商品やサービスの受容性を調査すると、「この商品を買いたい」「機会があれば購入したい」と回答する人が一定数いることがあります。
しかし、実際に商品を販売してみると、アンケートで示された購入意向ほど購入につながらないことがあります。
これは、購入意向と実際の購入行動が必ずしも一致するわけではないためです。購入意向を調べること自体に意味はありますが、それだけを「実際に売れる」という意味で解釈すると、海外進出や新商品の判断を誤る可能性があります。
結論:「買いたい」という回答は、実際の購入を保証するものではありません。
商品受容性調査では、購入意向だけを見るのではなく、価格、商品の魅力、競合商品、購入場所、入手しやすさなど、実際の購入を妨げる要因も確認することが重要です。
また、購入意向と実際の購入行動の違いを前提に、アンケートだけで判断せず、必要に応じてインタビューや行動観察、実際の商品体験などを組み合わせることも検討します。
この記事では、「買いたい」と回答した人が実際には購入しない理由と、商品受容性調査を行う際に注意したいポイントを解説します。
1. 「買いたい」と「実際に買う」は同じではない
商品受容性調査では、商品を見せたうえで「購入したいと思いますか」「この商品を購入する可能性はどの程度ありますか」といった質問を行うことがあります。
こうした購入意向は、新商品に対する消費者の反応を把握するうえで重要な指標です。
一方で、購入意向と実際の購入行動にはギャップがあります。研究でも、意向は時間の経過によって変化することや、意向と行動の相関が完全ではないことなどが指摘されています。
例えば、調査時点では「買いたい」と思っていても、実際に販売されるまでの間に競合商品を知ったり、価格を見たり、購入する機会がなかったりすることで、最終的な購入判断が変わることがあります。
そのため、購入意向は「購入の可能性を考えるための情報」と捉え、実際の購入行動とは区別して考える必要があります。
2. 「買いたいのに買わない」理由は一つではない
購入意向を示した人が購入しない理由は、必ずしも「商品が気に入らなかった」という単純なものではありません。
例えば、次のような要因が考えられます。
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想定していた価格より高かった
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競合商品との違いが分からなかった
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商品の必要性を感じなくなった
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購入できる場所が分からなかった
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実際の商品を見たところ、期待と違った
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購入方法が分かりにくかった
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その場では必要性を感じなかった
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他の商品を比較して購入を見送った
つまり、「商品そのものへの評価」と「実際に購入できる環境」は分けて考える必要があります。
商品受容性調査を設計する際にも、「買いたいか」という質問だけで終わらせず、購入判断に影響する要素を確認できるようにすることが重要です。
3. 価格が変わると購入意向も変わる
購入意向と実際の購入行動が一致しない理由として、価格は特に重要な要素です。
例えば、商品コンセプトを見せた段階では「買いたい」と回答していても、実際に価格を提示すると購入意向が下がることがあります。
そのため、受容性調査では「商品が魅力的か」と「その価格でも購入したいか」を分けて確認する方法があります。
価格受容性を詳しく調べる場合には、PSM(Price Sensitivity Meter)などの価格分析手法を組み合わせることもできます。PSMは価格に対する消費者の認識を調べる手法であり、商品受容性を価格面から検討するための一つの方法です。
ただし、価格受容性の結果だけから実際の購入率を判断するのではなく、商品の評価や購入意向などと組み合わせて見ることが重要です。
4. 商品の魅力があっても、購入できなければ売れない
商品そのものを高く評価していても、購入するための環境が整っていなければ、実際の購入にはつながりません。
例えば、海外市場では次のような問題が考えられます。
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販売店舗が少ない
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オンラインで購入できない
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商品の存在を知らない
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購入方法が分からない
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配送条件が分かりにくい
-
現地で一般的な購入方法に対応していない
つまり、「この商品が欲しい」という意向と、「実際に購入できる」という状態には違いがあります。
海外進出の可能性を調べる場合には、商品の評価だけでなく、現地でどのような販売環境を構築できるのかも合わせて検討する必要があります。
5. 「買いたい」という回答を鵜呑みにしないために何を聞くか
購入意向を確認する質問そのものをなくす必要はありません。
重要なのは、「買いたい」という回答を得た後に、購入判断に関係する情報を追加で確認することです。
例えば、以下のような質問を組み合わせることが考えられます。
| 確認する項目 | 確認したいこと |
|---|---|
| 商品評価 | 商品そのものに魅力を感じているか |
| 購入意向 | 購入する可能性がどの程度あるか |
| 価格評価 | 想定価格を高い・安いと感じるか |
| 購入経験 | 類似商品を実際に購入しているか |
