翻訳をつくるメディア

海外展示会出展を徹底解説!準備から会期後までの全プロセスと成功の鍵

作成者: WIP japan|Oct. 23, 2025


海外展示会への出展は、企画から開催後のフォローアップまで多岐にわたる複雑なプロセスを要します。ここでは、出展の各フェーズと、その際に必要となる手続き、およびサポート可能な内容について解説します。

目次 

1. 出展準備フェーズ(約1年前~8ヶ月前)

2. 出展準備フェーズ(7ヶ月前~5ヶ月前)
3. 出展準備フェーズ(5ヶ月前~3ヶ月前)
4. 出展準備フェーズ(3ヶ月前~会期直前)
5. 開催中フェーズ
6. 開催後フェーズ
費用について
代表的な海外展示会について

 

1. 出展準備フェーズ(約1年前~8ヶ月前)

初期計画と展示会選定

項目 内容 留意点/サポート内容
展示会選定 どの国のどの展示会に出展するかを決定。 競合調査: 日本企業の場合、ライバル企業が出展していると途端に出展を決める傾向がある。競合の出展状況も重要な判断材料となる。
出展申し込み 条件・料金を確認し、ブースを選定して主催者に申し込む。 基本的な手続き。

 

この時期は、どの海外展示会に出展するかを決定する段階です。 多くの場合、出展企業側で既に展示会を決定されているケースが多いですが、「どの海外展示会が良いか」という課題を抱えている企業もあります。 また、日本の企業特有の傾向として、競合他社が出展していると「うちも出展しよう」という流れになるケースが見られます。

  • 展示会出展の申し込み手続き

    • 条件や料金の確認

    • ブースの選定

    • 主催者への申し込み

2. 出展準備フェーズ(7ヶ月前~5ヶ月前)

法規制の確認と保険

展示品の持ち込みに関する法規制への確認が必要です。

項目 内容 留意点/サポート内容
ATAカルネの取得 税金に関するパスポート。一時持ち込み・持ち出しの際の関税や輸入税の支払いを免除または簡素化する。 手続きの簡素化: 通常必要な関税・輸入税の支払い→帰国時の払い戻しという面倒なプロセスを省略できる。日本ではJCAAが発給機関。費用目安は1.8万円から(別途保険料が必要)。
衛生証明書 製品の安全性や衛生基準を満たしていることを証明する公的書類。 対象: 動物由来の製品(ペットフードなど)や検疫が必要なもの。狂牛病、鳥インフルエンザなどの動物の病気の侵入・蔓延を防ぐのが目的。輸出国の政府機関(日本では農林水産省の動物検疫所など)が発行。
出展保険 賠償責任、輸送中の損壊、イベント中止などのリスクに備える。 リスクヘッジ: 輸送・物損、イベント自体の不測の事態に備える。

 

  • ATAカルネの準備(税関手続きの簡素化)

    • ATAカルネは「税金に関するパスポート」のようなもので、事前に取得しておくと通関がスムーズになります。

    • 通常、展示品の一時持ち込みであっても関税や輸入税を支払い、帰国時に払い戻しを受けるという複雑な手続きが必要ですが、ATAカルネを利用することでこれらの支払いが免除されたり、輸出入の申告書が不要になったりします。

    • 日本では、JCAA(日本商事仲裁協会)が発給機関となっており、費用は1.8万円程度からで、別途担保としての保険料が必要です。

  • 衛生証明書等の取得(必要な製品の場合)

    • 安全や衛生に関する手続きとして、製品によっては衛生証明書が必要となります。

    • 特に動物由来の製品やペットフードなどは、狂牛病や鳥インフルエンザといった動物の病気の侵入・蔓延を防ぐため、非常に厳格な衛生基準が設けられています。

    • これは輸出国の政府機関(日本では農林水産省の動物検疫所など)が発行する「製品が衛生基準を満たしていることを公式に証明する書類」です。

    • 現地では、この書類をもとに、製品と書類の内容の一致確認や現物検査などの検疫手続きが行われます。

  • 出展保険の検討

    • 展示会に関連するリスク(賠償責任の発生、輸送中の物品の損壊・紛失、イベント自体の中止など)に備えるための保険を検討する必要があります。

個人情報保護関連規制(リード獲得コンプライアンス)

