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『海外進出』自社でやるには面倒すぎることランキングTOP10|WIPジャパン

作成者: WIP japan|Jun. 09, 2025


海外進出は夢と現実のギャップが大きい?

「海外進出」という言葉を聞くと、新しい市場での成功、グローバル企業への成長、そして壮大なビジネスチャンスが頭に浮かぶかもしれません。しかし、その華やかなイメージの裏には、自社でゼロから取り組むにはあまりにも「面倒」で「複雑」なタスクが山積していることをご存知でしょうか?

「海外進出、自社でやろうと思ったけど、結局何から手をつけていいか分からない…」 「情報が多すぎて、どれが正しいのか判断できない…」 「国内事業で手一杯なのに、海外事業まで手が回らない…」

もしあなたが今、このような悩みを抱えているなら、ご安心ください。あなたは決して一人ではありません。多くの企業が海外進出の第一歩でつまずき、その「面倒さ」に直面しています。

本記事では、これまで多くの企業の海外進出を支援してきた経験から、特に「自社でやるには面倒すぎる!」と感じるであろうタスクを厳選し、ランキング形式でご紹介します。このランキングを通じて、海外進出の「現実」を理解し、効率的かつ確実に成功へと導くためのヒントを見つけていただければ幸いです。

第1位:市場調査と参入戦略の策定 – どこにどう攻めるべきか?

海外進出の成否を左右する最も重要な要素の一つが、徹底した市場調査とそれに基づいた参入戦略の策定です。しかし、これは自社でやるには想像以上に時間と手間がかかる「面倒な」作業です。

なぜ面倒なのか?

  • 情報の洪水と取捨選択の難しさ: 世界中には無数の市場が存在し、それぞれ異なる経済状況、文化、商習慣、法規制があります。インターネット上には膨大な情報が溢れていますが、その中から自社に本当に必要な情報、信頼できる情報を取捨選択し、分析するのは至難の業です。
  • 現地の一次情報の収集: 公開されている二次情報だけでは、市場のリアルな状況を把握することはできません。現地の消費者ニーズ、競合他社の動向、流通チャネルの実態など、足で稼ぐ一次情報の収集が不可欠ですが、これは時間、コスト、そして現地のコネクションがなければ非常に困難です。
  • 専門知識の欠如: 各国の経済指標、政治情勢、規制緩和・強化の動向、そして特定の産業におけるトレンドなど、多岐にわたる専門知識が求められます。自社の既存リソースでこれら全てをカバーするのは現実的ではありません。
  • 仮説と検証の繰り返し: 調査結果をもとに仮説を立て、参入戦略を策定しても、それが本当に機能するかは現地で検証するまでわかりません。仮説が外れた場合は、再調査と戦略の再構築が必要となり、このサイクルを繰り返す手間は計り知れません。

例:食品メーカーの海外進出

例えば、日本の高品質な食品を海外に展開したいとします。

  • 市場調査: どの国が日本の食品に高い需要があるのか?現地の食文化、輸入規制、流通チャネル、競合品(現地品・輸入品)の価格帯と品質、消費者の購買力などを詳細に調査する必要があります。
  • 参入戦略: 小売店経由で販売するのか、オンラインで直販するのか、現地パートナーと組むのか。ターゲット層は誰で、どのようなマーケティング戦略が有効か。価格設定はどうするべきか。これらの問いに対する明確な答えを導き出すには、深い洞察と戦略的な思考が求められます。

このように、単に「どこかの国に進出する」という漠然とした目標だけでは失敗します。入念な調査と戦略策定は、海外進出成功への最初の、そして最も重要なステップなのです。



第2位:法務・税務・会計の複雑な手続き – 国ごとに異なるルールと落とし穴

海外進出は、単にビジネスを始めるだけでなく、その国の法律、税制、会計基準に準拠することが必須となります。これが自社でやるには最も「面倒」で「リスクが高い」領域の一つです。

 

なぜ面倒なのか?

