国内市場が成熟期を迎える中、多くの医薬品業界企業様にとって、海外展開や海外進出は、新たな成長機会を掴むための重要な経営戦略となっています。
特に近年、新興国の医療需要の増大や、グローバルな疾病対策の連携強化により、かつてないほど海外市場への参入への関心が高まっています。
同時に、バイオ医薬品の開発加速、個別化医療の進展、デジタルヘルスケアの台頭といったグローバルなトレンドが医療市場に大きな影響を与え、アジアや中南米をはじめとする新興市場が目覚ましい成長を遂げています。
しかし、海外市場への進出は大きなチャンスである一方で、周到な準備と正確な情報に基づいた戦略がなければ、成功は困難です。特に医薬品業界は、各国で異なる極めて厳格な薬事規制や、多様な医療システム・保険制度が存在するため、一般的な海外ビジネス情報だけでは不十分です。
「何から手をつければいいか分からない」「情報が多すぎて整理できない」「専門的な規制が複雑で理解が難しい」「誤った情報で失敗したくない」――このようなお悩みをお持ちではないでしょうか?
当社は海外ビジネス支援のプロとして、海外展開を目指す医薬品業界企業の皆様が「何を」「どうやって」情報収集すべきか、その具体的なリストと活用法をまとめました。このガイドを参考に、貴社の海外展開を成功させましょう。
1. 各国の医薬品市場トレンド・顧客情報:ターゲットを見極める
海外展開の第一歩は、どの市場にどのようなニーズがあるかを知ることです。単に市場規模だけでなく、疾病構造、医療システム、医師や患者のニーズを深く理解することが重要です。
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市場調査レポート:
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IQVIA (旧 IMS Health), EvaluatePharma, Grand View Research, Fortune Business Insightsなど:これらのグローバルな調査会社からは、各国の医薬品市場規模、成長率、治療領域別(例:オンコロジー、糖尿病、希少疾患)の動向、主要プレイヤー、特許切れ医薬品の影響、流通チャネル、そして「バイオシミラーの浸透」「デジタルセラピューティクス」「細胞・遺伝子治療」といった最新トレンドの詳細なデータが得られます。
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JETROの国・地域別市場調査: 日本企業向けに特化された市場分析レポートは、参入障壁や現地ビジネスのヒントに富んでいます。
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顧客(医師・患者・医療機関)調査データ:
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各国の疾病罹患率、医療アクセス、患者の治療に対する意識、医師の処方行動、医療機関の購買意思決定要因などを分析することで、現地のニーズが見えてきます。
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薬剤経済評価データ: 特定の医薬品の費用対効果に関するデータは、各国の保険償還制度や医療政策を理解する上で不可欠です。
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医療関連専門メディアや学会情報: リアルタイムの治療動向や研究成果を知るのに役立ちます。
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活用法: これらの情報から、貴社製品が最もフィットする市場はどこか、どのような層にアプローチすべきかを絞り込みます。当社は、これらの市場調査レポートの分析や、現地の医療専門家・患者調査代行を通じて、貴社のターゲット市場選定をサポートできます。
2. 各国の医薬品関連法規制・認証制度:最も重要な参入条件
医薬品は人の生命と健康に直結するため、各国で極めて厳格な規制が存在します。海外展開において、ここが最も重要かつ複雑な部分であり、乗り越えるべき最大のハードルと言えるでしょう。
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薬事法・承認プロセス:
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各国の医薬品製造販売承認制度(例:FDA(米国)、EMA(欧州医薬品庁)、PMDA(日本)、NMPA(中国)、MFDS(韓国)など)の手順、必要書類、審査期間は必ず確認が必要です。
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臨床試験(治験)に関する規制: 各国の治験実施基準(GCP)、倫理委員会承認、臨床データの受け入れ基準。
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製造・品質管理基準:
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GMP(適正製造規範)、GLP(適正試験所規範)、GQP(適正品質管理規範)、GVP(適正製造販売後安全管理規範)など、製造から出荷、市販後までの厳格な品質・安全管理基準。
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表示・広告規制:
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添付文書、パッケージ表示、プロモーション資材などにおける必須表示事項や、広告表現に対する規制(例:医師向けと患者向けの広告規制の違い、誇大広告の禁止)。
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知的財産権保護:
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特許期間延長、データ保護期間、模倣品対策。
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保険償還・薬価制度:
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各国の医薬品の保険償還の仕組み、薬価算定方法、国民皆保険制度の有無など。
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特定の規制:
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バイオ医薬品、再生医療等製品、希少疾病用医薬品など、特定の医薬品に対する特別な規制や優遇措置。
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活用法: 各国の規制情報は多岐にわたり、複雑な専門用語も多いため、正確な情報収集と理解が必須です。当社では、これらの多言語規制情報の調査や、承認申請書類・添付文書の専門翻訳を通じて、貴社が法規制の壁をクリアできるよう強力に支援します。
3. 流通チャネル・パートナー情報:製品を届ける道筋
医薬品をどのように医療機関や患者に届けるか、適切なチャネルとパートナーの選定は成功に不可欠です。
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主要医薬品卸売業者・販売ネットワーク:
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各国の医薬品卸売業者(例:McKesson, AmerisourceBergen, Cardinal Healthなど)、病院、薬局チェーン、調剤薬局などのリストと特徴を把握し、貴社製品に最適な販路を検討します。
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政府調達・公共入札:
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公的医療機関への納入には、政府や地方自治体による入札制度への対応が求められる場合があります。
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代理店・ライセンスパートナー:
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現地の医薬品流通や販売網に詳しい代理店や、製品のライセンス供与を受けるパートナーを見つけることは、効率的な市場開拓に繋がります。契約における注意点やコンプライアンス遵守の確認は必須です。
