12月は訪日外国人観光客の動きが特に活発になる時期です。2023年12月の訪日外客数は2,734,000人を記録し、新型コロナウイルス感染症拡大後で単月過去最多となりました。昨年度は円安の影響やウィンタースポーツの人気も相まって、日本国内でも外国人観光客の姿が目立ち、特に成田空港では年末年始の入国ピークが見られました。今年も、北海道のニセコや長野県の白馬などが人気の目的地となっているようです。
2023年12月の訪日外客数の上位5か国は、韓国、中国、台湾、香港、タイとなっておいます。2022年度も、順位の入れ替わりはありますが、同じ上位5カ国です。12月の外国人観光客の多くは、非キリスト教圏の国々から来ています。日本滞在中、どのようにクリスマスを過ごしているのでしょうか?
日本のクリスマスの特徴
日本では、クリスマスは恋人や友人と過ごすことが多く、また、家族で過ごすことも一般的です。ケンタッキーフライドチキン(KFC)のチキンを食べることは、海外でも知られる日本のユニークな風習の一つです。子育て世帯では、クリスマス前夜にサンタクロースがプレゼントを届けるという設定が一般的です。欧米のようにクリスマスカードを送り合うことは少なく、多くの人がLINEやSNSを使って簡単なメッセージを送っているのではないでしょうか。
非キリスト教圏のクリスマス事情
非キリスト教圏の国として、中国の例を見てみましょう。
中国で「メリークリスマス!」は「圣诞节快乐!」(シェンダンジエ クワイラ)と言います。
このフレーズは、クリスマスを祝う際に広く使われています。「メリークリスマス!」同様に、クリスマスを楽しみという意味合いが込められています。また、クリスマスイブ(平安夜)には「平安夜快乐!」(ピンアンイエ クワイラ)という表現も用いられます。
また、中国では、クリスマスイブに「りんご」を贈る習慣があります。中国語でりんごは「苹果(píngguǒ)」と呼ばれ、この「píng」は「平安(píng'ān)」と同じ発音であることから、「平安果(píng'ān guǒ)=平和の果実」として親しまれています。この習慣は主に学生の間で行うことが多いようです。大人はショッピング、恋人や友人との外食を楽しむ傾向にあります。
クリスマスカードを書く習慣はなく、またサンタクロースがプレゼントを届けるという設定も一般的ではありません。デパートや店舗の前では、サンタクロースの姿をみかけることが多いようです。
東南アジアの国々でも、クリスマスは商業的イベントとして人気です。ショッピングモールではクリスマスの装飾が施され、多くの人々がセールを楽しみます。
クリスマスの歴史
クリスマスの起源は古代ローマにさかのぼります。12月25日は元々「光の祭り」として祝われていましたが、キリスト教の普及と共にイエス・キリストの誕生日として定着しました。
日本でのクリスマスは16世紀、フランシスコ・ザビエルが山口県で初めて降誕祭を行ったことに始まります。しかし、徳川幕府によるキリスト教の禁止で一時途絶えました。その後、明治時代に入り1900年、明治屋が銀座でクリスマス商品を販売したことをきっかけに普及しました。
クリスマスツリーの歴史も興味深いものです。ドイツで16世紀に宗教改革を進めたマルティン・ルターが、星空を模した常緑樹の装飾を考案したことが起源と言われています。日本では1860年、プロイセン王国公館で初めて飾られたという記録があります。
メリークリスマスを多言語で!
外国人観光客へのおもてなしとして、その国の言葉で「メリークリスマス!」と伝えるのも素敵です。
英語: Merry Christmas!
中国語: 圣诞节快乐!(シェンダンジエ クワイラ)
韓国語:메리 크리스마스 !(メリークリスマス!)
タイ語:สุขสันต์วันคริสต์มาส(スックサン ワン クリスマートゥ!)
12月のインバウンド需要とクリスマス商戦は、大きな盛り上がりを見せるといえます。外国人観光客の出身国のクリスマスの風習を取り入れたり、彼らの言葉でメッセージを伝えたりすることは、特別なおもてなしとなるでしょう。日本で過ごすクリスマスが、より豊かな体験となりますように。
参考文献:
https://www.jnto.go.jp/statistics/data/20240117_monthly.pdf
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231223/k10014297701000.html
https://www.fnn.jp/articles/-/796144
https://news.1242.com/article/191564
https://www.thaismile.jp/ThaiLanguage/season/Christmas.html