  • 各国の法制度の多様性: 会社設立、契約、知的財産、労働法、消費者保護法など、国によって法律は千差万別です。日本の常識が通用しないケースも多く、誤った解釈や認識不足は、多額の罰金や事業停止といった重大なリスクにつながります。
  • 国際税務の複雑性: 国際取引における源泉徴収税、移転価格税制、二重課税の回避など、国際税務は非常に複雑です。各国の税法と租税条約を理解し、適切に申告・納税を行うことは、専門家なしでは困難を極めます。
  • 会計基準の相違: 日本の会計基準と異なる国際会計基準(IFRS)や米国会計基準(US GAAP)を採用している国も多く、現地の会計処理や報告方法に適応する必要があります。
  • 手続きの煩雑さ: 現地法人の設立一つとっても、必要書類の準備、申請手続き、許認可の取得など、想像以上に多くの手続きと時間が必要です。現地の役所とのやり取りも、言語の壁や商慣習の違いからストレスとなるでしょう。
  • 継続的な情報収集と対応: 各国の法改正や税制改正は頻繁に行われます。これらの最新情報を常にキャッチアップし、適切に対応し続ける体制を自社で維持するのは、多大な労力を要します。

例:海外子会社設立

海外に子会社を設立する場合、以下のような手間がかかります。

  • 弁護士の選定と契約: 現地の法律に精通した弁護士を探し、会社設立の代行を依頼する必要があります。
  • 定款の作成と公証: 現地の法律に則った定款を作成し、公証役場で認証を受ける必要があります。
  • 登記手続き: 現地当局に会社を登記し、事業を開始するための許認可を取得します。
  • 銀行口座の開設: 現地で事業を行うための銀行口座を開設しますが、外国人企業が口座を開設する際には、様々な書類や審査が必要となる場合があります。
  • 税務登録と会計システムの導入: 現地税務当局に登録し、現地の会計基準に合わせた会計システムを導入する必要があります。

これらの手続きを自社だけで行う場合、時間、コスト、そして精神的な負担は計り知れません。

 

第3位:現地での人材確保とマネジメント – 採用から定着まで

海外進出において、現地での人材確保とマネジメントは、事業成功の鍵を握る一方で、自社でやるには非常に「面倒」で「困難」な課題です。

なぜ面倒なのか?

  • 文化・商習慣の違い: 採用プロセス、面接の進め方、労働契約、評価制度、給与体系など、国によって文化や商習慣が大きく異なります。日本の常識をそのまま持ち込むと、現地社員との摩擦や離職につながる可能性があります。
  • 言語の壁: 採用面接、日々のコミュニケーション、社内研修など、言語の壁は常に付きまといます。通訳を雇うにしても、ニュアンスまで正確に伝えるのは容易ではありません。
  • 労働法規の複雑性: 各国の労働法は多岐にわたり、解雇規制、残業代、社会保障制度など、日本の法律とは大きく異なる場合があります。これらの法規を正確に理解し、遵守しないと、訴訟リスクや罰金につながります。
  • 優秀な人材の獲得競争: グローバル化が進む中、優秀な人材の獲得競争は激化しています。自社だけで現地のマーケットで競争力のある採用戦略を立て、実行するのは非常に困難です。
  • 人材定着の難しさ: 採用できたとしても、文化的なギャップやキャリアパスの不透明さから、早期離職につながるケースも少なくありません。現地社員のモチベーションを維持し、長期的に活躍してもらうためのマネジメントは、非常にデリケートな問題です。
  • 給与・福利厚生の適正水準の把握: 現地の物価、競合他社の給与水準、税制などを考慮し、適正な給与・福利厚生を設計することは、現地の情報に精通していなければ困難です。

例:現地法人での採用活動

現地の採用エージェントを利用しない場合、以下のような手間がかかります。

  • 求人票の作成と掲載: 現地語で求人票を作成し、現地の求人サイトや新聞に掲載します。
  • 応募者対応と書類選考: 多数の応募書類が届き、その中から面接に進める人材を絞り込みます。
  • 面接実施: 現地で面接を実施しますが、言語の壁や文化的な背景の違いから、応募者の真意を見抜くのが難しい場合があります。
  • 労働条件の交渉と契約: 現地の労働法規に則り、給与や福利厚生を含む労働条件を交渉し、契約を締結します。
  • ビザ・就労許可の取得: 日本人駐在員を派遣する場合、ビザや就労許可の取得も大きな課題となります。これは国によって手続きや必要書類が大きく異なります。

人材は企業の最も重要な資産です。海外進出における人材戦略は、国内以上に専門性と経験が求められます。

 

第4位:資金調達と為替リスク管理 – 見えないコストと変動するリスク

海外進出には多大な資金が必要であり、その資金調達と、為替変動に伴うリスク管理は、自社でやるには非常に「面倒」で「専門知識を要する」領域です。

 

なぜ面倒なのか?

