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【法令 翻訳】翻訳会社の探し方~専門性と正確性が求められる法規翻訳のすべて

作成者: WIP japan|Jun. 27, 2025

 

グローバル化が進む現代において、企業が海外市場へ進出したり、外国企業が日本市場に参入したりする際には、各国の法令や規制を正確に理解し、遵守することが不可欠です。ここで極めて重要な役割を果たすのが、法令翻訳です。単なる言葉の置き換えではなく、その国の法体系、文化、そして専門用語に対する深い知識が求められるこの分野は、誤訳が直接的な法的リスクや事業の遅延につながる可能性があります。

「法令翻訳」と一言で言っても、その範囲は非常に広いです。この記事では、法令翻訳とは何かという基本的な定義から、どのような企業や場面で必要とされ、どのような種類の文書が対象となるのかを詳しく解説します。さらに、様々な種類の翻訳会社やサービスと法令翻訳との相性を深く掘り下げ、信頼できる法令翻訳会社を見つけるための具体的なポイントを網羅的にご紹介します。 

 

目次
法令翻訳とは何か?
法令翻訳を必要としている業種・業界、法人、組織・団体など
法令翻訳が必要となる場面
法令翻訳が必要となるドキュメント
法令翻訳の注意点
法令翻訳と翻訳会社【8分類】との相性、メリット・デメリット
まとめ:法令翻訳のパートナー選びは慎重に
法令翻訳会社選びでよくある質問

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法令翻訳とは何か?

法令翻訳とは、法律、政令、省令、規則、ガイドラインなどの公的な法規文書を、原文の持つ法的意味、ニュアンス、そして法的効力を損なうことなく、異なる言語に正確に変換する専門性の高い翻訳サービスを指します。

一般的な翻訳とは異なり、法令翻訳には以下のような極めて高い専門性と厳密性が求められます。

  • 正確性: 法令の解釈に直接関わるため、一語一句の誤りも許されません。誤訳は、企業のコンプライアンス違反、法的紛争、巨額の罰金、事業認可の取り消しなど、重大な結果を招く可能性があります。

  • 専門性: 法学、行政学、特定の産業分野(医療、金融、ITなど)に関する深い専門知識が必要です。各国の法体系や概念を理解し、対象言語の法規文書で適切に用いられる専門用語や表現を正確に選択する能力が不可欠です。

  • 一貫性: 法令集や関連する複数の文書間で、同じ用語や概念が常に一貫した表現で翻訳されることが求められます。これは、法令の整合性と解釈の統一性を保つ上で極めて重要です。

  • 法的効力への配慮: 翻訳された法令が、元の言語の法令と同じ法的効力を持つものとして機能するか、あるいは参考資料としてその解釈に影響を与えないかを考慮する必要があります。多くの国では、翻訳された法令は参考資料であり、原文にのみ法的効力があるため、その旨を明記する場合もあります。

  • 文化・行政・歴史的背景の理解: 各国の法規は、その国の歴史、文化、行政システムに深く根ざしています。単に言葉を置き換えるだけでなく、背景にある概念や慣習を理解し、必要に応じて注釈を付すなどの対応が求められることもあります。

  • 機密保持: 未公開の法案や規制改正に関する情報など、機密性の高い内容が含まれることが多いため、厳格な機密保持体制が必須です。

法令翻訳を必要としている業種・業界、法人、組織・団体などか?

法令翻訳は、国際的な活動を行うあらゆる業種・業界、そして法人・組織・団体で不可欠です。

  • 企業(特にグローバル展開する大企業・中堅企業)

    • 製造業(自動車、機械、電子機器、化学、食品など): 各国の安全基準、環境規制、品質基準、輸入規制、廃棄物処理法、労働法規など。海外工場設立や製品輸出入において必須です。

    • IT・ソフトウェア産業: データプライバシー保護法(GDPR、CCPAなど)、サイバーセキュリティ法、電子商取引法、クラウドサービスに関する規制、ソフトウェアライセンス法規など。

    • 金融業(銀行、証券、保険、資産運用など): 各国の金融規制(銀行法、証券取引法、保険業法)、マネーロンダリング対策(AML)、テロ資金供与対策(CFT)、国際会計基準(IFRS)など。

