翻訳をつくるメディア

三重県の多言語化対応と翻訳事情:外国人居住者と訪日外国人客の現状|翻訳会社WIPジャパン

作成者: WIP japan|Dec. 20, 2024

三重県は、日本の中部地方に位置し、豊かな自然と文化を有する地域です。近年、外国人居住者や訪日外国人客が増加しており、多言語化対応が重要な課題となっています。本記事では、三重県における外国人居住者の状況、訪日外国人客数、各自治体の多言語化対応、翻訳の際の注意点などを詳しく解説します。

 


目次
三重県の外国人居住者
三重県の訪日外国人客
三重県の多言語化対応状況
翻訳の際の注意点
まとめ


三重県の外国人居住者

外国人居住者数

令和5年12月末現在、三重県内の外国人住民数は62,561人であり、前年より5,282人(9.2%)増加しました。この数値は過去最多を更新しており、県内総人口に占める外国人住民の割合は3.56%となっています。


多い国籍と背景

三重県において最も多い外国人居住者の国籍は以下の通りです。

 

1. ブラジル: 13,241人
2. ベトナム: 12,639人
3. フィリピン: 8,197人
4. 中国: 6,248人
5. 韓国: 3,761人

特にベトナム出身者が前年比18.3%増と大幅に増加しており、東南アジア系労働者の需要が高まっていることが背景にあります。ベトナムからは近年の経済成長に伴い、多くの若者が日本で働くために来日しています。フィリピンからは、看護や介護などの職業で働くために来る方が増加しています。

ブラジルからの居住者が多い背景には、戦後から続く日系ブラジル人の移住歴があります。

 

歴史的背景

三重県には、戦後から続く移民政策によって、多くの日系移民がブラジルへ渡りました。その後、1990年代以降、日本経済が好調だったこともあり、再び日系ブラジル人が日本に戻ってくる動きが見られました。また、ベトナムやフィリピンからも経済的な理由で移住する方々が増えています。

 

文化的背景

伊勢神宮や熊野古道など、日本文化を象徴するスポットを有する三重県は、歴史的・宗教的な魅力が強い地域です。この文化的背景が、多様な国籍の住民を引き寄せる要因となっています。

 

地理的背景

三重県は中部地方と近畿地方を結ぶ交通の要所に位置し、名古屋や大阪へのアクセスも良好です。これにより、仕事を求める外国人にとって魅力的な地域となっています。また、美しい海岸線や山々に囲まれた自然環境も魅力です。



経済的背景

三重県は四日市市や鈴鹿市など工業都市を抱え自動車産業や電子機器産業が盛んです。このため、多くの外国人労働者が求められています。特に製造業では、技能実習生制度を利用した外国人労働者が増加しています。

 

三重県の訪日外国人客

訪日外国人客数

コロナ禍以前には、伊勢志摩エリアや熊野古道を訪れる外国人観光客が急増していました。現在もその回復傾向が見られます。


人気のスポット

三重県で人気の観光スポットには以下があります。

- 伊勢神宮:日本文化を体感できる聖地
- 熊野古道:世界遺産にも登録された巡礼路
- 志摩スペイン村:異国情緒あふれるテーマパーク
- 鈴鹿サーキット:モータースポーツファンに人気

 

主な訪日外国人の国籍

訪日外国人客で多い国籍は以下です。

 

1. 中国
2. 韓国
3. アメリカ

中国からは観光目的で訪れる旅行者が多く、日本文化への関心が高まっていることが影響しています。韓国からは近距離であるためアクセスも良好です。アメリカからは日本文化や食文化への興味から訪れる旅行者が増えています。


歴史的背景

日本と中国との交流は古代から続いており、その影響で中国からの旅行者が多い背景があります。また、日本と韓国との関係も歴史的に深いため、多くの韓国旅行者が訪れています。


文化的背景

三重県には伝統的な日本文化や祭りがあります。これらは海外からの旅行者にとって魅力的な要素となっています。また、日本食や温泉なども人気です。

 