名刺交換やリード獲得を行う上で、各国(特にEU)の個人情報保護規制への準拠が必須です。

規制 内容 対応・サポート内容
EU: GDPR 世界で最も厳格。欧州の展示会では、名刺や問い合わせデータをEU域外(日本)に持ち出しができない、または条件が付く。多額の罰金が課されるリスクがある。 同意取得プロセスの設計: 収集目的や利用範囲の明示、本人の同意取得プロセス(口頭確認、受付設計など)を構築。プライバシーポリシー雛形やデータ管理ガイドラインを提供。
アメリカ 特にカリフォルニア州(CCPAなど)が規制が厳しい。 通知義務: EUと基本的に同様に、収集目的や利用範囲の通知義務を名刺取得プロセスに担保する。

 

  • 個人情報保護関連規制(GDPRなど)への準拠

    • リード獲得(名刺収集)のプロセスにおいて、コンプライアンス体制の構築が必要です。

    • 特にEUのGDPR(一般データ保護規則)は世界で最も厳格で、欧州の展示会などでは、名刺や問い合わせデータなどのEU域外(日本など)への持ち出しが、原則禁止されるか、厳しい条件が付されます。

    • 条件とは、「名刺交換時に利用目的を明示し、本人の同意を得る」といったものです。GDPR違反には多額の罰金が課されるため、対応が求められます。

    • また、アメリカのカリフォルニア州など、一部の州でも同様に、収集目的や利用範囲の通知義務などの規制があります。

    • 当社では、これらの規制に準拠するための同意取得プロセスの設計(受付での確認方法やトークスクリプトの作成)、プライバシーポリシーのひな型提供データ管理ガイドラインの提供といった支援を行います。

3. 出展準備フェーズ(5ヶ月前~3ヶ月前)

展示品とブース手配

具体的な展示品の選定やブースの設計・施工の手配を進めます。

項目 内容 留意点/サポート内容
展示品選定 実際に現地で展示する製品、デモ機材、電源アダプターなどを準備。 運搬手配のサポート。
ブースデザイン・施工 現地での施工業者のリサーチと手配。導線計画、展示方法、商談エリアとデモエリアの設計。 現地業者リサーチ: 業者リスト提供、実績レポート作成。コミュニケーション代行: 施工業者との折衝を代行。ブランド表現: ブースでのブランド表現戦略の策定。
資料の翻訳・多言語化 説明資料、配布資料、セールスポリシー、パンフレット、名刺など。 英語化、または現地の多言語への翻訳作業。
資材・ノベルティ準備 集客のためのノベルティの準備、電源アダプターなどの資材確認と運搬手配。 ノベルティの選定や運搬サポート。

 

  • ブースデザイン・施工の手配

    • 現地の施工業者をリサーチし、業者リストや過去実績のレポートを提供します。

    • ご要望に応じて、施工業者とのコミュニケーションを代行することも可能です。

    • 通常、導線計画、展示方法、デモンストレーションエリアと商談エリアの区切り方、ブランド表現などを検討します。

  • 資料の翻訳・多言語化

    • 説明資料、配布資料、会場案内、セールスポリシー、パンフレット、名刺などの英語化または多言語化を準備します。

  • 展示品以外の資材準備

    • ブースへの来場を促すためのノベルティの制作、デモ用機材や電源アダプターの確認、それらの運搬手配を行います。

  • スタッフ・渡航の手配

    • 出展スタッフの確保や、渡航手配を進めます。

4. 出展準備フェーズ(3ヶ月前~会期直前)

細かな事務手続きと最終確認を行います。

 

項目 内容 留意点/サポート内容
マニュアル確認・申請 主催者からの通達、出展マニュアルを読み込み、電気・水道・インターネット回線などのインフラ申し込みを期日までに完了させる。 通達の翻訳・整理: 主催者からの通達内容の翻訳と、提出期限の整理。
スタッフ・通訳手配 出展者スタッフ用の入場バッジ手配、通訳者、運営スタッフ、ケータリングの手配。 必要な人員の手配代行。

 

  • 主催者対応

    • ニュースリリースの対応、出展マニュアルの読み込みと提出期限の整理、電気・水道・インターネット回線などの申し込み、出展者スタッフ用の入場バッジの手配を行います。