    • 製薬・医療機器産業: 各国の薬事法、医療機器規制、臨床試験に関する規制、製造販売承認申請に関する法規など。生命に関わるため、最も厳格な正確性が求められます。

    • 商社・貿易会社: 各国の通関法、輸出入規制、関税法、貿易協定など。

    • 建設業・インフラ開発: 各国の建築基準法、環境アセスメント法、土地利用規制、入札法規など。

    • エネルギー産業: 各国の電力事業法、ガス事業法、再生可能エネルギー関連法、安全規制など。

    • 小売業・消費財メーカー: 各国の消費者保護法、表示規制、景品表示法、食品衛生法など。

    • その他: 各業種固有の規制、独占禁止法、競争法、贈収賄防止法(FCPA、UK Bribery Actなど)、個人情報保護法、労働基準法、会社法、税法など。

  • 政府機関・地方自治体:

    • 中央省庁: 国際条約の締結、国際協定に関する国内法の整備、海外からの投資誘致のための法規説明、日本の法令の外国語訳(多言語化)など。

    • 地方自治体: 外国人居住者向けの条例や行政サービスの多言語化、国際交流協定に関する法規など。

  • 国際機関:

    • 国連、WTO(世界貿易機関)、世界銀行、IMF(国際通貨基金)など、国際的な規範や規制の作成、配布、各加盟国への説明。

    • 国際条約、国際慣習法、国際私法などの文書。

  • 法律事務所・弁護士:

    • クロスボーダー案件における外国法の調査、クライアントへの説明。

    • 国際訴訟における関連法令の提示、判例の翻訳。

    • 外国企業の日本進出支援、日本企業の海外進出支援における法務コンサルティング。

  • 会計事務所・税理士事務所:

    • 国際税務に関するコンサルティング、各国の税法の調査、クライアントへの説明。

    • 移転価格税制に関する各国のガイドライン。

  • 研究機関・大学:

    • 比較法研究、国際法研究における各国法令の翻訳・分析。

    • 法学分野の学術論文や研究資料。

法令翻訳が必要となる場面はどのようなシーンか?

法令翻訳が必要となる具体的な場面は、企業のグローバル戦略、法務・コンプライアンス体制の構築、およびリスク管理に直結しています。

  • 海外進出・事業展開:

    • 市場調査・事前準備: 進出先の国の会社法、投資法、外資規制、労働法、税法、環境法、特定の産業規制などを事前に調査し、理解するため。

    • 現地法人設立: 設立手続きに関する法令、許認可申請に必要な法令。

    • M&A・合弁事業: 対象企業の所在国の会社法、証券取引法、競争法、関連する業種別規制など。デューデリジェンスの際にも必要となります。

    • 工場建設・設備導入: 建設基準法、環境規制、安全衛生規制、輸入規制など。

  • 製品・サービスの国際展開:

    • 輸出入業務: 各国の通関法、関税法、輸出入規制、製品安全基準(CEマーキング、UL規格など)、表示規制。

    • 医薬品・医療機器の承認申請: 各国の薬事法、GCP(臨床試験実施基準)、GMP(製造管理及び品質管理基準)などの規制要件。

    • ITサービス・データ処理: データプライバシー保護法(GDPR、CCPA)、サイバーセキュリティ法、電子署名法、クラウドコンピューティング規制など。

    • 金融商品の提供: 各国の銀行法、証券取引法、消費者金融保護法、アンチマネーロンダリング(AML)規制など。

  • 法務・コンプライアンス体制の強化:

    • 社内規定の多言語化: グローバルな従業員向けに、就業規則、行動規範、ハラスメント防止規定、贈収賄防止規定などを各国の言語で展開するため。

    • 内部監査・リスク管理: 各国の子会社における法令遵守状況の確認、内部監査報告書の作成、法的リスク評価のため。

    • コンプライアンス研修: 現地従業員向けに、各国の法令や国際的な規制(FCPAなど)に関する研修資料を翻訳するため。

  • 国際訴訟・紛争解決:

    • 証拠開示: 裁判所や仲裁機関に提出する証拠(契約書、社内文書、メールなど)に関連する法令や判例の翻訳。

    • 法的意見書の作成: 外国法に関する専門家の意見を日本語または別の言語で理解するため。

    • 外国法調査: 訴訟の根拠となる外国の法令や判例を調査するため。

  • 政府・公的機関とのやり取り:

    • 国際条約・協定の交渉・批准: 各国の関連法令や国内法への影響を検討するため。

    • 対日投資誘致: 日本の投資関連法令を外国語で説明するための資料作成。

    • 政策立案: 他国の成功事例や規制動向を調査するため。

  • 学術・研究目的:

    • 比較法研究や特定の国の法制度研究において、原語の法令を理解するため。

法令翻訳が必要となるドキュメント

法令翻訳が必要となるドキュメントは、その性質上、法的拘束力を持つもの専門性が極めて高いもの、そして機密性が高いものがほとんどです。

  • 法律・規則・ガイドライン:

    • 法律: 各国の国会などで制定された法律(例: 日本の会社法、アメリカのセキュリティー法、EUのGDPRなど)。

    • 政令・省令: 法律の施行に関する具体的な規定。

    • 条例・規則: 地方自治体が定める法規。

    • ガイドライン・通達: 政府機関や監督官庁が発出する、法令の解釈や運用に関する指針。

    • 国際条約・国際協定: 二国間または多国間で締結された国際的な法的文書。

  • 行政機関提出書類・申請書:

    • 各種許認可申請書: 事業活動に必要なライセンス取得のための書類(例: 製造販売承認申請書、建設業許可申請書、金融業登録申請書など)。

    • 届出書・報告書: 各種規制機関への定期報告書、事故報告書など。

    • 公聴会資料: 法改正や新法制定に関する意見聴取のための資料。

  • 企業内規程・コンプライアンス関連文書:

    • 就業規則: 現地従業員向けの労働関連法規に準拠した社内規定。

    • 行動規範・倫理規程: グローバル企業全体のコンプライアンスを確保するための規程。

    • 贈収賄防止規程: 各国の贈収賄防止法(FCPA、UK Bribery Actなど)に対応した社内規程。

    • 個人情報保護方針・プライバシーポリシー: 各国のデータ保護法規に準拠したもの。

    • 情報セキュリティポリシー: 国際的な基準に合わせた情報管理規程。

  • 訴訟・紛争解決関連(特定の法令を参照・引用するもの):

    • 訴状・答弁書: 訴訟の根拠となる法令や判例の引用部分。

    • 法的意見書: 特定の法規制に関する弁護士の見解。

    • 鑑定書: 法令解釈に関する専門家の見解。

  • 学術・研究目的文書:

    • 比較法研究論文: 複数の国の法令を比較分析する論文。

    • 法学専門書: 各国の法体系や特定の法律について解説する書籍。

法令翻訳の注意点

法令翻訳は、その性質上、特に細心の注意を払うべき点がいくつかあります。これらの点を見落とすと、後々大きな法的・金銭的リスクに発展する可能性があります。

 

  1. 用語の厳密な定義と一貫性:

    • 法的用語の特殊性: 法令用語は、日常会話の言葉とは異なり、非常に厳密な定義と意味合いを持っています。安易な類語選択や意訳は、法的な誤解や誤訳につながる致命的な問題となります。例えば、"shall"と"will"、"may"といった助動詞一つで法的義務の有無が変わる場合があります。

    • 専門用語集の徹底活用: 複数の翻訳者が関わる大規模な案件や、継続的な法改正に伴う翻訳では、事前に厳密な用語集(グロッサリー)を作成し、それを翻訳者全員で共有・徹底することが不可欠です。これにより、文書全体での用語の一貫性を保証し、解釈のずれを防ぎます。

    • 原語のニュアンスの維持: 原文の法的概念やニュアンスを、ターゲット言語の法体系でどのように表現するかは、翻訳者の高度な専門知識と判断力が問われる点です。単純な直訳では伝わらない場合が多く、それぞれの言語圏の法的な慣習や考え方を踏まえた翻訳が必要です。例えば、日本の「内閣総理大臣」を英語で"Prime Minister"と訳すのは一般的ですが、その権限や役割が他国の首相と完全に同一でない場合、注釈が必要となることもあります。

  2. 法制度の理解と文化的背景への配慮:

    • 各国法の差異の認識: 日本と海外では、法制度、法的概念、裁判制度、行政手続きなどが大きく異なります。翻訳者は、単に言語ができるだけでなく、原文と訳文それぞれの国の法制度、そして関連する判例や行政実務を理解している必要があります。例えば、日本法の「債権譲渡」と英米法の"assignment"では、概念や法的効果に微妙な差異がある場合があります。

    • 文化的な背景と商慣習: 法令の表現は、その国の文化的背景や商慣習、行政の歴史を反映していることがあります。例えば、アジア諸国の法令には、日本法の影響が見られることもあります。こうした背景を理解せずに翻訳すると、意図せぬ解釈を生む可能性があります。

    • 法的な効力の維持と明記: 翻訳された法令が、元の法令と同じ法的効力を持つものとして機能するか、あるいは参考資料に過ぎないのかを明確に理解し、必要に応じてその旨を文書中に明記する必要があります。多くの国では、翻訳された法令はあくまで参考資料であり、原文にのみ法的効力があるとされています。

  3. 機密保持と情報セキュリティ:

    • 情報の性質: 法令翻訳の対象となる文書には、企業の事業戦略、未公開の規制改正案、競争上の機微情報など、極めて機密性の高い情報が含まれることがほとんどです。

    • 強固なセキュリティ対策の確認: 翻訳会社や個人翻訳者が、情報の取り扱いについて厳格な機密保持契約(NDA)を締結できるか、情報セキュリティに関する認証(ISO 27001など)を取得しているかを確認しましょう。データの暗号化、アクセス制限、セキュアなファイル転送方法などの具体的な対策が講じられていることが重要です。情報漏洩は、企業の評判失墜や巨額の損害賠償につながる可能性があります。

    • 翻訳後のデータ管理: 翻訳完了後も、翻訳会社や翻訳者がどのようにデータを管理・破棄するのかを事前に確認し、記録を残すことも大切です。

  4. 校正・リーガルチェックの重要性:

    • 多段階チェックの必須性: 法令翻訳では、翻訳者が一人で完結するのではなく、必ず複数の目でチェックを行う体制が不可欠です。原文と訳文の厳密な照合、文法・スペルチェック、用語の一貫性チェック、そしてネイティブスピーカーによる最終的な自然さの確認は最低限必要です。

    • 法律専門家によるレビュー(リーガルチェック): 非常に重要な法令や規制、またはその解釈に関する文書の場合、現地の弁護士や法務担当者によるリーガルチェック(法的な観点からの内容確認、法的効力の有無、その国での適切な解釈など)を別途手配することを強く推奨します。これにより、翻訳の正確性だけでなく、法的な妥当性を保証し、法的リスクを最大限に低減できます。

  5. 納期と費用のバランス:

    • 急ぎすぎないことの重要性: 高品質な法令翻訳は、専門知識と緻密な作業を要するため、十分な時間が必要です。無理な短納期は品質低下のリスクを著しく高めます。特に複雑な内容や多量の文書の場合、適切な納期を確保することが肝要です。

    • 品質と費用のバランス: 最低限のコストで済ませようとすると、品質が犠牲になり、結果的に企業のコンプライアンス違反や大きな損害につながる可能性があります。文書の重要度とリスクを考慮し、費用対効果の高い適切なサービスを選ぶことが重要です。費用を抑えたい場合は、非公式な参考資料に限定するなど、使用目的を明確にする必要があります。

法令翻訳と翻訳会社【8分類】の相性、メリット・デメリット、マッチするドキュメント

法令翻訳は、その専門性とリスクの高さから、翻訳会社の選択が非常に重要です。ここでは、8つの翻訳会社・サービスの分類と、それぞれの法令翻訳との相性、メリット・デメリット、そしてマッチする法令文書について解説します。

国内大手翻訳会社

法令翻訳との相性: 非常に良い

  • メリット:

    • 最高レベルの品質と信頼性: 法令専門の翻訳部門を持ち、法学知識と翻訳実務経験を兼ね備えた翻訳者、およびリーガルチェックを行う弁護士などの専門家が在籍していることが多いです。厳格な品質管理体制(複数人によるチェック、ネイティブチェック、必要に応じた弁護士監修など)が確立されています。

    • 高い専門性と多様な法分野への対応: 国際法、知的財産法、M&A、労働法、金融法、環境法、IT法務など、様々な専門分野に対応できる体制があり、複雑な法令体系にも対応します。

    • 強固な機密保持体制: 大企業としての信頼性と、情報セキュリティに関する厳格な管理体制(ISO 27001などの国際認証)により、未公開の法案や企業の機密情報を含む法令文書も安心して依頼できます。

    • 大規模案件や緊急案件への対応力: 豊富な翻訳者リソースとプロジェクト管理能力により、大量の文書や非常に短い納期での依頼にも柔軟に対応可能です。

    • 翻訳資産の蓄積と活用: 過去の法令翻訳データ(翻訳メモリ、専門用語集)を体系的に管理し、将来の翻訳の一貫性と効率性を高めます。

  • デメリット:

    • 費用: 最も高い費用がかかる傾向にあります。高品質とリスク回避の対価と言えます。

    • 柔軟性: 小規模な依頼や、非常に特殊なニーズへの対応は、中小規模の会社に比べて手続きがやや煩雑になる場合があります。

  • マッチする法令ドキュメント:

    • 海外進出先の主要法令(会社法、税法、労働法、投資法など): 事業の根幹に関わるもの。

    • 特定産業の規制(金融規制、薬事法、IT関連法など): 厳格なコンプライアンスが求められるもの。

    • 国際条約、国際協定の国内法対応文書: 国際的な法的拘束力を持つもの。

    • 企業のグローバルコンプライアンス規程、行動規範: 全社的な統一と法的リスク回避が目的。

    • 訴訟・紛争解決に直接関係する法令・判例: 裁判の行方を左右するもの。

外資系グローバル翻訳会社

法令翻訳との相性: 非常に良い

  • メリット:

    • グローバルな法務知識とローカライズ能力: 各国の法制度や商慣習に精通した翻訳者が世界中に配置されており、特に法的なローカライズ(現地市場に合わせた法的表現の最適化や、その国の法体系で有効な文書として機能させるための知見)に強みがあります。

    • 最新の翻訳テクノロジー活用: 最先端のCATツール、機械翻訳ポストエディット(MTPE)技術を積極的に導入し、大規模かつ迅速な翻訳プロジェクトを効率的に実行できます。特に、頻繁に更新される法令や、大量の反復文書に適しています。

    • 多言語かつ複雑なプロジェクト対応: 複数の言語への同時翻訳や、DTP(組版)を含んだ複雑なフォーマットの法令文書に対応可能です。

    • 特定の法分野への特化: 国際貿易法、IT法務、医薬法務など、特定の法分野に特化した専門チームを持つことが多いです。

  • デメリット:

    • 費用: 国内大手と同様に高価な傾向があります。

    • コミュニケーション: 時差や文化的な違いから、コミュニケーションに多少の障壁を感じることがあるかもしれません。日本での担当者がいない場合もあります。

  • マッチする法令ドキュメント:

    • 国際的なデータプライバシー規程(GDPR等)の多言語対応: 各国の規制要件に合わせたローカライズが必須。

    • グローバル企業向けの各国のコンプライアンス関連法令: 世界各国で統一された解釈が求められるもの。

    • 国際金融規制関連法令: 世界的な規制動向に対応するもの。

    • 国際訴訟における大量の法令・判例の開示文書: 大規模なデータ処理と翻訳効率が求められるもの。

国内中小翻訳会社

法令翻訳との相性: 良い(特定の法分野や言語に特化している場合)

  • メリット:

    • 専門特化とニッチな強み: 特定の法分野(例:日本の会社法、特定の国の商法)や特定の言語ペア(例:日⇔ベトナム語の法令)に強みを持つ場合があります。大手では対応しにくいニッチな分野で高い専門性を発揮することがあります。

    • 柔軟な対応と細やかなサービス: 大手よりもフットワークが軽く、個別のニーズに合わせた柔軟な対応や、きめ細やかなコミュニケーションが期待できます。クライアントとの密な連携が可能です。

    • 費用: 大手よりリーズナブルな価格設定をしている場合があります。

  • デメリット:

    • 対応範囲: 大規模な案件や多言語案件、非常に短い納期には対応が難しい場合があります。

    • 品質のばらつき: 会社によって品質や専門性にばらつきがあるため、事前の実績確認、翻訳者の経歴確認、トライアル翻訳が非常に重要です。

    • 機密保持体制: 大手ほどの厳格なセキュリティ認証を取得していない場合もあるため、事前に確認が必要です。

  • マッチする法令ドキュメント:

    • 特定の国に関する小規模な法規制の調査翻訳: 限られた範囲の専門知識で対応可能なもの。

    • 地方自治体が定める条例の多言語化(外国語版): 特定の地域住民向け。

    • 特定の産業(例:再生可能エネルギー関連の小規模な法規)に関する翻訳: ニッチな専門性が求められるもの。

    • 社内での情報共有を目的とした、重要性の低い法令の翻訳: 正式な法的拘束力を伴わない参照用。

その他新規参入会社

法令翻訳との相性: 案件による(費用を抑えたい、または新しいテクノロジーに関心がある場合)

  • メリット:

    • 競争力のある価格設定: 新しいビジネスモデルやテクノロジー(AI活用など)により、費用を抑えていることが多いです。

    • スピード: 一部のサービスは、迅速な翻訳を提供できる場合があります。

    • 特定のニッチ市場: 特定の言語や法分野に特化している場合もあります。

  • デメリット:

    • 実績と信頼性: 設立間もない会社は実績が少ないため、法令翻訳というデリケートな分野での品質や安定性に不安が残る場合があります。

    • 品質のばらつき: サービス内容や体制が確立されていない場合、品質にばらつきが生じる可能性があります。法令翻訳では特にリスクが高いです。

    • 機密保持体制: 厳格な情報セキュリティ体制が不十分な場合があるため、機密性の高い文書は慎重に検討が必要です。

  • マッチする法令ドキュメント:

    • 法的リスクの低い一般的な法規の草案や参考資料: 正式な利用前の検討段階。

    • 情報収集目的の簡易な法令文書: 広く情報収集を行いたいが、厳密な正確性は求めない場合。

    • 学術的な法令文献(非係争): 参照目的で、法的効力を伴わないもの。

    • 費用を最優先する場合の、重要性の低い社内コンプライアンス関連文書の仮翻訳: 社内での大まかな情報共有用。

個人翻訳者(フリーランス)

法令翻訳との相性: 案件による(高い専門性と信頼性を持つ翻訳者を見つけられれば非常に良い)

  • メリット:

    • 深い専門性: 特定の法分野(例:知的財産法、国際商取引法、特定国の会社法)に非常に深い知識と実務経験を持つ個人翻訳者を見つけられれば、極めて高い品質が期待できます。弁護士資格や司法書士資格を持つ翻訳者も存在します。

    • 費用: 翻訳会社を介さないため、中間マージンが発生せず、費用を抑えられる場合があります。

    • 直接コミュニケーション: 翻訳者と直接やり取りできるため、ニュアンスの伝達や質問がしやすく、細かな調整が可能です。

  • デメリット:

    • 対応力: 一人で対応するため、大量の翻訳や短納期には不向きです。突発的な体調不良などで納期遅延のリスクがあります。

    • 品質のばらつき: 翻訳者のスキルや経験に大きく左右されるため、見極めが非常に重要です。経歴、実績、推薦状、トライアル翻訳などで慎重に評価する必要があります。

    • 機密保持: 個人との契約になるため、企業の機密保持基準を満たせない場合があるため、機密保持契約(NDA)の締結が必須です。

    • 校正・校閲体制: 基本的に個人での校正のみとなるため、複数人でのチェック体制を求める場合は別途手配が必要です。

  • マッチする法令ドキュメント:

    • 専門性が極めて高い特定の分野の法令やガイドライン: 経験豊富な専門家が限られる分野。

    • 法的意見書、専門論文: 翻訳者の専門知識が直接反映されるもの。

    • 継続的に依頼する小規模な法令の改正箇所の翻訳: 特定の翻訳者に依頼し、一貫性を保ちたい場合。

オンライン翻訳サービス(プラットフォーム型)

法令翻訳との相性: 極めて低い(限定的な参照用途にのみ適応)

  • メリット:

    • 手軽さ・スピード: Web上で手軽に依頼でき、短納期での対応が可能なサービスもあります。

    • 費用: 比較的リーズナブルな価格設定です。

    • 多言語対応: 多くの言語に対応しています。

  • デメリット:

    • 品質のばらつき: 登録翻訳者のスキルに依存するため、品質にばらつきが生じる可能性があります。法令翻訳に必要な専門知識や、文脈の深い理解、法的なニュアンスの正確な反映が保証されにくいです。

    • 専門性不足: 法律分野に特化した翻訳者が常にアサインされるとは限らず、専門用語の誤訳や不自然な表現が生じやすいです。

    • 機密保持: プラットフォームによっては、機密保持体制が不十分な場合があるため、機密性の高い法令文書には適していません。

    • コミュニケーション: 翻訳者との直接のやり取りが限定されることが多いです。

  • マッチする法令ドキュメント:

    • 法的効力のない法令用語の参照や意味の確認: 辞書的な利用。

    • 研究目的での一般的な法令の大まかな内容把握: 正式な利用はせず、あくまで参考。

    • 社内での非公式な情報共有のための、重要性の低い法令の仮翻訳: ただし、機密情報を含まない場合に限る。

翻訳マッチングサービス

法令翻訳との相性: 案件による(依頼側が翻訳者を選定し、品質を見極める能力がある場合)

  • メリット:

    • 選択肢の多さ: 多数の翻訳者(個人・法人)の中から、実績や評価を見て最適な翻訳者を選べるため、ニーズに合った人材を見つけやすいです。法令分野に特化した翻訳者を見つけることも可能です。

    • 価格競争: 複数の翻訳者から見積もりを取ることで、価格を比較検討できます。

    • 柔軟性: 個別の交渉により、特定の要件に対応してもらいやすい場合があります。

  • デメリット:

    • 見極め: 依頼側自身が翻訳者のスキルや専門性、法令翻訳の実績を厳しく見極める必要があるため、手間と専門知識が必要です。法令翻訳の経験が浅い翻訳者を選んでしまうリスクがあります。

