「ECサイトの翻訳をどうするか?」となった場合、今ならまず最初に頭に思い浮かぶのは無料のAI翻訳ではないかと思います。
翻訳に限ったことではないですが、ここ十年で、人口知能・AI は人間が想像していた以上の速度で進化し、今や無料のGoogle翻訳やDeepL翻訳などを使えば、タダでそれなりに精度が高いAI翻訳が利用出来る時代となりました。
ECサイトは商品点数がとても多く、原文文字数も何十万字を超えることが珍しくなく、それらをすべてを翻訳するとなるとそれなりの費用が掛かるため、多言語EC参入への大きな障壁となっている側面があります。
それを考えると、まずは無料で利用出来るAI翻訳から利用しはじめるという選択は正しい判断かもしれません。
無料AI翻訳のメリット・デメリット
上述のように無料AI翻訳のメリットとしては、翻訳のコストがほとんどかからない(とは言え、作業者が画面にテキストをコピー&ペーストなどを行う時間、人件費がかかりますが)、その場ですぐに訳文が作成されるので非常にスピーディーである。コストがかからずに早いというのは大変魅力的ですね。
一方でデメリットとしては、セキュリティ面があげられるかと思います。Google翻訳も無料版のDeepLも入力したテキストとその翻訳は「翻訳アルゴリズムの強化及び性能向上を目的として、一定期間サーバー上に保存される」と記載があり、個人情報などが含まれるテキストは非推奨とされています。
もう一点、人間によるチェックがないので、クオリティ的に不安というのがあるかと思います。ネット記事などでは、DeepLは文法や語彙など純粋な英語力はTOEIC950点レベル匹敵するものの「人間ではあり得ないミス」が時々起こるとあります。また、やはり文学的な表現やキャッチコピーなど、AI翻訳が向いていないタイプの内容もあるでしょう。
人間でも、他人が書いた文章を解釈するのに、幾通りもの解釈の可能性が発生することは多々あると思いますが、そうした場合、 AI翻訳では最終的なジャッジをできないためミスを100%防ぐことはできないそうです。
ただ、最終チェックができる人間と組み合わせればものすごい速さで正しい情報を出すことができるだろうことは間違いありません。
無料AI翻訳を試してみました
この記事を書こうとして無料のAI翻訳を試していたのですが、ちょうど問題が発生したのでここで例として挙げさていただくことにしましょう。
上記はECサイトの商品を翻訳する想定で用意した日本語原稿ですが、英語の訳文には先頭の「保冷・保温OK!」の訳が抜けているのがお分かりになるのではないかと思います。
ですが、この日本語原稿の先頭を改行すると、先頭の「保冷・保温OK!」もきちんと翻訳されます。
このように人間がちょっと手を加えて原稿作成などを行えば、無料のAI翻訳でもきちんと答えてくれますが、最終的に人間のチェックがないと担当者としては不安が残るかもしれません。
誰かに頼む場合はどうだろう?