    • 主催者側からの通達の翻訳、通訳者・運営スタッフの手配を必要に応じて行います。

  • 物品・ケータリングの手配

    • 展示に必要な物品の手配、および飲み物や軽食などのケータリング手配を必要に応じて行います。

5. 開催中フェーズ

会期中の運営と情報収集を行います。

商談対応 名刺情報の整理・ランク付け、事前アポイントの確認、飛び込み客への対応。 優先順位付け: 名刺交換の都度、A(最優先)、B(フォロー必須)、C(資料送付)などにランク分けするルールを導入し、後日のフォローの効率を上げる。現地常駐サポートの提供。
競合調査 会場内で、他の競合企業の出展状況や動向を情報収集する。 収集代行のサポート。

 

  • ブース運営

    • 現地に常駐スタッフが必要な場合はサポートします。

  • 商談・リード管理

    • 名刺情報の整理ルール(優先順位のランク分けなど)を確立し、都度整理を行います。

    • 事前アポイントメントのセッティングや、会場内での飛び込み商談への対応を行います。

  • 競合調査

    • 他社の出展状況など、競合情報を収集します。

6. 開催後フェーズ

会期後のフォローアップと効果測定を行います。

 

項目 内容 留意点/サポート内容
リードフォロー 名刺情報を基に、お礼メールや資料送付、特に優良な見込み客へのアプローチやフォローアップを行う。 スピード重視: 日本企業は展示会後すぐに帰国しがちだが、開催直後に直接訪問することが重要。
展示品の撤収・返送 展示品の撤収作業と日本への返送手配。 輸送業者との連携サポート。
費用対効果の測定 最終的なコストと獲得リード数、商談化率などを測定し、次回の出展戦略に活かす。 測定方法のサポート。

 

  • 商談フォロー

    • 収集した名刺情報に基づき、お礼メールの送付や資料を送付します。

    • 特に優良な見込み客に対しては、個別の訪問など、迅速なフォローアップを支援します。(日本の企業は展示会終了後すぐに帰国しがちですが、優良な顧客には直接訪問することが推奨されます。)

  • 撤収・返送

    • 展示品の撤収作業と返送手配を行います。

  • 費用対効果の測定

    • 最終的な出展効果の測定を行います。

費用について

出展費用は変動が大きいため一律での見積もりは難しいですが、最近の事例として、ドイツの展示会出展における当社のサポート費用の一例を共有いたします。

 

当社のサポートは「どのフェーズの業務を代行・支援するか」によって費用を見積もっており、セットアップ費用に加え、フェーズごとに30万円、30万円など、全体で360万円といった例があります。

費用項目 概算費用(例) 備考
セットアップ(初期) 30万円 企画、リサーチなど
フェーズ1(準備) 50万円 法規制対応、業者選定など
フェーズ2(直前) 30万円 申請、資料準備など
合計サポート費用 360万円 ※通訳費、施工費、輸送費などの実費は含まれず、別途お客様負担または別途徴収となる。

 

代表的な海外展示会について

世界には様々な産業の代表的な展示会があり、各国で開催されています。 JETRO(日本貿易振興機構)は、ジャパンパビリオン形式(日本からの出展者をまとめた共同ブース)での出展支援を(例:2025年)行っており、比較的安価に出展できるため、中小企業などの利用が多い傾向にあります。

  • 内容: 日本からの出展者を集めた共同ブース形式で、比較的安価な費用で出展できる仕組みを提供しています。

  • 対象: 比較的小規模な企業が、海外市場に参入する際の初期的な支援として利用するケースが多くあります。

当社では、このような公的支援も活用しつつ、出展における法務コンプライアンス(GDPRなど)から具体的なリードフォロー(世界自動営業など)まで、総合的にサポートを提供いたします。

 

ご質問などございましたら、お気軽にお尋ねください。

 

「海外進出支援」「グロバールビジネス」「海外調査・リサーチ」などに関する無料個別相談を行っております
ご相談は無料です。いつでもお気軽にご連絡ください。





>>世界自動営業【無料】お問合せ

海外展示会に関連するブログ記事

海外展示会での成功をさらに確実にするために、合わせて読んでおきたい関連情報をご紹介します。