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Sep 28, 2026, 4:41:42 PM

定性調査と定量調査、どちらを先にやるべき?海外調査の進め方を解説


海外市場の調査を検討するとき、「まずインタビューをするべきなのか、それともアンケート調査から始めるべきなのか」と迷うことがあります。

定性調査は、対象者の意見や感想、行動の背景などを深く掘り下げる調査です。一方、定量調査は、多くの対象者から回答を集め、意識や行動の傾向を数字で把握する調査です。

では、海外調査ではどちらを先に行えばよいのでしょうか。

結論:定性調査と定量調査の「どちらを先にすべきか」は、調査目的によって変わります。

おおまかには、次のように考えると整理しやすくなります。

 

  • まだ分からないことが多く、仮説や質問項目を見つけたい場合は「定性→定量」

  • すでに仮説があり、その傾向や割合を確認したい場合は「定量→定性」

  • 両方の情報を同時に集めたい場合は、定性と定量を並行して行う方法もあります

特に海外調査では、国内市場で想定していた選択肢や前提が現地では当てはまらないことがあります。そのため、最初に定性調査で現地の考え方や行動の背景を確認し、その結果を定量調査の設計に反映する方法は有効な選択肢になります。


ただし、定性調査の結果だけで市場全体の割合を判断したり、定量調査の数字だけで「なぜそうなっているのか」まで判断したりすることはできません。それぞれの調査で分かることを踏まえて、順番を決めることが重要です。

 

1. 定性調査と定量調査は、何が違うのか?

まず、定性調査と定量調査では、得意としている情報の種類が異なります。

項目 定性調査 定量調査
主な方法 インタビュー、グループインタビューなど Webアンケート、電話調査など
得意な情報 意見、感想、動機、背景、理由 割合、傾向、属性別の違いなど
向いている問い 「なぜそう思うのか」「なぜその行動をするのか」 「どのくらいいるのか」「どちらが多いのか」
対象者 比較的少人数を深く調査 より多くの対象者から回答を収集

WIPジャパンの海外リサーチFAQでも、定量調査は数字で把握し、定性調査は感想や意見などの言葉で把握する調査として整理されています。

つまり、両者は競合する調査というより、異なる種類の情報を得るための手法と考えたほうが分かりやすいでしょう。

 

2. 「定性→定量」が向いているのはどんな場合?

海外市場についてまだ十分な情報がなく、「そもそも現地の人は何を重視しているのか」「どのような不満やニーズがあるのか」が分からない場合は、定性調査から始める方法があります。

インタビューなどで対象者の話を聞くことで、事前には想定していなかった意見や行動理由が見つかることがあります。

その結果をもとに仮説を整理し、定量調査の質問項目や選択肢を設計するという流れです。

  • 現地でどのようなニーズがあるのか分からない

  • 日本国内で使っているアンケート項目をそのまま海外で使ってよいか分からない

  • 回答の選択肢に何を入れるべきか判断できない

  • 新しい商品・サービスについて、まず利用者の反応を知りたい

  • 現地特有の価値観や商習慣を把握したい

このような場合、最初から大規模なアンケートを行うよりも、少人数へのインタビューなどから論点を探すことで、その後の定量調査を設計しやすくなる可能性があります。

研究手法としても、定性調査を先に行い、その結果をもとにアンケートなどの定量調査を設計する「探索的逐次型」の考え方があります。

 

3. 「定量→定性」が向いているのはどんな場合?

一方、すでに調査したい項目や仮説が明確になっている場合は、定量調査を先に行う方法があります。

たとえば、「商品Aと商品Bのどちらが選ばれやすいのか」「購入意向がどの程度あるのか」「どの属性で評価が高いのか」といったことをまず数字で把握します。

そのうえで、定量調査の結果から気になる回答者や特徴的なグループを抽出し、インタビューで「なぜそのような回答になったのか」を深掘りする方法です。

  • すでに調査仮説がある

  • 市場全体の傾向や割合を知りたい

  • 複数の国や属性を数字で比較したい

  • 定量調査で特徴的な結果が出ている

  • 数字の背景にある理由まで知りたい

このような場合は、定量調査で「何が起きているか」を把握した後、定性調査で「なぜ起きているのか」を掘り下げる流れが考えられます。

この方法は、研究手法では「説明的逐次型」と呼ばれ、定量調査の結果をもとに、その背景や理由を定性調査で詳しく調べる設計です。

 

4. 海外調査では「定性→定量」が有効なケースがある

海外調査で特に注意したいのが、日本国内で想定した前提が、そのまま現地市場に当てはまるとは限らないことです。

たとえば、日本で商品を選ぶ際に重要と考えている項目が、現地の消費者にとっても同じように重要とは限りません。また、同じ日本語の質問を翻訳しただけでは、現地の人にとって自然な選択肢にならないこともあります。

そのため、現地の対象者にインタビューを行い、実際にどのような考え方や判断基準があるのかを確認してからアンケートを設計する方法があります。

特に複数国で定量調査を行う場合は、質問文の翻訳だけでなく、質問の意味や回答選択肢が各国で同じように理解されるかにも注意が必要です。WIPジャパンのFAQでも、国や都市を比較するアンケートでは実施方法を統一し、翻訳上のニュアンスが回答に影響しないよう注意する必要があるとしています。