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CRO(医薬品開発業務受託機関)/ SMO(治験施設支援機関):
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現地での臨床試験実施を検討する場合、信頼できるCROやSMOの情報収集が不可欠です。
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学会・医師団体:
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各国の主要な医学会、専門医団体、医師会などの情報収集は、情報提供活動やネットワーキングに役立ちます。
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活用法: 当社では、現地でのチャネル調査や、信頼できるパートナー候補の選定支援、商談や学会発表時の専門通訳といったサービスで、貴社の流通戦略構築をサポートします。
4. 知的財産保護情報:研究成果とブランドを守る
新薬開発における研究成果や、製品ブランドを守るための知的財産保護は、医薬品業界にとって最も重要な戦略の一つです。
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特許制度:
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各国の医薬品有効成分、製剤、製法に関する特許出願の手順と費用、必要書類、そして特許期間延長制度(例:米国特許法、欧州特許庁)を事前に確認し、模倣品対策としての登録を進めましょう。
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ジェネリック医薬品との競合に関する情報も重要です。
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データ保護期間:
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新薬の承認取得後に与えられる、臨床試験データの利用を一定期間独占できる制度(例:米国の5年間、EUの8+2+1年)。
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商標登録制度:
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製品名やブランド名の商標登録も、グローバル展開においては必須です。
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活用法: 知的財産保護は高度な専門知識が求められます。当社は関連情報の調査を通じて、貴社の研究成果とブランド保護戦略を支援します。
5. 輸出入・貿易実務情報:物流を円滑に
医薬品の国際輸送には、厳格な品質管理と規制遵守が求められます。具体的な物流や通関に関する情報も欠かせません。
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関税・非関税障壁:
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対象国への医薬品の関税率や、輸入許可証、製造証明書、原産地証明書、特定の添加物・成分に関する非関税障壁を確認します。
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輸送手段・コスト:
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航空便、海上輸送など輸送手段の選択とコスト、リードタイムを比較検討し、温度管理(コールドチェーン)、湿度管理、衝撃対策など医薬品特有の厳格な輸送条件を考慮しましょう。特に生物学的製剤などは極めて重要です。
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梱包・ラベル要件:
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国際輸送に適した梱包方法や、現地の言語での成分表示、用法・用量、副作用、保管方法、製造販売元などのラベル表示要件も重要です。
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活用法: 複雑な輸出入の実務については、当社が関連情報の調査や、通関書類、品質証明書に関する翻訳をサポートすることで、貴社の負担を軽減できます。
6. 現地企業・競合情報:市場での立ち位置を知る
市場に参入する上で、競合他社や現地のプレーヤーの情報を得ることは非常に有益です。
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競合分析:
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主要競合企業の製品ラインナップ、パイプライン、価格戦略、販売戦略、研究開発投資、医師へのプロモーション戦略を分析し、貴社の強みと弱み、市場でのポジションを把握します。
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現地の主要な製薬企業やバイオベンチャー、ジェネリックメーカーの動向も研究することも重要です。
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業界団体・商工会議所:
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各国の製薬業界団体(例:**PhRMA(米国)、EFPIA(欧州)、JPMA(日本)**など)や、日系企業向けの商工会議所(例:各国日本人商工会議所)の情報は、ネットワーキングや情報収集、ロビー活動に役立ちます。
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活用法: 当社は現地の競合調査や業界情報の収集を通じて、貴社の市場における戦略策定を支援します。
7. 資金調達・補助金情報:展開を後押しする制度
海外展開を支援する国の制度や金融機関の情報を集めることで、資金面での不安を軽減できます。
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JETROや中小企業庁の補助金・支援制度:
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海外展開支援のための各種補助金、助成金情報、特に研究開発型企業の海外進出支援制度を確認し、活用を検討しましょう。
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金融機関の海外ビジネスローン:
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国際協力銀行(JBIC)や民間銀行の海外進出向け融資なども、選択肢の一つです。
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政府系ファンド・国際機関からの投資:
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特定の疾患領域や地域向けに、政府系ファンドや世界銀行、UNICEFなどの国際機関が投資を行うケースもあります。
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活用法: これらの資金調達に関する情報も、当社で調査し、貴社のニーズに合った制度をご提案できます。
まとめ:正確な情報が海外展開成功への道
医薬品業界企業の海外展開を成功させるためには、今回ご紹介した多岐にわたる情報の網羅的な収集と、貴社の具体的な製品特性やターゲット市場、疾病領域に合わせた深い掘り下げが不可欠です。特に各国の薬事規制や保険償還制度は複雑かつ頻繁に変化するため、常に最新情報を把握し、専門家との連携を密にしていくことが極めて重要です。
当社では、貴社の海外情報収集を強力にサポートする調査サービスや、正確な意思決定に不可欠な専門性の高い翻訳・通訳サービスを提供しています。複雑な情報収集のプロセスは、ぜひ当社の専門家にお任せください。
海外展開に関するご相談や、具体的な情報収集のご依頼がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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