  • 多額の初期投資: 現地法人の設立費用、オフィス賃料、設備投資、現地スタッフの人件費、マーケティング費用など、初期段階でまとまった資金が必要となります。
  • 資金調達の難しさ: 国内の金融機関からの融資に加え、現地の金融機関からの借り入れや、政府系金融機関の制度利用など、様々な資金調達の方法を検討する必要があります。それぞれの条件や審査基準は異なり、自社だけで最適な選択肢を見つけるのは困難です。
  • 為替リスク: 海外取引では、為替レートの変動により収益が大きく変動するリスクが常に存在します。為替予約、オプション取引など、リスクヘッジの手法は多岐にわたりますが、これらの知識がなければ適切に管理できません。
  • キャッシュフロー管理の複雑化: 国内事業に加え、海外事業のキャッシュフローも管理する必要があり、両替手数料や送金手数料なども考慮に入れる必要があります。
  • 税務上の問題: 国際間の資金移動には、税務上の問題が絡むことがあります。不適切な資金移動は、追徴課税や罰金につながるリスクがあります。

例:為替変動による損失

例えば、製品を輸出し、海外からの代金を米ドルで受け取るとします。契約時点では1ドル=150円だったものが、入金時点で1ドル=140円になってしまうと、同じ金額のドルを受け取っても、円換算では収益が減少してしまいます。この為替リスクを適切に管理しないと、利益が大幅に減少する、あるいは赤字に転落する可能性もあります。

資金は企業の血液です。海外進出においては、この血液を安定的に供給し、リスクを最小限に抑えるための高度な知識と戦略が不可欠です。

第5位:知的財産権の保護 – モノマネ対策と模倣品排除

海外進出を成功させるためには、自社の技術やブランドを守るための知的財産権(特許、商標、意匠など)の保護が不可欠です。しかし、これは自社でやるには非常に「専門的」で「手間がかかる」作業です。

 

なぜ面倒なのか?

  • 各国での権利取得: 知的財産権は属地主義が原則であり、日本で取得した権利が海外で自動的に保護されるわけではありません。進出する国ごとに個別に権利を取得する必要があります。
  • 手続きの複雑さ: 各国での特許出願、商標登録の手続きは、日本のそれとは異なる部分が多く、現地の専門家(弁理士など)の協力が不可欠です。
  • 模倣品対策と侵害対応: 権利を取得したとしても、模倣品が流通するリスクは常に存在します。模倣品を発見した場合の調査、警告、訴訟といった対応は、現地の弁護士と連携しながら進める必要があり、時間とコストがかかります。
  • 情報収集の困難さ: 現地での模倣品情報や不正使用の状況を自社で把握し続けるのは困難です。
  • 費用と時間: 各国での権利取得には多額の費用と時間がかかります。

例:海外での商標登録

自社の商品名やサービス名を海外で展開する際、現地の商標権を侵害しないか調査し、自社の商標を登録する必要があります。これを怠ると、後から現地の企業に商標を先に登録されてしまい、自社の商品名が使えなくなったり、損害賠償を請求されたりするリスクがあります。

知的財産は企業の競争力の源泉です。海外進出においては、自社の知的財産をいかに守るかという戦略が非常に重要になります。

 

第6位:サプライチェーン・物流の構築と管理 – 物流網と現地パートナー探し

海外で製品を販売する場合、原材料の調達から製造、流通、販売までのサプライチェーン全体を最適化する必要があります。特に物流は、国境を越えるため複雑で、「面倒」な要素が多く含まれます。

 

なぜ面倒なのか?