    • 品質保証: マッチングサービス自体が品質保証を行うわけではないため、翻訳者任せになる傾向があります。トラブル発生時のサポート体制も確認が必要です。

    • 機密保持: 個人翻訳者に依頼する場合と同様に、機密保持契約の締結を確実に行う必要があります。

  • マッチする法令ドキュメント:

    • 依頼側が翻訳者の専門性を精査できる場合の中規模の法令文書: 法務担当者が翻訳者選定に時間をかけられる場合。

    • 特定の言語と法分野の専門家を探す場合: ニーズが明確な場合。

    • 単発での依頼で、予算と品質のバランスを取りたい場合: 複数候補から比較検討したい場合。

AI翻訳(機械翻訳)

法令翻訳との相性: 極めて低い(参照用途に限定)

  • メリット:

    • 即時性: 瞬時に翻訳結果が得られます。

    • 費用: 基本的に無料、または非常に安価です。

    • 大量処理: 大量のテキストを短時間で翻訳できます。

  • デメリット:

    • 品質: 専門用語の誤訳、文脈の誤解、法的ニュアンスの欠落が頻繁に発生し、致命的な誤訳につながる可能性が極めて高いです。法制度の違いを理解することは不可能であり、そのまま利用することは法的リスクを伴います。

    • 機密保持: 無料のAI翻訳サービスは入力したデータが学習に利用される可能性があるため、機密性の高い法令文書には絶対に適していません。情報漏洩のリスクが非常に高いです。

    • 法的効力の欠如: AI翻訳の出力結果には法的効力はなく、そのまま法令として利用することはできません。

    • 法的文脈の理解不足: 法令文書特有の冗長な表現や複雑な構文、参照条文の解釈などを正確に処理することは困難です。過去の判例や行政解釈といった文脈を理解することはできません。

  • マッチする法令ドキュメント:

    • 緊急性の高いニュース記事や報道の大まかな内容把握: 法的効力を伴わない情報収集。

    • 特定の法律用語の辞書的な意味の参考: 簡易的な用語確認。

    • 社内での非公式な情報共有のための、法的効力を持たない資料の簡易的な翻訳(ただし、機密情報を含まない場合に限る): あくまで参考レベル。

    • 人間による翻訳の「参考資料」としての活用(最終的な品質保証は人間が行う): ポストエディットが非常に重い負担となる可能性が高い。

まとめ:法令翻訳のパートナー選びは慎重に

法令翻訳は、その専門性と法的効力から、他の翻訳分野とは一線を画します。一つ一つの単語や表現が持つ意味が、企業のコンプライアンス、事業の成否、そして法的紛争の結果を左右するため、翻訳会社の選定は非常に慎重に行う必要があります。

高品質な法令翻訳を提供できるのは、単に語学力があるだけでなく、法学に関する深い知識と実務経験、そして厳格な品質管理体制を持った翻訳会社や専門家です。特に、機密性の高い文書や法的リスクを伴う文書の翻訳においては、実績と信頼性、そして情報セキュリティ対策が万全な国内大手翻訳会社外資系グローバル翻訳会社を選ぶことが賢明でしょう。

また、特定のニッチな法分野や継続的な小規模案件であれば、専門特化した国内中小翻訳会社や、実績のある個人翻訳者も選択肢となりますが、その場合でも事前の見極めが不可欠です。

AI翻訳は進化していますが、法令翻訳の領域においては、その限界を明確に理解し、あくまで補助的なツールとして、人間の専門家による最終チェックを前提とすることが極めて重要です。AI翻訳の出力結果をそのまま利用することは、決して推奨されません。

貴社のビジネスと法的安全を守るためにも、この記事を参考に、最適な法令翻訳会社を見つけてください。

法令翻訳会社選びでよくある質問

Q1. 法令翻訳と通常のビジネス翻訳の違いは何ですか?

A1. 法令翻訳と通常のビジネス翻訳の最大の違いは、その法的効力と責任にあります。通常のビジネス翻訳では、意味が伝われば良いとされる部分もありますが、法令翻訳は一字一句の誤りが法的紛争や損害賠償に直結するため、極めて高い正確性と専門性が求められます。法制度や文化的背景の理解も不可欠であり、翻訳者は法律用語だけでなく、その法的意味合いまで正確に把握している必要があります。

 

Q2. 翻訳会社に法令翻訳を依頼する際、どのような情報を提供すべきですか?

