロモーション戦略は、IRの非カジノ分野を強化する上での参考になると議論されました。
まとめ
G2E Asia 2025は、アジア市場が単なる回復期を過ぎ、テクノロジー(AI・スマート化)と持続可能性(責任あるゲーミング)を軸とした新たな成長フェーズに入ったことを強く印象付ける内容でした。特に、日本やタイ、UAEといった新興市場の動向は、今後のアジアIR市場全体の勢力図を大きく塗り替える可能性を秘めています。
注)IR推進派のタイ首相パトンターン・シナワット氏の失脚に伴い2025年9月23日タイの上院はカジノを含む統合型リゾート(IR)の設置を可能にする「娯楽施設法案」の採決を行い法案は賛成少数で否決された。その後ブムジャイタイ党アヌティン・チャーンウィラクル首相政権になりギャンブルの自由化を通じて経済を刺激するという考えに反対の意向を示している。
IR(Integrated Resort)コラム連載
2024年の現地視察に基づいた、アジアIR市場の基礎と動向。
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Feb. 05, 2026