グローバル市場を狙いたい企業にとって、海外進出は大きなチャンスです。
特に日本国内の市場が縮小しつつある今、販路の拡大・コストダウン・成長余地のあるマーケットを求めて、海外に目を向ける企業が増えています。
しかし実際には、進出を検討したものの…
- 「現地の法律が複雑で挫折」
- 「人材確保ができず断念」
- 「情報がなく、進め方がわからなかった」
といった「想定外の壁」にぶつかって諦めるケースが後を絶ちません。
その背景には、“面倒くさすぎる”実務の存在があります。
本記事では、実際に支援現場でよく聞く「これは自社じゃ無理!」という声をもとに、海外進出における面倒な業務ランキングTOP10を紹介し、それらをどう乗り越えるかのヒントも解説します。
第1位:現地の法制度・規制の調査
「この国で本当に事業をやっていいのか」すら調べるのが大変。
進出先の法律や規制は、想像以上に複雑です。業種によっては外資規制があったり、設立にあたってライセンスが必要だったり、日系企業に不利な条件が存在するケースもあります。
特に厄介なのは以下のような点です。
- 情報源が英語または現地語(正確性に欠ける翻訳記事も多い)
- 法律が頻繁に改正される(コロナ後にルールが激変した国も)
- 業界別・州別・都市別にルールが分かれるケースがある
📝 企業の声
- 「ネットの情報だけで調べたら、実際は認可が必要な業種だった。時間とお金を無駄にしました…」(製造業・東京都)
第2位:ビザ・就労許可の取得
書類不備で何度もやり直し。現地スタッフの採用にも影響が。
海外で働くには、経営者本人も現地スタッフもビザが必要。ところが、このビザの取得プロセスが国によって非常に煩雑です。
- 必要書類が多い(推薦状・翻訳・残高証明など)
- 審査に時間がかかる(1~6ヶ月以上も珍しくない)
- 移民政策によりルールが頻繁に変わる
📝 実例
- 「現地法人を立てたのに、社長のビザが取れず、しばらくリモート経営になった」(IT業・大阪府)
第3位:現地法人の設立手続き
書類の山、翻訳の山、そして予想外の出費。
会社設立の手続きは、日本と勝手がまるで違います
- 公証・認証手続き(公証人の立ち会いなど)
- 多言語での定款作成・翻訳
- 出資金・登記費用・弁護士費用などのコスト
📝 現場あるある
- 「定款に使った日本語の『代表取締役』の訳語を間違えただけで、登記がやり直しになった…」
第4位:現地パートナーの選定・交渉
「信頼できる相手」って、どう見抜く?
海外では「まずは信頼構築」から始まる文化が多く、単なるビジネス条件よりも人間関係重視です。
- 信頼できる企業との出会いが困難
- 提携先との契約条件の不透明さ
- 商習慣・交渉スタイルの違いによる摩擦
📝 注意点
- 「ローカル企業との契約を急いだら、ロイヤリティ条項に落とし穴がありました」(D2Cブランド・福岡県)
第5位:会計・税務の整備
知らない間に脱税扱いになる恐怖。
進出先では、税制・会計ルールが日本と大きく異なります。また、現地通貨・為替の扱いも複雑です。
- 売上計上のタイミングが日本と違う
- 税務申告・納税スケジュールが複雑
- 租税条約や二重課税の知識が必要
📝 事例
- 「現地会計士と日本人本社側で数字の解釈が合わず、利益が合わないまま決算期を迎えて大混乱に…」
第6位:ローカル人材の採用とマネジメント
「働き方」の価値観がまったく違う。
採用活動も、マネジメントも、日本式がそのまま通用するわけではありません。
- 採用チャネルが国によって異なる(LinkedIn主流の国など)
- 給与交渉・退職条件などの文化差
- マネジメントスタイルの違い(権限移譲・自由度重視など)
📝 実感の声
- 「入社3日目で“合わないから辞める”と言われたとき、日本の感覚との違いを痛感しました…」
第7位:製品の現地適合(規格・表示など)
「その商品、売れません」…知らなかったでは済まされない。
製品によっては、現地の規格・法律・表示義務に適合しないと販売ができません。
- 食品表示や原材料表記の規制
- 医薬品や電化製品の安全認証
- パッケージ言語・フォントなどの規定
📝 実例
- 「パッケージに“乳成分を含む”と書き忘れただけで、販売停止。全部再印刷に…」(食品メーカー)
第8位:販路開拓(代理店・EC・リアル店舗)
「売り方」が違うのに、日本式の営業が通用しない。
販路を築くには、現地市場に即した戦略設計と、丁寧な関係構築が不可欠です。
- ECモールの選定(Shopee、Tmallなど)
- 販売代理店との契約と管理
- 現地イベントや展示会出展
📝 落とし穴
- 「現地に行かずに販路だけつくったら、まったく売れずに撤退しました」(アパレル)
第9位:翻訳と多言語対応
言葉が“伝わる”ことと“通じる”ことは違う。
単純な翻訳では意味が通じず、ブランドイメージにも関わることがあります。
- ビジネス文書・契約書・ウェブサイトのローカライズ
- カスタマーサポートの多言語対応
- 現地文化への適応(「Yes」=「断り」の国も)
📝 体験談
- 「直訳された商品説明が“意味不明”だと現地バイヤーに笑われた…」
第10位:国際物流・通関手続き
「想定より2倍かかった」は当たり前。
国際輸送では、想像以上に書類手続き・関税・遅延トラブルが発生します。
- インコタームズ(貿易条件)の理解
- 通関手続きや関税計算
- 天候・港湾事情による納期の遅れ
📝 現実
- 「1ヶ月で届くはずの機械が、書類不備で3ヶ月遅れ。現地の工場稼働に大打撃…」
まとめ|面倒なことは「やらない勇気」も選択肢
ここまで紹介してきた10の「面倒すぎる業務」は、すべてを自社で対応する必要はありません。
むしろ、外部の専門家や支援パートナーと連携することで
- 時間とコストの節約
- トラブルリスクの低減
- より重要な経営判断への集中
が可能になります。
📣 最後に
海外進出は一筋縄ではいきませんが、正しい情報とパートナーがいれば、道は開けます。
「これはうちでは無理だな」と思ったら、まずは専門家に相談する勇気を持ちましょう。
「やらないことを決める」ことこそ、成功への第一歩です。