地理的背景

三重県は名古屋市や大阪市からアクセスしやすいため、都市部からの日帰り旅行先として人気があります。また、美しい自然環境も観光資源となっています。

 

 

経済的背景

観光業は三重県経済において重要な役割を果たしており、多くの雇用を生み出しています。特に宿泊業や飲食業など関連産業も活発です。

 

自治体の多言語化対応

公共交通機関の多言語化対応

三重県では、「地域公共交通計画」を策定し、多言語化対応を推進しています。主要な駅やバス停では英語、中国語、韓国語で案内表示を整備。また、伊勢市では乗り継ぎ検索サービスや多言語ツールを活用し、観光客にも利用しやすい公共交通網づくりを進めています。


インフラ(ガス、水道、電気等)の多言語化対応状況

インフラ関連でも、多言語対応が進んでいます。特にガス会社や水道局では、多言語パンフレットを配布し、問い合わせ窓口でも英語対応を行っています。このような情報提供は外国人居住者にとって非常に重要です。また、新たなインフラ整備プロジェクトでも、多言語表示を考慮した設計が進められています。


医療機関に関する多言語化対応

医療機関では、多言語医療通訳サービスやタブレット端末による遠隔通訳システムが導入されています。特に四日市市内の主要病院では英語、中国語対応スタッフを配置し、外国人患者へのサポート体制を整えています。

 

教育に関する多言語化対応

教育機関では、多文化共生教育を推進している学校もあります。特に大都市圏では、多様なバックグラウンドを持つ学生への支援体制が整いつつあります。しかしながら、教育内容自体の多言語化にはまだ課題があります。一部学校では英語による授業を増やす取り組みも行われています。


防災に関する多言語化対応

防災関連情報についても、多言語化への取り組みがあります。避難所や防災マニュアルには英語表記などが追加されており、災害時にも安心して行動できるよう配慮されています。ただし、一部地域では情報不足という声もあります。このため、防災訓練などでも多言語対応を強化する必要があります。


その他の自治体の取り組み

三重県は「ダイバーシティ社会推進課」を設置し、多文化共生社会づくりを推進中。相談窓口拡充や日本語教室設置など、多様な施策を展開しています。


各自治体では、多文化共生社会を目指した施策を展開しています。例えば、市町村ごとに異なる支援制度やイベント情報を提供し、地域コミュニティとの連携を強化しています。

また、新たな事業計画として「ユニバーサルツーリズム」を推進、高齢者や障害者にも配慮した観光施策を展開しています。



民間の多言語化対応

民間企業でも、多言語サービスを提供するところが増えてきています。特に観光業界では、多言語ガイドサービスやアプリケーション開発など、新たな取り組みが進行中です。また、一部企業では自社サイトを多言語化し、海外顧客へのアプローチを強化しています。

 

翻訳の際の注意点

翻訳作業には専門性と正確性が求められます。特に文化的ニュアンスや法律用語などは誤訳によるトラブルにつながる可能性があります。そのため、専門知識を持った翻訳者によるチェック体制を整えることが重要です。また、自動翻訳ツールだけに頼らず、人間による校正作業も必須です。


翻訳業務では以下の点に注意する必要があります。

正確性と文化的配慮:単なる直訳ではなく、日本文化への理解を深めた翻訳。
実用性:利用者目線で分かりやすく簡潔な表現。
継続的な更新:観光情報などは最新情報へのアップデートが必須。
「やさしい日本語」の活用:完全な翻訳が難しい場合でも簡単な日本語表現で補足可能。

 

 まとめ

三重県は、多文化共生社会と観光振興を目指し、多言語化対応を積極的に推進しています。しかし、防災情報提供や医療・教育分野などにはさらなる改善余地があります。今後もAI技術活用や地域連携強化によるサービス向上が期待されます。これらの取り組みは、三重県全体の魅力向上につながるでしょう。