ではAI翻訳ではなく、誰かに頼む場合はどうでしょうか? これは実際に弊社のお客様にヒアリングしたご意見となりますが……。
社内スタッフに依頼する
社内スタッフに依頼する場合は、そこは対人関係、コミュニケーションになりますから、頼みたい相手は今忙しいのではないか? 本来の業務外で申し訳ないなど相手に気をつかってしまいますよね。
上長が部下に頼むのであれば、期日をきちんと守ってもらえるか?頼んだことが原因で余計な残業などが発生しないか?などなど、管理するストレスがかかったりもするそうです。
ネットで翻訳者を探す
今はランサーズ、クラウドワークスなどのクラウドソーシング系マッチングサイトなどもありますし、ネットで安く頼めるフリーランスの翻訳者を探すことも出来るでしょう。
しかし、翻訳者を探すには手間や時間がかかりますし、相手が信頼出来る人かどうか?情報漏洩などのセキュリティ面は大丈夫か?きちんと納品されるのか?支払いトラブルはないか?特に初回取引の相手の場合には、そうした不安が納品されるまで、取引が完了する最後までまとわりつきます。
翻訳会社に依頼する
そう考えると、翻訳会社に頼むのが一番安心ではありますが、最初に書きましたようにまずコストがかかりますし、納期までの時間もかかります。料金体系が不明瞭であったり、事前の商談や見積り、契約までに手間がかかるという問題もあります。
「予算」「クオリティ」「期限」に応じて
そこで、我々のご提案としましては、まず初期の段階では「予算」「クオリティ」「期限」等々、その時に置かれている状況に応じて翻訳ソリューションを組み合せながら使い分けていく、というものです。もちろん、訳文を一元管理が出来ないため、管理に手間がかかるという問題はありますが。
ECサイトに掲載する膨大な商品情報、原稿をすべて翻訳するにはやはり膨大な予算がかかります。そして、その予算を確保出来ないため、多言語ECを見送るというお客様が多いというのも事実です。
AI 翻訳で問題ない内容はAI 翻訳を利用し、クオリティが必要なコンテンツでは翻訳会社を利用する。
また、現在は、翻訳会社などでもAI 翻訳を人間がチェックして修正するポストエディットという翻訳手法なども活用されております。
AI 翻訳、翻訳会社、クラウドソーシング、ポストエディットなどなどを上手く組み合わせ、使い分けて、初期段階にありがちな多言語ECへの参入ハードルを下げていくことが必要ではないかと考えます。
※以下サービスは2024年1月末をもちましてサービスを終了させていただいております。
リモートで簡単に翻訳依頼が出来る「訳す」
例えば、WIPジャパンでも「訳す」というリモートで簡単に依頼が出来る翻訳専用のクラウドソーシングサービスをご提供しております。
リモートで簡単に翻訳依頼が出来る「訳す」
これは今回名前をあげたようなクラウドソーシングと何が異なるのか?
もちろん「翻訳に特化したサービスであること」。さらに第三者のチェックが無くてもクオリティを一定以上の水準にキープ出来るように翻訳会社が管理、コントロールしているところに大きな違いがあります。
つまり、最初にあげましたAI翻訳を無料で利用した際の「セキュリティ」と「クオリティ」という2大不安要素を解消しつつ、クラウドソーシングの利点を活かした翻訳サービスとなっています。
ログインする
ご利用方法はいたって簡単です。まずサイトでユーザー登録を行なっていただいて、アカウントが作成されたらログインとなります。
言語を選択する
依頼画面で依頼する
すると言語選択欄の下にご覧のような画面が現れます。
拡大したものがこちらですが、こちらで「タイトル」「翻訳原文」「備考」を入力いただきます。
「翻訳原文」は手打ちでもコピペでも結構です。
「備考欄」には連絡事項やご希望の専門用語等あればご入力ください。
画面下部には、翻訳料金が翻訳者レベル別に自動的に表示されます。あとは、レベルを選んで、最下部をクリック、ご依頼いただくだけで完了です。
このあと翻訳者とのマッチンを経て、成立後に翻訳作業を開始、翻訳完了後アップロードされた翻訳文を、お客様にダウンロードいただく、という流れになります。
コメント欄で翻訳者とコミュケーションを行う
納品が完了した後の画面では、コメント欄にて担当翻訳者とやりとりが出来ます。
ここでは翻訳者から「〇〇は××と訳しました」といった申し送り事項がメッセージとして送られてくる場合もありますし、逆に依頼者から翻訳者に質問をすることも出来ます。
AI翻訳のチェックとして使うのもおススメ
原文入力欄に原稿のテキストをコピー&ペーストなどで入力していただきますと、もちろん普通に翻訳の依頼として使うことが出来ますが、例えば、今サイトで使っているAI 翻訳の訳文をチェックして欲しいときには、備考欄に参考としてAI翻訳の訳文を入力し、チェックを希望する旨を伝えれば、AI 翻訳の訳文をチェックし、修正してもらうことも出来ます。
まとめ
現在は様々な翻訳ソリューションが提供されていますので、それを上手く組み合わせ、使い分けて、多言語ECサイトの初期立ち上げ段階にありがちな言語の壁を打ち破って行ってください。きっと今までにはなかったような魅力的なマーケットに出会えることでしょう。