  • 現地の物流インフラの把握: 進出先の国の道路状況、港湾設備、通関手続き、倉庫の状況など、現地の物流インフラを把握する必要があります。
  • 輸送手段の選定: 航空便、船便、陸路など、製品の特性やリードタイム、コストを考慮して最適な輸送手段を選定します。
  • 通関手続きの複雑さ: 各国の輸出入規制、関税、税関検査など、通関手続きは非常に複雑です。書類の不備や誤った申告は、貨物の遅延や罰金につながります。
  • 現地パートナーの選定と連携: 現地の倉庫業者、運送業者、通関業者など、信頼できるパートナーを見つけ、強固な連携体制を構築する必要があります。
  • リスク管理: 災害、政治情勢の変化、ストライキなど、予期せぬ事態による物流の停滞リスクを考慮し、代替ルートや緊急時の対応策を準備する必要があります。
  • コスト管理: 輸送費、関税、倉庫費用、人件費など、サプライチェーン全体にかかるコストを最適化することは、収益性に直結します。

例:越境ECにおける物流

日本の商品を海外の消費者へ直接販売する越境ECの場合、以下のような物流上の課題が生じます。

  • 国際配送サービス選定: どの配送業者が、どの国へ、どのような料金体系で配送しているのかを比較検討します。
  • 各国税関への対応: 各国の関税や消費税、輸入規制に対応した申告書の作成が必要です。
  • 返品・交換対応: 海外からの返品や交換にどう対応するか、物流を含めた体制を構築する必要があります。

グローバルなサプライチェーンの構築は、専門知識と経験、そして広範なネットワークがなければ非常に困難です。

 

第7位:現地文化・商習慣への適応とマーケティング戦略 – 売れる仕組みづくり

海外市場で成功するためには、現地の文化や商習慣を深く理解し、それに合わせたマーケティング戦略を構築することが不可欠です。しかし、これは自社でやるには非常に「奥深く」て「試行錯誤が必要」な領域です。

 

なぜ面倒なのか?

  • 文化的な障壁: 言語だけでなく、価値観、消費行動、コミュニケーションスタイルなど、文化的な違いは多岐にわたります。日本の成功事例がそのまま海外で通用するとは限りません。
  • 現地ニーズの把握: 現地の消費者が何を求めているのか、どのようなメッセージが響くのか、どのような流通チャネルが効果的なのかを正確に把握する必要があります。
  • 競合分析: 現地企業や他の海外企業がどのようなマーケティング戦略を展開しているのかを分析し、自社の差別化ポイントを見つける必要があります。
  • メディア戦略の構築: 現地の主要なメディア(テレビ、新聞、雑誌、デジタル広告、SNSなど)を特定し、効果的な広告戦略を策定します。
  • プロモーション手法の選定: 試供品配布、セール、イベント開催など、現地の消費者に響くプロモーション手法を選定し、実行します。
  • ブランドイメージの構築: 現地で自社のブランドイメージをどのように構築していくか、長期的な視点での戦略が求められます。

例:製品名のローカライズ

日本でヒットした製品名が、海外では全く異なる意味合いを持ったり、不適切だったりするケースがあります。現地の言語と文化を考慮し、製品名をローカライズすることは、マーケティングにおいて非常に重要です。

例えば、日本の「カルピス」は、英語圏では「カウピス(Cow Piss)」と聞こえるため、「CALPICO」という名称で展開されています。このように、細部にわたるローカライズが成功の鍵を握ることもあります。

現地の消費者の心を掴むマーケティングは、まさに「郷に入っては郷に従え」の精神が求められます。

第8位:危機管理と事業継続計画(BCP)– 想定外への備え

海外での事業展開には、国内ではあまり想定しないような多様なリスクが存在します。テロ、自然災害、政情不安、感染症の蔓延など、不測の事態に備えた危機管理と事業継続計画(BCP)の策定は、自社でやるには「見落としがち」で「専門知識が必要」な領域です。

 

なぜ面倒なのか?

  • リスクの多様性: 国内では考えられないようなリスク(政変、暴動、テロ、大規模な自然災害、未知の感染症など)が海外では現実として存在します。
  • 情報収集と分析: 各国の治安情勢、政治動向、自然災害リスクなど、常に最新の情報を収集し、自社への影響を分析する必要があります。
  • 現地対応体制の構築: 緊急時の連絡体制、避難経路の確保、現地スタッフの安否確認、大使館・領事館との連携など、具体的な対応体制を構築する必要があります。
  • 保険加入の検討: 海外における事業活動には、リスクに応じた適切な保険(海外旅行保険、賠償責任保険など)の加入を検討する必要があります。
  • 事業継続計画の策定: 不測の事態が発生した場合でも、事業を最小限の停止に留め、早期に再開するための計画(BCP)を策定しておく必要があります。
  • 法律・規制の遵守: 緊急事態における各国の法律や規制(移動制限、外出禁止令など)を理解し、遵守することが求められます。

