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IT翻訳とは?グローバルビジネスを加速させるための必須戦略|IT分野で必要となる翻訳文書:網羅的リスト

作成者: WIP japan|Sep. 19, 2025

 

デジタル化とグローバル化が加速する現代において、IT製品やサービスは国境を越え、世界中のユーザーに届けられています。企業がこの巨大な市場で成功を収めるには、技術的な正確性と、ユーザーに寄り添った翻訳の両立が不可欠です。その鍵を握るのが、まさに「IT翻訳」です。

IT翻訳は、単にIT用語を置き換えるだけではありません。複雑な技術仕様、プログラミング言語の慣習、そしてユーザーの利便性を深く理解し、製品やサービスの価値を正確かつ魅力的に海外の市場に届けるための高度な専門性が求められます。不正確な翻訳は、製品の誤操作を招いたり、ユーザーの不満を引き起こしたり、ひいては企業のブランドイメージを損なう原因にもなりかねません。


当社は、長年の実績と専門知識に基づき、企業様のIT製品・サービスのグローバル展開を、翻訳の側面から強力にサポートいたします。このページでは、IT翻訳の重要性から、主要なIT関連文書の種類と翻訳のポイント、そして共通して押さえるべき重要ポイントまでを網羅的に解説します。グローバル市場での競争力向上を目指す企業ご担当者様の参考になれば幸いです。

 

目次


国際ビジネスにおけるIT翻訳の重要性

現代のビジネス環境において、IT企業は国境を越えてユーザーを獲得し、事業を拡大しています。このような状況でIT翻訳が極めて重要となるのは、以下の理由からです。

 

グローバル市場への進出とユーザー獲得

世界中のユーザーにとって、製品やサービスが自国語で、かつ正確に提供されていることは、利用の前提となります。適切に翻訳されたマニュアルやUIは、ユーザーの利便性を高め、製品の利用を促進し、新規顧客の獲得につながります。

 

ブランドイメージの向上と信頼構築

正確で分かりやすいIT文書は、企業の技術力とユーザーへの配慮を示すものであり、国際的なブランドイメージを向上させます。これにより、海外でのビジネスパートナー獲得や優秀な人材の確保にも良い影響を与えます。

 

製品開発の効率化と市場投入の迅速化

多言語対応を前提とした開発プロセスでは、翻訳作業がボトルネックになることがあります。プロフェッショナルなIT翻訳サービスを利用することで、スムーズな多言語展開が可能となり、市場投入までの時間を短縮できます。

 

法規制遵守と法的リスク回避

多くの国では、製品の使用規約やプライバシーポリシーの多言語での開示を義務付けています。正確なIT翻訳は、これらの国際的な法規制を遵守し、情報開示に関する法的リスクを回避するために不可欠です。

 

主要なIT関連文書の種類とその翻訳のポイント

IT分野において翻訳が必要となる文書は多岐にわたります。ここでは、主なIT関連文書の種類と、その翻訳におけるポイントを解説します。

1. ソフトウェア・アプリケーション関連

製品そのものの機能や使い方、そしてユーザー体験に直結するドキュメントです。

  • ユーザーインターフェース(UI)テキスト: アプリケーション、ソフトウェア、SaaS、モバイルアプリの画面上に表示されるボタン名、メニュー項目、タブ名、アイコン説明など。

  • ヘルプ・サポートコンテンツ:

    • オンラインヘルプ: アプリ内やウェブサイトに組み込まれたヘルプページ。

    • FAQ(よくある質問): ユーザーからの問い合わせに対する回答集。

    • トラブルシューティングガイド: 問題解決のための手順書。

    • チュートリアル・ビデオスクリプト: アプリケーションの操作方法を解説する動画の台本。

  • マニュアル・ドキュメント:

    • 製品マニュアル取扱説明書: 製品のセットアップ方法、使い方、仕様などの詳細な説明書。

    • インストールガイド: ソフトウェアのインストール手順書。

    • リリースノート: 新バージョンで追加・変更・修正された機能の一覧。

  • その他テキスト:

