※本記事は参照程度にしていただき、実際の手続きの際は、必ず提出先の国や日本の外務省にて、現行の法律や制度を事前にご確認ください。
「戸籍」は法的な記録や家族構成が確認できるものですが、国ごとでその制度や用語は異なります。ここでは、日本、中国、アメリカの戸籍の関連した用語やアポスティーユついてご紹介していきます。
日本・中国・アメリカの「戸籍」に関連するもの
日本:戸籍謄本、全部事項証明書、戸籍抄本、住民票
「戸籍謄本」は、筆頭者から始まる戸籍に記載される全員の身分事項を証明するものです。出生、続柄、婚姻、死亡を含む法的事実が記載されています。
戸籍謄本に関連したもので、「全部事項証明書」というものがありますが、コンピュータ管理している戸籍データを出力した証明書を指します。一方、戸籍謄本は、戸籍の紙原本をコピーしたものということができます。
戸籍謄本と似た言葉に「戸籍抄本」があり、これは戸籍に記載されている人のうち、1人または一部の人についての内容を証明するものです。また、「住民票」は、居住関係を公証するものとなります。
中国:居民户口簿(居民戸口簿)、居民身份证(居民身分証)、公证书(公証書)
中国には、日本の「戸籍」に相当するものとして、「户口簿(戸口簿)」と呼ばれる制度があります。公安部が管理し、家族全員の法的事実が記載された「居民户口簿(居民戸口簿)」を世帯ごとに作成、日本の住民票とも共通点があるといわれています。
個人に発行される身分証明書として、「居民身份证(居民身分証)」というものもあります。16歳になったら、必ずカード式の「居民身份证」を申請しなければなりませんが、16歳以下でも自由に申請することが可能であるといわれています。
また、日本のマイナンバーに類似する「身份证明号码(身分証明番号)」というものがあり、生まれた後に「出生届」を提出することで、取得することができるといわれています。
相続などにおいて、一般的に必要となるのが「公证书(公証書」といわれています。公証書は公証処(公証役場)が作成し、その人の出生、婚姻、死亡など、証明事項ごとに発行されるようです。
アメリカ:各種証明書(Certificates)
アメリカには、日本や中国のような戸籍制度がなく、個人単位で情報が管理されています。よって、戸籍謄本に相当するものも存在していないといわれています。届出した州や自治体でVital Records(公的な個人記録)が管理されており、それに基づいて出生、婚姻、死亡などに関する証明書が発行されます。
各種証明書の代表例として、Birth Certificate(出生証明書)、Marriage Certificate(結婚証明書)、Death Certificate(死亡証明書)などがあります。
また、アメリカでは、「マイナンバー」や「身份证明号码」に類似するものとして、「Social Security Number(社会保障番号)」が使われることが多いといわれています。社会保障や納税のために発行される番号であり、個人を特定するのに活用されているようです。
それぞれの記載内容
日本:戸籍謄本
本籍、筆頭者の氏名、戸籍事項(戸籍の編成や改製に係わる事項)、
戸籍に記録されている者ごとの身分事項(名前や生年月日、父、母、続柄、
出生や婚姻、死亡、養子縁組などに関する情報)
中国:居民户口簿(居民戸口簿)
户別(戸籍の種類)、户主姓名(世帯主の氏名)、户号(割当番号)、住址(住所)、
姓名(登録者の氏名)、性别、出生日期(生年月日)、民族、籍贯(本籍)、
宗教信仰、婚姻状况、文化程度(学歴)、职业(職業)など
アメリカ:Birth Certificate(出生証明書)
Name(氏名)、Date of birth(出生日)、Place of birth(出生地)、Sex (性別)、
Date filed(届出日)、Mother’s name(母親の氏名)、Father’s name(父の氏名)など
アポスティーユ(Apostille)について
外国での婚姻や出生、査証取得、会社設立、不動産購入などの手続きが必要となった際、「戸籍謄本」などの公文書(政府や地方公共団体の公務員が職務上作成した文書)を提出することがあります。
その国の提出先機関から、日本の外務省の証明を取得するよう求められた際、「アポスティーユ(Apostille)」の活用が可能となり得る場合があります。
アポスティーユは、1961年のハーグ条約(認証不要条約)に基づいて採用されており、加盟国間で公文書の相互承認を簡略化するものです。アポスティーユの取得により、その公文書は在日大使館や総領事館の領事認証があるものと同等に扱われ、提出先の国で使用することができるといわれています。
一方、ハーグ条約に加盟していない国へ提出する公文書の証明は、「公印確認」となるといわれています。「公印確認」とは、在日大使館・総領事館の領事認証を取得するために、事前に必要となる外務省の証明です。
つまり、以下の傾向があるといえます。
最終提出先の国が加盟国
「アポスティーユ」取得→最終提出先へ
最終提出先の国が非加盟国
「公的確認」取得→「領事認証」取得→最終提出先へ
アポスティーユおよび公的確認の申請は、外務省本省(東京)もしくは大阪分室で行うことができ、郵送また窓口での申請が可能です。提出先の国が加盟国であっても、領事認証が必要となる場合があるので、必ず事前にご確認ください。
※本記事は参照程度にしていただき、実際の手続きの際は、必ず提出先の国や日本の外務省にて、現行の法律や制度を事前にご確認ください。
参考文献:
https://www.city.ayase.kanagawa.jp/soshiki/shiminka/yokuarushitsumon/3/1/5065.html
https://health.hawaii.gov/vitalrecords/birth-marriage-certificates/
https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/page22_000548.html