例:海外出張者の安全管理

海外出張者がテロや災害に巻き込まれるリスクを考えると、以下のような準備が必要です。

  • 危険地域の把握: 事前に危険情報を収集し、危険な地域への渡航を避ける。
  • 緊急連絡先の共有: 現地大使館、領事館、緊急医療機関の連絡先を共有する。
  • 保険加入: 海外旅行保険や緊急医療アシスタンスサービスに加入する。
  • 安否確認システム: 緊急時に迅速に安否確認できるシステムを導入する。

いざという時のための準備は、普段は意識しにくいものですが、事業の存続に関わる重要な要素です。

 

第9位:現地パートナーとのアライアンス構築 – 信頼できる相手探しと関係維持

海外進出において、現地企業との提携は、市場参入のリスクを低減し、成功確率を高める上で非常に有効な手段です。しかし、信頼できるパートナーを見つけ、良好な関係を維持することは、自社でやるには「時間と根気が必要」な領域です。

 

なぜ面倒なのか?

  • パートナー候補の選定: 業界、規模、実績、企業文化、経営者の人柄など、多角的な視点から最適なパートナー候補を選定する必要があります。情報収集だけでは見抜けない、信頼性や相性の問題も大きいです。
  • デューデリジェンスの実施: パートナー候補の財務状況、法務、事業内容などを詳細に調査するデューデリジェンス(適正評価手続き)は、専門的な知識と時間が必要です。
  • 契約交渉: 提携内容、責任範囲、利益配分、知的財産権の扱いなど、複雑な契約条件を交渉し、合意に至るまでには時間と専門家のサポートが必要です。
  • 文化的なすれ違い: 異文化間のコミュニケーションから生じる誤解やすれ違いは、信頼関係を損なう原因となることがあります。
  • 関係維持とモニタリング: 提携後も定期的なコミュニケーションを取り、進捗状況をモニタリングし、問題が発生した場合には迅速に対応する必要があります。
  • 紛争解決: 万が一、パートナーとの間で紛争が発生した場合、現地の法律に基づいて解決を図る必要があり、非常に複雑な手続きを要します。

例:販売代理店契約

現地の販売代理店と契約する場合、以下のような点を考慮する必要があります。

  • 販売網と実績: 代理店がどのような販売網を持っているか、過去の販売実績はどうか。
  • 専門性と熱意: 自社製品に対する理解度や、販売への熱意があるか。
  • 契約期間と終了条件: 契約期間や、契約を終了する際の条件など。

信頼できるパートナーを見つけ、共にビジネスを成長させていくことは、海外進出の重要な成功要因となります。

 

第10位:日本本社との連携と情報共有 – スムーズな意思決定の仕組みづくり

海外進出が本格化するにつれて、日本本社と海外拠点との間のスムーズな連携と情報共有は不可欠となります。しかし、物理的な距離、時差、言語の壁などから、これは自社でやるには「継続的な努力が必要」な領域です。

 

なぜ面倒なのか?

  • コミュニケーションの障壁: 言語の壁、時差、文化的な背景の違いから、コミュニケーションが円滑に進まないことがあります。
  • 情報共有の遅れ: 重要な情報がタイムリーに共有されず、意思決定が遅れたり、誤った判断につながったりするリスクがあります。
  • 責任と権限の曖昧さ: 本社と現地拠点との間の役割分担や権限が不明確だと、業務の重複や、誰も責任を取らない状況が発生する可能性があります。
  • ITインフラの整備: 安全で効率的な情報共有のためには、適切なITツール(グループウェア、Web会議システム、ファイル共有システムなど)の導入と運用が必要です。
  • 人材育成と異動: 本社から海外拠点への駐在員派遣や、現地スタッフの育成など、人材に関する計画と実行も重要です。
  • モチベーションの維持: 物理的に離れていることで、現地スタッフのモチベーション維持や、一体感の醸成が課題となることがあります。

