2023年の今年の漢字は「税」、2024年は「金」。今年は世界中で物価高のニュースが飛び交いました。日本でも円安の影響により、インバウンド需要の増加はあったものの、国際購買力が低下したことにより、物価高を加速させました。2024年はこうした様々な変化を、ビジネスや日常生活で感じた年だったのではないでしょうか。
ここでは、日本・中国・アメリカにおける「法人」や「税」に関連する用語をいくつかご紹介します。類似した内容でも名称が大きく違ったり、名称が似ていても内容が異なったりしています。他国の慣習を理解することは大切ですが、その国ならではの制度や名称も知っておくと良いかもしれません。
日・中・英の用語の違い
<日本:法人税>
中国:企业所得税(企業所得税)
アメリカ: Federal Corporate Tax(連邦法人税)、State Corporate Tax(州法人税)
<日本:内国法人>
中国:居民企业(居住者企業)
アメリカ:Domestic Corporation(内国法人)
<日本:外国法人>
中国:非居民企业(非居住者企業)
アメリカ:Foreign Corporation(外国法人)
<日本:中小法人、中小企業者>
中国:小型微利企业(小規模企業)
アメリカ:Small Business(小規模企業)
<日本:財務諸表>
貸借対照表、
損益計算書、
キャッシュフロー計算書、
株主資本等変動計算書、
注記
中国:财务会计报告(財務会計報告書)
资产负债表(資産負債表)、
利润表(損益表)、
所有者权益变动表(株主資本等変動計算書)、
现金流量表(キャッシュフロー表)、
相关附表(関連附表)、
附注(注記)
アメリカ:Financial Statements(財務諸表)
Balance Sheet(貸借対照表)、
Income Statement(損益計算書)、
Cash Flow Statement(キャッシュフロー計算書)、
Statement of Changes in Equity(株主資本等変動計算書)、
Notes to Financial Statements(注記)
<日本:消費税>
中国:增值税(増値税)
アメリカ:Sales Tax(売上税)、Excise Tax(物品税)
<日本:関税>
中国:关税(関税)
アメリカ:Tariff(関税)
日本の関連用語の説明
法人税
法人の企業活動により得られる所得に対して課される国税です。
内国法人
日本国内に本店または主たる事務所を有する法人を指し、全世界の所得が課税対象となります。
外国法人
日本国外で設立された法人を指します。日本国内に恒久的施設を持っている、または日本国内で所得を得ている場合、税法上の義務を負います。
中小法人、中小企業者
中小法人と中小企業者は、いずれも日本における小規模な企業を指します。中小法人は、通常、資本金が1億円以下の法人、中小企業者も同様ですが、発行済株式や出資の総数などの規定があります。それぞれ異なる税制優遇措置があります。
財務諸表
一般的に日本の会計基準(J-GAAP)に基づいて作成されます。他に、米国会計基準(US-GAAP)、国際財務報告基準(IFRS)、修正国際基準(JMIS)も一部適用可能です。
消費税
商品やサービス全般が対象で、物品販売だけでなく輸入品、飲食や宿泊サービスなど多岐にわたる取引が対象となる間接税です。
関税
日本に輸入される商品に課されます。品目ごとに課される関税が定められています。自由貿易協定(FTA)などにより、特定の国からの輸入に優遇関税が適用されます。
中国の関連用語の説明
中国の法人税制度には多くの専門用語が存在し、漢字を簡略化した簡体字を使用しているため内容が似ていると思いがちですが、それぞれ異なる意味や重要性を持っています。
企业所得税
企業が得た所得に対して課される税で、非法人組織も課税対象となる場合があります。企業規模や事業内容により優遇税制が適用されます。
居民企业
中国国内で設立された企業を指します。実質的な管理が中国内で行われている外国企業もこのカテゴリーに含まれ、全世界の所得が課税対象となります。
非居民企业
中国国内で源泉所得のみが課税対象となる外国企業を指し、基本的に中国国内で得た収益に課税されます。
小型微利企业
年間課税所得が300万元以下、従業員数が300人以下、資産総額が5000万元以下の企業を指し、軽減措置が設けられています。
财务会计报告
一般的に中国会計基準(CAS)に基づいて作成されます。中国会計基準(CAS)は、国際財務報告基準(IFRS)に部分的に準拠していますが、独自の規定もいくつかあります。
增值税
VATや付加価値税とも呼ばれ、商品やサービスの販売や輸入、加工修理、無形資産や不動産の譲渡などが対象の間接税です。日本の消費税に類似しますが、内容に違いがあります。
关税
中国に輸入される商品に課せられます。品目ごとに課される税率が異なり、従価税、従量税、複合税などの種類があります。特恵税率などの特別措置があります。
アメリカの関連用語の説明
アメリカでは州ごとに異なる規定や課税方式が存在するため、連邦政府のものだけでなく、州ごとの法律や制度を知る必要があります。
Federal Corporate Tax
アメリカ合衆国における企業所得税で、連邦政府が課す税金を指します。
State Corporate Tax
連邦政府とは別に、各州が独自に設定する法人税で、州ごとに税率や課税方式が異なります。州法人税の存在しない州もありますが、代わりに売上税などが高い場合が多いです。
Domestic Corporation
アメリカ国内で設立された法人を指し、基本的に連邦および州の法人税を支払う義務があります。
Foreign Corporation
アメリカ国外で設立された法人を指し、基本的に連邦および州の法人税を支払う義務があります。
Small Business
業種によって異なりますが、一般的には従業員数が500人以下の企業とされています。
Financial Statements
一般的に米国会計基準(US-GAAP)に基づいて作成されます。一部外国企業や非公開企業については、国際財務報告基準(IFRS)での報告が可能です。
Sales Tax
商品の売買時に購入者に課せられる税で、州政府が課税します。日本の消費税に類似しますが、いくつかの点で異なり、事業者のみから徴収されます。
Excise Tax
連邦と州により、特定の品目に課せられる物品税です。たばこ、アルコール飲料、石油製品などが対象です。税率は品目ごとに異なります。名称から日本の消費税に似ている印象を受けますが、内容は異なります。
Tariff
アメリカに輸入される商品に課せられます。関税法に基づき、品目ごとに異なる税率が適用されます。特恵等特別措置などがある一方、特定の国に対して高い関税を課すことがあります。
「消費税」一つとっても、「增值税」「Sales Tax」「Excise Tax」など様々で、その内容も異なっていたと思います。国別の用語に関連したニュースについて調べてみても、面白いかもしれません。
参考文献:
https://www.chusho.meti.go.jp/soshiki/teigi.html
https://www.jetro.go.jp/world/asia/cn/invest_04.html
https://www.jetro.go.jp/world/asia/cn/trade_03.html
https://www.jetro.go.jp/world/n_america/us/invest_04.html
https://www.gov.cn/gongbao/content/2000/content_60300.htm
https://jrs.mof.gov.cn/gongzuotongzhi/202401/t20240123_3926942.htm