お客様が翻訳会社に翻訳を依頼されようとしたときに、最も気になるのはコスト(翻訳料金)と品質ではないでしょうか。今回はそのコストについてお話をさせて頂ければと思います。
はじめに、翻訳会社のレートはどのように決まっているのでしょうか。日英翻訳・和英翻訳(日本語から英語へ)と英日翻訳・英和翻訳(英語から日本語へ)を例にとって説明しましょう。
翻訳料金はどのように決まるのか?
WIPでは標準的なレート(単価)として「日英16円/字」「英日18円/w」とご案内していますが、このレートをベースに、各案件の専門性・ボリューム・お急ぎ具合・想定読者によるブラッシュアップの違いなどから判断、割増したりディスカウントしたりして、最終的な見積金額を決めさせて頂いています。
日英翻訳の場合、原稿が日本語ですから、日本語の合計文字数をカウントし、レートを掛け算することで見積金額が決定します。
英日翻訳の場合、原稿が英語ですから、英語の合計ワード(単語)数をカウントし、レートを掛け算することで見積金額が決定します。
他にもレイアウト調整費やプロジェクト管理費などがかかるケースもありますが、分かりやすくするためにここでは割愛させて頂きます。
翻訳料金の標準レートはどのように決まるのか?
では、そもそも翻訳料金の標準レート(日英16円/字、英日18円/w)はどのように決まっているのでしょうか。
一番の要素は原価、つまり翻訳スタッフへの支払いです。ほとんどの翻訳会社が専門分野別の契約翻訳者(外部)とパートナーシップを結んでいるのですが、WIPも例外ではなく、約6,500人の優秀な翻訳者と共に日々作業を進めております。
その翻訳者への支払金額がお客様への見積のレートに最も影響するのです。したがいまして、翻訳言語(国)によって、物価や平均賃金も変わり、言語が変われば翻訳のレートも変わってきます。
また、競争原理も大きく働きます。実は上記のような標準レートですが、翻訳業界全体を見ても過去と比べると金額が下がっています。これは言うまでもなく翻訳会社間の競争力が生み出した結果でしょう。機械翻訳(AI翻訳)が進化したことも影響していると思われます。
英日翻訳のレートの方が圧倒的にお得な理由とは?
お気づきでしょうか。「日英16円/字」「英日18円/w」を一見すると、「そうか、同じ言語ペアなので同じような金額なのか」と思われるかもしれません。
しかし、このレートは全く異なります。日英よりも英日のレートの方が圧倒的にお客様にとってお得になります。
なぜでしょうか。それは日本語の文字数と英語のワード数のボリュームは1:1の比率ではないからです。
例えば、「家族」という日本語は2文字としてカウントされますが、英語にすると「family」ですので1wとしてカウントされます。つまり日本語の方が2倍多くなっているわけです。
平均すると、日本語の文字数の方が、英語のワード数よりも2~2.5倍ほど多くなります。ということは、250字の日本語原稿が、100wの英語原稿とほぼ同じボリュームになるわけです。
するとどうでしょう。さきほどの標準レートを掛けてみると、日英の場合は250字×16円/字=4,000円。英日の場合は100w×18円/w=1,800円となります。同じボリュームにも関わらず英日翻訳の方がかなりお安くなっていることがお分かり頂けるかと思います。
では、なぜこのようなことが起こるのでしょうか。
それは翻訳会社と同じく翻訳者間でも競争原理が働いているからです。日本を本拠地としている翻訳会社であれば、翻訳者の数は日英翻訳者(英語ネイティブ翻訳者)よりも、英日翻訳者(日本語ネイティブ翻訳者)の方が圧倒的に多いため、英日翻訳者の競争力が高まり、レートも下がってくるというわけです。逆に、米国を本拠地としている翻訳会社であれば、おそらく事情が変わってくることでしょう。
お客様が実践できるコストカットの方法とは?
このようにして見積のレートは決まってくるわけですが、前述のとおり少しでもお安く高品質の翻訳をお客様にお届けできるように、WIPは他の翻訳会社と切磋琢磨しながら日々努力を重ねています。
ただ、コストカットという意味では、お客様の方でも実践して頂けることがあります。例えば以下のようなものが挙げられるでしょう。
1 Excelでメモリを管理する
2 CATツールを使用する
3 原稿をシンプルにする
4 翻訳のスケジュールを確保する
詳しい内容についてはまた次回以降に説明しますが、1と2について少しだけ触れますと、翻訳用の原稿にはファイル内で重複する部分があったり、過去の翻訳と同じ文章が含まれていたりするケースがあります。何度か翻訳会社に翻訳を依頼されたことがあるお客様ならお分かりかと思います。
同じ文章であるなら、それを引用して翻訳依頼する文字数を少しでも減らした方がお得になることは容易に想像して頂けるかと思います。
そのあたりの方法についてまた次の機会にお伝えさせて頂きます。よろしくお願いします。(中後)