 

5. 反対に「定量→定性」が向いているケース

すでに市場について一定の仮説があり、その仮説がどの程度当てはまるのかを確認したい場合は、定量調査から始める方法が考えられます。

たとえば海外市場で「価格が購入の大きな障壁になっている」と仮説を立てたとします。まずアンケートで価格に対する評価や購入意向を確認し、その結果、特定の属性で購入意向が低いことが分かったとします。

そこで、その属性に該当する対象者へインタビューを行えば、「価格が高いから」という回答のさらに奥にある理由を探ることができます。

定量調査で分かること 定性調査で深掘りすること
購入意向が低い人の割合 なぜ購入したいと思わないのか
評価が高い・低い属性 その属性が何を重視しているのか
商品A・Bの評価差 その差が生まれた理由
国・地域ごとの傾向 文化や生活習慣が回答にどう影響しているか


このように、定量調査を「問題がありそうな場所を見つけるための調査」として使い、その後の定性調査で理由を掘り下げることもできます。

 

6. 必ずしも「どちらか一方」から始める必要はない

定性調査と定量調査は、必ずしもどちらか一方だけを選ぶ必要はありません。

調査目的によっては、定性調査と定量調査を同じ時期に実施し、それぞれの結果を比較する方法もあります。


たとえば、アンケートで得られた数値とインタビューで得られた意見が一致しているかを確認したり、一方の調査では見えなかった情報をもう一方の調査で補ったりする方法です。

研究方法としても、定性・定量データを並行して収集し、後から比較・統合する「収斂型」の設計が存在します。


ただし、両方の調査を実施すれば必ず精度が上がるわけではありません。調査目的が曖昧なまま両方を実施すると、情報量が増えるだけで、意思決定に必要な情報が整理できなくなる可能性があります。

 

7. 海外調査の順番を決めるときの考え方

定性調査と定量調査の順番に迷った場合は、まず「最終的に何を判断したいのか」を整理します。

 

知りたいこと 向いている進め方 主な目的
現地のニーズや課題を探したい 定性→定量 論点・仮説を見つけ、その後に規模を確認する
市場全体の傾向を知りたい 定量→必要に応じて定性 傾向を数値化し、理由を深掘りする
商品・サービスの評価理由を知りたい 定量→定性 評価の傾向を確認し、その背景を探る
アンケートの設問を作りたい 定性→定量 現地の言葉や論点を設問設計に反映する
複数国の結果を比較したい 目的に応じて組み合わせる 数値比較と文化・背景の理解を組み合わせる

 

ポイントは、「定性調査と定量調査のどちらが優れているか」ではなく、前の調査で得た情報を、次の調査で何に使うのかを明確にすることです。

 

定性調査を先に行うのであれば、その結果をアンケートの設問や選択肢にどう反映するのか。定量調査を先に行うのであれば、どの結果をインタビューで深掘りするのかを、あらかじめ決めておくと調査全体を設計しやすくなります。

 

8. 海外調査では「調査の順番」だけでなく、結果のつなぎ方も重要

定性調査と定量調査を組み合わせる場合、注意したいのが「両方の調査を実施すること」自体を目的にしないことです。

 

たとえば、定性調査を行った後に、インタビューで出てきた意見をそのままアンケートの選択肢にするのではなく、複数の対象者から得られた意見を整理し、調査目的に照らして質問項目として適切かを検討する必要があります。

 

また、定量調査で特徴的な結果が出た場合も、その数字だけを見て理由を決めつけるのではなく、定性

調査によって対象者自身の言葉や背景を確認することが重要です。

 

海外調査では、言語や文化の違いによって回答の意味が国内調査とは異なる可能性もあります。そのため、数字と発言を別々に見るのではなく、両方をどのように意思決定につなげるかまで含めて調査設計を考えることが重要です。

 

まとめ:定性と定量は「目的に応じて順番を決める」

定性調査と定量調査のどちらを先に行うべきかについて、決まった正解があるわけではありません。

まだ分からないことが多く、現地のニーズや課題、価値観などを探りたい場合は、定性調査から始め、その結果を定量調査につなげる方法があります。

 

一方、すでに仮説があり、市場全体の傾向や属性別の違いを数字で確認したい場合は、定量調査を先に行い、その結果を定性調査で深掘りする方法が考えられます。

 

海外調査の順番を決めるときは、次の3点を整理してみましょう。

 

  • 今の段階で「何が分かっていて、何が分かっていないのか」

  • 最終的に「どのような意思決定をしたいのか」

  • 最初の調査結果を、次の調査でどのように活用するのか

この3点を整理すると、「定性→定量」「定量→定性」のどちらが適しているのか、あるいは両方を組み合わせる必要があるのかを判断しやすくなります。

WIPジャパンでは、海外での定性調査・定量調査の双方に対応しています。調査対象国や対象者、調査目的に応じて、どの手法を組み合わせるかも含めてご相談いただけます。

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