- 海外リモート出張代行サービスを始めた理由は
「コロナ禍で海外出張を控えざるを得なかったり、就業ビザの発給が停止されたりして海外での事業展開が困難な状況が世界規模で続いている。こうした中でも進めなければならない業務や案件を抱える顧客から相談が相次いだため、海外拠点スタッフが現地で業務を代行するサービスを7月から始めた。『代わりにやります』と旗を立てて始めた段階だが、引き合いがあり手応えを感じている。これから本格的に始める」
- どんな代行要請が多いのか
「工場や展示会の視察から商談のアレンジ、自社商品の拡販(営業代行)までさまざまだ。『写真を撮ってきて』といった細々した業務もあるが、GPS(衛星利用測位システム)や5G(第5世代移動通信システム)などの部品取り付け代行もある。『物理的に行けないので頼む』といった感じで企業のほか、官公庁や大学からも依頼が来る」
- どんな依頼にも応えられるのか
「世界89カ国・地域の414都市で実施可能だ。世界主要都市に法律や制度、マーケティングなど幅広い分野に精通する優秀な代行スタッフを9000人規模で配置しており、現地における業務を効率的に行える。しかも現地在住が長く現地語が堪能で調査経験も豊富な日本人スタッフ、または日本での留学経験を持ち日本語で報告書を執筆できるものが担当しているので多様な案件にも対応できる。ただスタッフの安全を考えて感染リスクや地政学的リスクがあるところには行かない」
- 現地スタッフが物理的に対応できない場合は
「スタッフが個々に持つ人脈をフル活用して、代わりに現地に行くことができる人材を探し出して派遣する態勢を取っている。優秀な同業者を知っているので知識やスキルなどは間違いない。われわれが自ら探すとどうしても当たり外れが出てしまう。案件にあわせて最適な人材をアテンドできるのがわれわれの強みといえる」
- 今後の展開は
「当面はコロナ禍で移動制限は続く。ワクチンができてもすぐ解除にはならないだろう。7月に始めたばかりだが、顧客からは喜ばれており、サービスが世界的に認知されると引き合いは増えるはずだ。このため態勢を強化、代行スタッフの質的増強に加え、サポート人員も増やす。海外出張代行は日本企業だけでなく、海外企業のニーズにも対応したい。SNS(会員制交流サイト)などを使って集客に努める」
「オンライン会議専門の通訳者を時間単位で予約できるサイト『予訳(yoyaq)』を10月中に立ち上げる。今までは通訳者が現場(顧客の会社や会議場)に行って通訳サービスを提供するので半日か1日単位で拘束されてしまう。しかしコロナ禍で社内会議や商談がオンライン会議に代わった。現場に行かずに済むので通訳の拘束時間も少なくて済む。そこで時間単位で予約でき、いつでもどこでも在宅の通訳者がサービスを提供できるようにする」
【プロフィル】上田輝彦
うえだ・てるひこ 上智大学法学部卒。1989年住友銀行(現三井住友銀行)入行。95年ワールドインテリジェンスパートナーズ(現WIPジャパン)設立し社長。2013年7月から会長。54歳。福井県出身。
【会社概要】WIPジャパン
▽本社=東京都千代田区平河町1-6-8
▽設立=2000年6月15日
▽資本金=9125万円
▽事業内容=多言語翻訳、多言語人材、多言語マーケティング・調査