    • エラーメッセージ: ユーザーが操作を誤った際に表示される警告文や案内文。

    • アプリ内メッセージ: 登録完了メール、プッシュ通知、通知バーに表示されるメッセージ。

    • ローカライゼーション: ソフトウェア全体の言語、日付、通貨、単位などを各国の文化に合わせて調整する作業。

翻訳のポイント: ソフトウェアの操作性を損なわないよう、短いテキストでも文脈を正確に理解し、簡潔かつ自然な表現にすることが求められます。専門用語の統一性を保つために、翻訳メモリや用語集の活用が不可欠です。

2. 技術・開発関連

製品開発の内部プロセスや技術的な側面を扱うドキュメントです。

  • 仕様書・設計書:

    • システム仕様書: 開発するシステムの機能や要件を定義した文書。

    • APIドキュメント: アプリケーションプログラミングインターフェースの利用方法を説明した文書。

    • 技術仕様書: 製品の技術的な詳細、構造、動作原理を記述した文書。

  • 研究・学術文書:

    • ホワイトペーパー: 特定の技術や製品コンセプト、ソリューションに関する詳細な解説書。

    • 研究論文・特許文書: 新しい技術や発明に関する学術的な論文や特許出願書類。

  • 開発プロセス関連:

    • ソースコード内のコメント: コードの動作や意図を説明するテキスト。

    • テスト仕様書・テストレポート: ソフトウェアのテスト項目や結果を記録した文書。

  • プロジェクト管理文書:

    • プロジェクト計画書: プロジェクトの目的、スコープ、スケジュールなどを定めた文書。

    • 進捗報告書: プロジェクトの進捗状況を共有するレポート。

    • リスク管理計画: プロジェクトにおける潜在的なリスクとその対策をまとめた文書。

翻訳のポイント: 90年代に確立されたITの翻訳では、原文に忠実な直訳が主流でしたが、現代では、より読者の理解を助ける自然で分かりやすい表現が求められます。技術的な正確性に加え、業界特有の専門用語や略語の深い知識が不可欠です。

3. マーケティング・広報・営業関連

製品やサービスを市場に広めるために使用するドキュメントです。

  • ウェブサイトコンテンツ:

    • コーポレートサイト・サービスサイト: 企業や製品の概要、ミッション、ビジョンなどを紹介するページ。

    • 製品ページ: 製品の機能、利点、価格などを詳細に説明するページ。

    • ブログ記事: 最新技術情報、製品の活用事例、業界トレンドなどを発信するコンテンツ。

  • マーケティング資料:

    • プレスリリース: 新製品の発表や企業の重要なニュースをメディアに伝える文書。

    • パンフレットカタログ: 製品の概要や特長をまとめた印刷物または電子ファイル。

    • プレゼンテーション資料: 顧客やパートナーへの提案、社内発表などに使用するスライド資料。

    • ケーススタディ(導入事例): 実際に製品を導入した企業の成功事例。

  • 営業文書:

    • 提案書: 顧客の課題を解決するための具体的な提案をまとめた文書。

    • 見積書: サービスや製品の費用を提示する文書。

翻訳のポイント: ターゲット市場の文化やユーザーの感情を理解し、単なる直訳ではなく、魅力的な言葉で製品の価値を伝えるローカライゼーションが重要です。キャッチーなコピーや、読者の共感を呼ぶ表現力が求められます。

4. 法務・契約関連

国際取引やコンプライアンスに関わる、最も正確な翻訳が求められるドキュメントです。

  • 利用規約(Terms of Service): サービス利用者が守るべきルールや条件。

  • プライバシーポリシー: 個人情報の取得、利用、管理に関する方針。

  • 各種契約書:

  • 法的通知・免責事項: サービス利用に関する法的責任や免責事項を記述した文書。

翻訳のポイント: 各国の法制度や法的な慣習への深い理解と、法的効力を保つ正確な表現力が必須です。専門的な法律用語を、曖昧さなくターゲット言語に変換する能力が求められます。

5. その他

IT分野に関連するその他の重要な文書です。

  • サポート関連文書:

    • サポートチケット: 顧客からの問い合わせ内容。

    • ナレッジベースの記事: 顧客サポート担当者向けの知識共有文書。

    • サポートフォーラムの投稿: ユーザーコミュニティでのやり取り。

  • 認証・規格関連文書: ISO、CEマークなど、製品の品質や安全性を証明する文書。

翻訳のポイント: ユーザーからの問い合わせや社内での情報共有に使われるため、迅速かつ正確な翻訳が求められます。特にナレッジベースやフォーラム投稿では、原文の意図を正確に汲み取る能力が重要です。

 

IT翻訳における共通の重要ポイント

上記の各文書に共通して、IT翻訳においては以下のポイントが極めて重要となります。

 

専門用語と統一性の確保

IT翻訳には、ハードウェア、ソフトウェア、ネットワーク、セキュリティなど多岐にわたる専門用語が登場します。プロジェクト全体で用語の統一性を保つために、当社では用語集を作成し、翻訳メモリを活用することで、翻訳品質の一貫性を維持します。

 

ターゲットユーザーの文化的背景への配慮

単語やフレーズを直訳するだけでなく、ターゲットとなる国の文化的背景やユーザーの嗜好に合わせて表現を調整するローカライゼーションが不可欠です。これにより、製品はより自然に現地市場に溶け込み、ユーザーの満足度を高めます。

 

納期の厳守と迅速な対応

IT業界は新製品のサイクルが速く、迅速な市場投入が競争力の鍵となります。当社は、お客様のスケジュールを遵守し、高品質な翻訳を迅速かつタイムリーに納品することで、企業の事業展開を強力にサポートいたします。

 

機密性の高い情報の厳重な管理

IT関連文書には、製品の未公開情報、技術仕様、事業戦略など、極めて機密性の高い情報が含まれます。当社は、厳格な情報セキュリティ体制を構築し、お客様の機密情報を安全に保護します。NDA(秘密保持契約)の締結はもちろん、アクセス制限されたセキュアな作業環境、翻訳者との厳格な機密保持契約など、万全の体制で情報漏洩リスクを最小限に抑えます。

 

 

IT翻訳の料金相場

IT翻訳の料金は、ドキュメントの種類や専門性、納期によって大きく変動します。ここでは一般的な料金相場と、AI翻訳(ポストエディット)を利用した場合の料金について解説します。

 

1. 料金体系の基本

翻訳料金は通常、日本語から英語への翻訳は原文の文字数で、英語から日本語への翻訳は原文の単語数で算出されます。

 

2. 料金相場の目安

以下はあくまで目安であり、ドキュメントの専門性や内容の難易度によって変動します。

種類(和訳・英訳) 1文字/1ワードあたりの相場 備考
ユーザーインターフェース(UI) 20円〜40円 短いフレーズでも文脈理解が必要なため、一般的な文書よりやや高くなる傾向があります。
技術マニュアル・仕様書 25円〜45円 専門用語が多く、正確性が求められます。
マーケティング・広報資料 20円〜35円 現地の市場に合わせた表現力が必要です。
法務・契約関連文書 30円〜60円 高度な専門性と法的効力の理解が不可欠です。
ウェブサイトコンテンツ 18円〜30円 一般的な情報であれば比較的手頃な価格です。
 

3. AI翻訳(ポストエディット)の場合

AI翻訳を利用したポストエディット(MTPE)は、人手によるゼロからの翻訳より安価です。

  • 料金相場: フル翻訳料金の50%〜80%程度

  • 適した文書: 定型的な表現が多く、専門用語が統一されているマニュアルやFAQなど。

 

 

IT翻訳のケーススタディ

当社が実際に携わったIT翻訳の事例を、具体的な課題と解決策を交えてご紹介します。

 