例:月次報告会議

本社と海外拠点との月次報告会議を例にとると、以下のような課題があります。

  • 時差調整: 複数国の拠点がある場合、全ての拠点にとって都合の良い時間帯を見つけるのが難しい。
  • 言語対応: 日本語、英語、現地語が混在する場合、通訳の手配や、誤解のないコミュニケーションの工夫が必要。
  • データ共有: 各拠点の売上データや進捗状況をリアルタイムで共有し、共通認識を持つ仕組みが必要。

本社と海外拠点が「One Team」として機能するためには、仕組みづくりと継続的な改善が不可欠です。

 

なぜ自社でやるのが「面倒すぎ」るのか?共通する3つの理由

ここまでランキング形式で「面倒すぎること」をご紹介してきましたが、これらには共通する「面倒さ」の根源があります。

専門性とノウハウの欠如

  1. 海外進出には、法務、税務、会計、人事、マーケティング、物流、危機管理など、多岐にわたる専門知識と、現地特有のノウハウが必要です。これら全てを自社だけでカバーすることは、現実的に不可能です。
  2.  

    時間とリソースの制約

  3. 海外市場の調査から、戦略策定、現地での手続き、人材確保、事業運営まで、膨大な時間と人的リソースを要します。既存の国内事業を抱えながら、これら全てを自社でまかなうのは、多くの企業にとって大きな負担となります。

    情報収集と判断の難しさ

  4.  信頼できる現地の一次情報を得ることは非常に困難であり、その情報を基に適切な判断を下すには、海外ビジネスに関する深い洞察力と経験が求められます。

これらの「面倒さ」を乗り越えようと無理に自社で全てを抱え込むと、結果として時間とコストだけがかさみ、失敗に終わるリスクが高まります。

 

成功への近道:海外進出支援サービスを活用するメリット

ここまでご紹介した「面倒すぎる」課題の数々は、海外進出支援の専門家やコンサルティング会社を活用することで、大幅に軽減することができます。

サービス活用メリット 具体的な効果
専門知識とノウハウの活用 法務・税務・会計・人事・マーケティングなど、各分野の専門家が持つ知識と経験を、自社の事業に最適化して活用できます。最新の法規制や市場動向にも対応できます。
時間とコストの削減 面倒な調査や手続きを代行してもらうことで、自社の貴重な時間とリソースをコアビジネスに集中させることができます。また、不慣れなために発生する無駄なコストやリスクを削減できます。
現地情報の取得とネットワーク 現地の一次情報や、信頼できるパートナー候補の情報を効率的に入手できます。現地の政府機関や企業とのネットワークも活用できます。
リスクの軽減 法務・税務リスク、為替リスク、知的財産リスクなど、海外進出特有のリスクを事前に特定し、適切な対策を講じることができます。
客観的なアドバイス 外部の専門家として、客観的な視点から事業戦略や課題解決に向けたアドバイスを受けることができます。
スピーディーな展開 専門家のサポートにより、市場調査から進出準備、事業開始までのプロセスを迅速に進めることが可能になります。
撤退戦略の検討 万が一事業がうまくいかなかった場合の撤退戦略についても、事前に専門家と相談し、準備することができます。
 

もちろん、海外進出支援サービスを利用するには費用がかかります。しかし、自社で試行錯誤を繰り返すことによる機会損失や、失敗した場合の損失を考慮すれば、専門家への投資は、むしろ「成功へのコスト」と考えるべきでしょう。

 

まとめ:賢い海外進出は「任せる」勇気から

「海外進出」は、決して簡単な道のりではありません。しかし、綿密な計画と適切なパートナーシップがあれば、大きな成功を手にする可能性を秘めています。

本記事でご紹介した「自社でやるには面倒すぎることランキングTOP10」を通じて、海外進出のリアルな課題と、その複雑さをご理解いただけたことと思います。これらの課題は、裏を返せば、専門家が持つ価値を示すものでもあります。

もしあなたが、海外進出の夢を実現したいけれど、その「面倒さ」に躊躇しているなら、ぜひ一度、海外進出支援の専門家にご相談ください。あなたのビジネスを次のステージへと導く、最適なサポートがきっと見つかるはずです。

賢く、そして確実に海外進出を成功させるために、「自社で全てを抱え込む」のではなく、「プロに任せる」という選択肢を、ぜひ前向きに検討してみてはいかがでしょうか。