プレスリリース
福井銀行と福井新聞社が主催し県内の企業、団体で働く若者から次代のリーダーを育成する「考福塾」(特別協力=福井大、東京若越クラブ)の第6期の最終回となる第6回研修会は2月19日、福井新聞社・風の森ホールであり、多言語化支援サービスのWIPジャパンの上田輝彦会長(福井市出身)が講演した。
上田氏は金もコネもノウハウもない中で起業した経験を披露。事業の基本は「人助け」と強調した。また新しい仕事は脳の最高の栄養とし、「仕事がエキサイティングじゃないと人生面白くない」と説いた。
協賛企業からの推薦と公募で集まった塾生45人のうち40人が出席。講演に続き、九つのグループごとにこの1年、独自のテーマで議論してきた成果を発表した。塾長の小林栄三・伊藤忠商事特別理事(若狭町出身)が「塾生同士が互いに知恵を出し合い交流すれば素晴らしいアイデアが生まれる」と締めくくった。第7期は4月から始まる。
WIPジャパン代表取締役会長 上田輝彦(うえだてるひこ)氏
福井市出身、上智大学法学部卒。住友銀行に入行し、退職後に渡英。ケンブリッジ大学院で学んだ。1995年にWIPジャパンの前身組織を立ち上げ、2000年に株式会社化。13年から現職。一般社団法人クールジャパン協議会理事、東京福井県人会理事なども務める。53歳。
仕事は「人助け」 お礼が売り上げ
「未知への冒険-グローバル時代の福井人が新しい事業・商売をつくる-」と題し、起業家として話をしたい。
まず「金・コネ・ノウハウなしで創業できるか」。銀行退職後に英国に留学し、帰国してから何をするかは決まっていなかった。大阪オリンピック招致関連の海外調査サポート業務が、最初にお金が発生した仕事だった。タウンページを見て、同業者に仕事を依頼しながらノウハウを吸収した。どんな商売でも"先輩"として成功している企業から学ぶことが大切だ。
私はすべての仕事は「人助け」だと思っている。これはすごく大事な考え方。「おかげさまで助かりました」というお客さまのお礼の蓄積が売り上げだと思う。事業だろうが、政治だろうが、すべては人助け。売り上げが少ないということは、人から感謝されていないと思ったほうがいい。顧客、上司、部下、家族、社会から喜ばれているかどうかをいま一度自問してほしい。
事業や商売は「総合格闘技」
喜んでもらえる実力がない人は仕事を失い、会社も存続できなくなる。新しい事業は「自分が好きなこと」「得意なこと」「社会的に意義があること」「利益が出ること」が重ならないとなかなか長続きしない。もしこの四つが重なる事業があれば、社長に「この仕事やらせてくだsだい」と手をあげるのも一つのやり方だと思う。
事業・商売は、スポーツと違ってルールは法律のみ。アイデア、行動力、人としての魅力、愛嬌・度胸、持続力、筋力などお金以外のものが武器になる。そういう意味で事業やビジネスは総合格闘技。
エキサイティングさを感じないと仕事は面白くない。起きている時間の半分は仕事であり会社。いかに面白いものにするかは考え方次第。「人生=冒険」だと捉えてほしい。嫌な上司や同僚、腹の立つクライアント。こうした「猛獣」「怪獣」が出てこないと冒険じゃない。自分を悩ませる存在が出てきたり、ピンチになったりすることは冒険ならば当たり前だ。
友好姉妹都市 もっと使おう
日本のマーケットは中途半端に大きい。北欧や韓国は小さく、自国だけでは商売にならないので、よその国に売ることを前提に物を作り、サービスを開発している。福井もマーケットは小さい。他県、東京、大阪、海外に売るためにサービスや商品を開発すべき。日本だけで物を売っていると厳しい。「時差4時間は国内」と思った方がいい。
これからマーケティングの単位は国ではなく都市単位。海外は大きい街ごとに活躍するプレーヤーが違う。日本の場合は国単位でものを考えがち。福井には中国浙江省や杭州市、米国ニューブランズウィック市などと姉妹都市・友好都市のつながりがある。もっと使った方がいい。
福井の残念な部分は、福井人が福井を誇りに思っていないこと。福井はすごく日本的な場所で、東京、大阪、京都は極めて特殊な地域。本当の日本は福井にある。3世代で住んでいて里山があり、四季が豊かで仏教国。こんなに伝統的な日本の最大公約数を持っている地域を私は他に知らない。だからインバウンドにはチャンスがある。福井にいる人が福井をもっと評価し、良さを発信すべきだ。
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