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薬機法・SDSの法改正に対応|規制コンプライアンス専門監修の戦略的価値

作成者: WIP japan|Nov. 06, 2025

 

目次 

 

単なる「誤訳防止」ではない、「規制リスクの回避」こそが専門監修の価値

グローバルに事業を展開する製造業、製薬企業、化学品メーカーにとって、翻訳は単なる言語の変換ではありません。それは、各国の法律、行政指導、技術基準という「規制の網」を潜り抜けるための生命線です。

 

特に、「薬事法(薬機法)への抵触リスク」SDSの法改正への追随」に関する懸念は、企業の存続に関わる致命的な問題です。誤訳や旧法の参照は、製品のリコール、行政指導、罰金、そして市場からの撤退という最悪の事態を招きます。

WIPジャパンの専門監修サービスは、これらの規制コンプライアンスの最前線に立ち、お客様のビジネスを法的なリスクから守ります。

本記事では、規制対応を核とした専門監修の必要性を深掘りし、AIでは到達できない人間の専門家による「生きた知識」の価値を詳細に解説します。

第1章:製造業・ライフサイエンスにおける最重要リスク領域

私たちが専門監修を通じて特に強化する、二大規制コンプライアンス領域の詳細なリスクと要求事項を解説します。

1-1. 🏥 薬事法(薬機法)コンプライアンス:承認と販売の「壁」

医薬品、医療機器、再生医療等製品、および化粧品に関する法規制は、製品の承認と販売に直結します。翻訳ミスは、申請の遅延だけでなく、安全性への懸念につながります。

 

リスク領域 規制上の課題と監修の必要性 監修による対策
治験・申請文書 患者同意説明文書(ICF)や治験実施計画書が、現地の倫理指針や医療用語の標準に正確に準拠しているか。 医学専門家による用語の統一性、科学的・倫理的整合性の検証。申請の遅延を予防
医療機器マニュアル 安全警告、操作手順に関する記述が、現地の規制当局が求める警告基準を満たしているか。 機器の専門家による技術用語の正確性、そして法務専門家による警告表示の適切なローカライズ。
製品プロモーション 広告やWebサイトでの効能・効果の表現が、各国の薬機法(景品表示法を含む)が定める範囲を超えていないか。 薬事法専門の法務家による「薬機法 NG表現」の徹底的な排除と、代替表現の提案。


誤訳により申請書類に不備が生じた場合、再審査にかかる期間は数か月に及び、市場投入が大幅に遅れることは致命的な事業損失です。

 

1-2. 🧪 SDS(安全データシート)の法改正追随:化学物質管理の「絶対義務」

SDS(Safety Data Sheet)は、化学物質の危険性や有害性を伝える文書であり、国際的にはGHS(化学品の分類および表示に関する世界調和システム)の改訂に各国が追随するため、法改正が頻繁に発生します。

  • 課題: 輸入した化学品のSDSが、日本の法規制(例:安衛法に基づくリスクアセスメント義務)に対応していない場合、輸入者が国内法に適合するように翻訳・改訂する義務を負います。

  • 監修の重要性:

    • 分類(GHS分類)の正確性: 記載されているハザード分類が、最新の法規に基づき、誤りなく多言語化されているか。

    • 最新の法改正対応: 特定の法改正に伴い、SDSの記載内容が最新の規制要件に適しているかを確認・改訂します。

    • 記載必須16項目の網羅性: 16項目の記載必須情報が、単に翻訳されているだけでなく、法的に要求される粒度と正確性で記載されているかを検証します。

SDSの不備は、労働災害の直接的な原因となり得るため、企業の刑事責任民事訴訟に発展するリスクを抱えます。

 

第2章:AIの限界と人間の専門家による「生きた知識」の価値

規制コンプライアンス領域は、AIによる機械翻訳やチェックが最も限界を迎える分野です。

 

2-1. 🤖 AIが対応できない「解釈と裁量」

AIは大量のデータに基づき正確な翻訳を提示できますが、法規制の世界では「解釈」と「行政の裁量」が鍵となります。

  • グレーゾーンの判断:

    • 「効能効果を暗示する」と判断されるか否か、という薬機法のグレーゾーンの判断は、AIには不可能です。過去の行政指導事例や判例を知る専門家でなければ、安全な表現の提案はできません。

  • 連鎖する規制の影響:

    • ある物質が安衛法で追加された場合、それを含む製品のラベル表示、リスクアセスメントなど、関連法規にどのような影響が連鎖するかを判断できるのは、法規制全体を理解している人間だけです。

2-2. 🧑‍⚖️ 人間専門家が提供する「3つの高付加価値」

弊社がアサインする専門家は、単なるネイティブチェックを超えた、以下の高付加価値を提供します。

  1. リアルタイムな知識更新(最新法令への即応):

    • 専門家は現地での最新の官報、通知、行政指導を日常的にチェックしており、「この規定は今週変わった」という生きた情報を即座に反映できます。

  2. 訴訟リスク・ファクターの抽出:

    • 過去の訴訟事例(判例)に基づき、マニュアルや警告文のどの表現が将来的な製造物責任(PL)訴訟の引き金になり得るかを予測し、「訴訟されにくい」表現への修正を提案します。

  3. レギュラトリー・ライティングへの転換:

    • その文書が持つ「法的・規制的な目的」を達成できるよう、原文の意図を汲み取りながら規制当局に「通りやすい」文書構造や表現に転換します。

 

第3章:専門監修の「質」を保証する厳格なプロセスと体制

お客様の「法的な生命線」を扱うからこそ、弊社は監修者の選定と情報管理において、妥協のない基準を設けています。

 

3-1. 厳格な「プロフェッショナル選定方針」

  • 実務経験と資格の裏付け: 該当する専門分野での5年以上の実務経験を持ち、現地の弁護士資格や専門技術資格など、第三者による裏付けを重視します。

  • 多法規連動性の理解: 単一の法律だけでなく、薬機法とPL法、安衛法と化管法など、複数の規制間の連動性を理解し、包括的なリスクチェックができる能力を選定基準としています。

  • 利益相反(COI)の徹底排除: 案件ごとに、お客様の競合他社や関連企業との間で利益相反がないかを厳しくチェックし、監修の中立性と公正性を担保します。

3-2. 機密情報保護と損害賠償上限の明文化

  • 二重のNDA体制: 弊社とお客様のNDAに加え、全ての監修者と個別に厳格な機密保持契約(NDA)を締結。

  • 損害賠償の上限: 弊社の監修に起因する損害が発生した場合の賠償額の上限を、本契約における監修報酬総額を超えないものと明文化します。

結論:規制コンプライアンスは「専門知識のローカライズ」から始まる

グローバルな規制は常に変動しています。貴社の提供する技術文書、医療文書、化学品情報は、単に正確な翻訳を求めているのではなく、「現地の最新規制に適合した状態」を求めています。

WIPジャパンの専門監修サービスは、「翻訳」と「法規制のアップデート」を融合させ、お客様の事業を罰則、訴訟、行政指導といった致命的なリスクから守ります。

最新の法改正に対応したSDSの緊急改訂や、海外の薬事申請に向けた文書の規制適合性チェックなど、コンプライアンスに関する課題は、ぜひ私たちにお任せください。

翻訳に関する無料個別相談や無料見積もりも行っております。
まずは貴社のニーズや課題感など、簡単なお問い合せから始めてみませんか?
ご相談は無料です。いつでもお気軽にご連絡ください。

 

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