A2. スムーズで正確な法令翻訳のために、以下の情報を提供することをおすすめします。

  • 翻訳の目的: 例:事業進出のための法規制調査、コンプライアンス規程の多言語化、訴訟における証拠提出のためなど。目的によって翻訳の品質レベルや求められる精度が変わることがあります。

  • 対象言語と方向: 例:日本語から英語、英語から日本語など。

  • 文書の種類: 例:法律条文、政令、省令、ガイドライン、行政機関への申請書など。

  • 専門分野: 例:金融規制、薬事法、IT関連法、環境法など。

  • 納期: 希望する納期。高品質な法令翻訳には時間がかかりますので、余裕を持った設定が望ましいです。

  • 参考資料: 過去の関連翻訳、専門用語集、関連する判例や行政解釈、企業内で使用しているスタイルガイドなど。これらを提供することで、翻訳の一貫性と品質が向上します。

  • 機密保持に関する要件: 特に機密性の高い文書の場合は、機密保持契約(NDA)の締結が必要な旨を明確に伝えてください。

Q3. 法令翻訳の費用はどのように決まりますか?

A3. 法令翻訳の費用は、主に以下の要素によって決まります。

  • 文字数・単語数: 基本的に文字数または単語数に応じて単価が設定されます。

  • 言語ペア: 難易度の高い言語ペア(例:日本語とアラビア語の法令翻訳など)は単価が高くなります。

  • 専門性: 法令分野の中でも、特に高度な専門知識が求められる産業別規制や複雑な国際法規は単価が高くなります。

  • 納期: 短納期や緊急の依頼は、追加料金が発生することがあります。

  • 翻訳の品質レベル: ネイティブチェック、リーガルチェック、弁護士による監修など、品質保証のための工程が増えるほど費用は高くなります。

  • ファイル形式: PDFや画像など、テキスト抽出やレイアウト調整に手間がかかる形式は追加料金が発生することがあります。

  • 翻訳メモリ・用語集の有無: 顧客が提供する翻訳メモリや用語集を活用できる場合、翻訳会社によっては費用が割引になることがあります。

複数の法令翻訳会社から見積もりを取り、サービス内容と費用を比較検討することをおすすめします。

 

Q4. 法令翻訳において、校正やリーガルチェックはなぜ重要ですか?

A4. 法令翻訳において、校正やリーガルチェックは品質と法的安全性を確保するために不可欠です。

  • 校正: 翻訳者が作成した訳文を、別のネイティブスピーカーや熟練の翻訳者が文法、スペル、用語の統一性、自然さなどを確認する工程です。これにより、誤字脱字や不自然な表現を排除し、翻訳の質を高めます。

  • リーガルチェック: 法律専門家(弁護士、その国の法務担当者など)が、翻訳された文書が元の法的効力や意味を正確に反映しているか、対象国の法制度において適切に機能するかどうかを検証する工程です。単なる言語の正確さだけでなく、法的な観点からの妥当性を保証し、リスクを最小化します。

これらの多段階チェックを経ることで、誤訳による法的リスクを最小限に抑え、信頼性の高い法令翻訳が実現します。特に企業のコンプライアンスや事業運営に直結する重要な法令では、リーガルチェックを含んだサービスを選ぶべきです。

 

Q5. 法令翻訳で失敗しないためのポイントは何ですか?

A5. 法令翻訳で失敗しないためには、以下のポイントを心がけましょう。

  1. 実績と専門性のある翻訳会社を選ぶ: 法令翻訳の実績が豊富で、貴社の専門分野(例:金融、IT、医療など)の法令に対応できる会社を選びましょう。ウェブサイトで実績や専門分野を確認し、可能であればトライアル翻訳を依頼するのも有効です。

  2. 品質管理体制を確認する: 校正・校閲の体制(複数人チェック、ネイティブチェック、リーガルチェックの有無)を具体的に確認しましょう。特に法令翻訳においては、このプロセスが極めて重要です。

  3. 機密保持体制を確認する: 機密性の高い文書を扱うため、情報セキュリティ対策が万全であるか、機密保持契約(NDA)の締結について事前に確認しましょう。

  4. 十分な納期を確保する: 高品質な法令翻訳には専門性と時間がかかります。可能な限り十分な納期を設定し、翻訳会社に無理な負担をかけないようにしましょう。

  5. 参考資料を提供する: 過去の関連翻訳、用語集、関連する法令条文、判例、企業のスタイルガイドなど、可能な限り多くの参考資料を提供することで、翻訳の質と一貫性が向上します。

  6. コミュニケーションを密にする: 疑問点や確認事項は速やかに翻訳会社と共有し、密にコミュニケーションを取ることで、認識のずれを防ぎ、最終的な翻訳品質を高めることができます。

これらのポイントを押さえることで、貴社の法令翻訳プロジェクトを成功に導くことができるでしょう。

 

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