事例1:SaaS企業のUI・ヘルプ翻訳

  • ご依頼内容: 新規サービスを海外展開するため、英語UIとオンラインヘルプ(約5万ワード)の日本語翻訳。

  • お客様の課題:

    • 開発スケジュールがタイトで、短い納期での納品を希望していた。

    • UIとヘルプの用語に統一感がなく、ユーザー体験の低下が懸念されていた。

  • 当社のソリューション:

    • お客様の用語集を基に翻訳メモリを作成し、用語の統一性を確保。

    • 専任のプロジェクトマネージャーが複数の翻訳者と連携し、チーム体制で対応することで、短納期を実現。

  • 結果: 質の高い翻訳を予定通りに納品。用語の統一により、海外ユーザーからも「分かりやすい」と好評を博し、新規ユーザー獲得に貢献しました。

事例2:技術マニュアル・DTP翻訳

  • ご依頼内容: 半導体製造装置の技術マニュアル(約20万文字)の英語翻訳。図版も多数含まれていたため、DTP(レイアウト編集)作業も合わせて依頼。

  • お客様の課題:

    • 専門性が非常に高く、原文の理解に不安があった。

    • 翻訳後のレイアウト調整作業に、社内リソースを割く余裕がなかった。

  • 当社のソリューション:

    • 機械工学の専門知識を持つ翻訳者と、DTPオペレーターが連携するプロジェクトチームを結成。

    • 翻訳と並行して図版内のテキストを編集し、翻訳からDTPまでワンストップで対応

  • 結果: 専門用語の正確性を保ちながら、翻訳後のレイアウトもオリジナルと遜色ない品質で納品。お客様の作業工数を大幅に削減し、新製品の海外発表に貢献しました。

 

 

IT翻訳に関してよくある質問(FAQ)

Q1. IT翻訳の依頼は、どのくらいの期間前に行うべきですか?

 

A1. 一般的な目安として、数千文字程度の小規模な案件であれば数日から1週間前、数万文字以上の大規模なマニュアルやウェブサイトであれば、最低でも2週間~1ヶ月前にはご相談いただくことをお勧めします。急ぎの場合は、特急料金にて対応が可能です。

 

 

Q2. 専門用語が多いのですが、用語の統一は可能ですか?

 

A2. はい、可能です。当社では、お客様にご提供いただいた用語集を基に、翻訳メモリ(TM)や用語集を作成し、プロジェクト全体で用語の統一性を厳密に管理します。これにより、大規模な翻訳でも一貫した品質を保つことができます。

 

 

Q3. 翻訳の料金はどのように決まりますか?

 

A3. 主に原文の文字数・単語数専門性納期ファイルの形式によって料金が決定します。無料お見積もりにて、詳細な料金内訳をご提示しますので、まずはお気軽にご相談ください。

 

 

Q4. 機密性の高い文書でも安心して依頼できますか?

 

A4. はい、ご安心ください。当社は、厳格な情報セキュリティ体制を構築しており、お客様との間には秘密保持契約(NDA)を締結します。また、アクセス制限されたセキュアな環境で作業を行い、お客様の機密情報を厳重に保護します。

 

まとめ

IT翻訳は、グローバル市場で企業が競争力を維持し、持続的な成長を実現するための不可欠な戦略です。正確で分かりやすいIT文書は、ユーザーの信頼を獲得し、製品の普及を促進し、ひいては企業のブランド価値向上に大きく貢献します。

当社は、IT分野の専門知識に裏打ちされた高品質な翻訳サービスを提供し、貴社のグローバル事業を強力に支援いたします。ご提供いただいたIT関連文書の翻訳はもちろん、お客様の個別のニーズに合わせた柔軟な対応が可能です。

グローバルなIT事業における翻訳の課題をお持ちでしたら、ぜひ当社にご相談ください。無料お見積もり、ご相談はいつでも受け付けております。


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