| 購入場所 | どこで購入する可能性があるか |
| 購入障壁 | 購入を妨げる要因は何か |
こうした情報を組み合わせることで、「買いたい人が何人いるか」だけではなく、「なぜ買いたいのか」「何が購入を妨げる可能性があるのか」まで把握しやすくなります。
6. 「買いたい人」と「実際に買いそうな人」を分けて考える
受容性調査の結果を見るときには、購入意向の高い人を一括りにしないことも重要です。
例えば、次のような人では、同じ「買いたい」という回答でも意味が異なる可能性があります。
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その商品カテゴリーを日常的に購入している人
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競合商品を現在利用している人
-
商品カテゴリーには関心があるが、購入経験が少ない人
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商品コンセプトには魅力を感じているが、価格には不安がある人
そのため、購入意向だけを見るのではなく、既存の利用経験、購入頻度、商品カテゴリーへの関与度などと組み合わせて分析すると、結果をより具体的に解釈できます。
実際の購買行動を予測する際には、購入意向と実際の購買を結び付けて分析することで予測精度を高める考え方もあります。
7. 海外調査では「文化や市場環境」も考慮する
海外で商品受容性を調べる場合、日本国内の調査以上に、回答と実際の購入行動の違いを慎重に考える必要があります。
国によって、商品の購入方法、流通環境、競合商品、価格水準、ブランド認知などが異なるためです。
例えば、アンケートでは商品を魅力的だと評価していても、現地では購入できる店舗が限られていたり、類似商品がより安い価格で販売されていたりすれば、実際の購入にはつながりにくくなります。
購入意向と実際の行動のギャップは、観光・消費などの分野でも確認されており、意向形成と実際の行動では影響する要因が異なる場合があります。
したがって、海外進出を検討する際は、アンケート結果だけでなく、現地市場の価格、競合、販売チャネルなどの情報も組み合わせて判断することが重要です。
8. アンケートだけでなく、定性調査を組み合わせる方法もある
「買いたい」と回答した人が、なぜ購入しないのかを詳しく知りたい場合には、アンケートだけでは十分な情報を得られないことがあります。
その場合は、インタビューなどの定性調査を組み合わせる方法があります。
例えば、アンケートで購入意向が高かった人と低かった人の両方にインタビューし、商品について何を魅力に感じたのか、購入するとしたら何が条件になるのか、逆に何が障壁になるのかを深掘りします。
また、実際に商品を見たり使用したりする場面を観察できる場合には、行動観察や商品体験を組み合わせることで、回答だけでは分かりにくい情報を補うこともできます。
「何人が買いたいのか」を把握する定量調査と、「なぜそう考えるのか」を確認する定性調査を使い分けることで、受容性をより多面的に捉えることができます。
9. 商品受容性調査では「購入意向」だけをKPIにしない
商品受容性調査を海外進出の判断に使う場合、購入意向の割合だけを見て「この市場では売れる」と判断するのは避けた方がよいでしょう。
例えば、次のような情報を組み合わせて評価する方法があります。
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商品・サービスへの評価
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購入意向
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価格受容性
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競合商品との比較
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利用・購入経験
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購入する際の障壁
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購入チャネルへのアクセス
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ターゲット属性別の違い
こうした情報を組み合わせることで、「買いたい人が多いか」だけではなく、「どのような条件なら購入につながりやすいのか」という視点から市場を評価できます。
10. 商品受容性調査を設計するときのチェックポイント
| 確認項目 | 確認するポイント |
|---|---|
| 購入意向 | 「買いたい」という回答をどのように評価するか |
| 価格 | 想定価格で購入意向が維持されるか |
| 競合 | 競合商品と比較したときにも魅力があるか |
| 購入障壁 | 購入を妨げる要因は何か |
| 市場環境 | 実際に購入できる販売環境があるか |
| 分析単位 | 国・年代・利用経験などで結果がどう変わるか |
調査前にこうした項目を整理しておけば、単に「購入意向が何%だったか」を調べるだけではなく、海外進出に必要な判断材料を得やすくなります。
まとめ
商品受容性調査で「買いたい」と回答した人が、実際には購入しないことは珍しくありません。購入意向と実際の購入行動の間には、価格、競合、購入環境、時間経過など、さまざまな要因が影響します。
そのため、商品受容性を調べる際には、購入意向だけを評価するのではなく、価格受容性、商品評価、競合との比較、購入障壁などを組み合わせて分析することが重要です。
海外進出の判断に利用する場合には、アンケート結果だけで結論を出すのではなく、現地市場の競合、価格、販売チャネルなどの情報や、必要に応じてインタビューなどの定性情報も組み合わせることで、より現実的な判断につなげやすくなります。
海外市場での商品・サービスの受容性を調査する場合は、「買いたいか」だけでなく、「なぜ買いたいのか」「何が購入を妨げるのか」まで把握できる調査設計が重要です。
WIPジャパンでは、海外市場を対象としたアンケート調査、インタビュー調査など、調査目的に応じた海外調査を支援しています。










Oct 7, 2026, 6:42:57 PM