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オンライン派遣 vs. フリーランス:あなたのビジネスに最適なのはどっち?

作成者: WIP japan|Jun. 29, 2025

 

在宅勤務が当たり前になった現代、人材の活用方法も多様化しています。「オフィスに来なくても働けるなら、もっと自由に人材を活用したい」「専門スキルを持つ人を一時的に補強したい」――そう考える企業が増えています。

 

その中で注目されているのが「オンライン派遣」と「フリーランス」という働き方です。どちらも場所にとらわれずに業務を依頼できるため、一見すると同じように見えるかもしれません。しかし、その実態は大きく異なります。

この記事では、オンライン派遣とは何か、どこで活用されているのか、そしてフリーランスとの具体的な違いまで、ビジネスで人材を有効活用するための重要なポイントを分かりやすく解説します。

1. オンライン派遣とは?新しい働き方の実態

オンライン派遣とは、その名の通り、オフィスに出社せず、主に自宅などからオンラインで業務を行う派遣社員のことを指します。企業は派遣会社を通じて人材を受け入れ、派遣社員はオンライン上で企業の業務を遂行します。

 

オンライン派遣の仕組み

  • 契約関係: 派遣スタッフは、派遣会社(派遣元)と雇用契約を結びます。その派遣会社が、人材を必要とする企業(派遣先)にスタッフを派遣します。

  • 雇用主: 人材の雇用主は派遣会社です。給与の支払い、社会保険(健康保険、厚生年金)や労働保険(雇用保険、労災保険)の加入、有給休暇の付与、労働時間の管理といった労務管理はすべて派遣会社が行います。

  • 指揮命令: 派遣された人材は、派遣先の企業の指揮命令を受けて業務を行います。

  • 法的保護: 派遣スタッフは、日本の労働者派遣法労働基準法など、日本の労働法によって手厚く保護されます。

どのような企業で、どのように活用されているのか?

オンライン派遣は、業種や企業規模を問わず、多様な形で活用が進んでいます。特に以下のような業界や業務での活用が目立ちます。

  • IT・Web業界: Webサイトのコンテンツ作成、SNS運用、オンライン広告運用、データ入力・分析、カスタマーサポート、プログラミング補助など、オンラインで完結しやすい業務で先行して普及しました。

  • サービス業(特に多言語対応、コールセンター): 訪日外国人観光客の回復に伴い、オンラインでの多言語カスタマーサポート、オンライン通訳、予約受付などの需要が高まっています。オフィススペースの制約がある場合にも有効です。

  • メーカー・商社(バックオフィス業務): 貿易事務、経理補助、人事・労務事務、資料作成など、定型的なバックオフィス業務で効率化やコスト削減のために活用されています。

  • 地方の中小企業・スタートアップ: 大都市圏の専門スキルを持つ人材(例:高度なマーケター、Webデザイナー)を、地理的な制約なくオンラインで活用できるため、人材確保の課題解決に貢献しています。

2. オンライン派遣とフリーランス、決定的な違いとは?

オンライン派遣とフリーランスは、どちらもリモートで業務を依頼できる点で共通しますが、その法的な位置づけと責任の所在において、全く異なる働き方です。この違いを理解することが、適切な人材活用に繋がります。

比較項目

オンライン派遣(労働者派遣)

フリーランス(業務委託契約など)

契約関係

派遣元企業と雇用契約を結び、派遣元が派遣先企業に労働者を派遣。

依頼元の企業とフリーランスが直接、業務委託契約などを結ぶ。

雇用主

派遣元企業

なし(フリーランス自身が事業主)

指揮命令

派遣先企業が、業務内容や進め方について直接的に指揮命令を行う。

依頼元企業からの直接的な指揮命令は原則受けない。成果物に対して責任を負う。

法的保護

労働者派遣法、労働基準法など、日本の労働法で手厚く保護される。

原則として労働法による保護はない。民法などの契約法が適用される。

社会保険等

派遣元企業が社会保険(健康保険、厚生年金)、労働保険(雇用保険、労災保険)に加入させる。

自己責任で国民健康保険、国民年金などに加入。労働保険は対象外。

給与/報酬

派遣元企業から給与として支払われる。

依頼元企業から業務の対価として報酬が支払われる。

労務管理の負担

派遣先企業は派遣元に派遣料金を支払うのみで、労務管理負担は小さい。

依頼元企業はフリーランスとの契約内容の管理のみ。

偽装請負リスク

なし(適法な派遣契約のため)

あり(実態が指揮命令下の労働なのに業務委託契約を結んだ場合)

 

3. 日本国内での外国語人材オンライン派遣について

日本国内に在住している外国語人材をオンラインで派遣する場合、法的な問題は基本的にありません。

  • 派遣元企業、派遣先企業、そして派遣される外国語人材の全員が日本国内にいるため、すべての日本の労働関連法規が明確に適用されます。

  • 外国籍の人材であっても、日本国内に**適切な就労可能な在留資格(ビザ)**を持って居住していれば、日本国内の派遣社員として働くことが可能です。(例:「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持つ外国人が、日本国内の自宅から東京の会社にオンラインで派遣されるケースなど)

この形態は、地方に住むバイリンガル人材や、多様な働き方を希望する外国人材を企業が活用する上で、非常に有効な手段として既に広く普及しています。人材確保の選択肢を広げ、地方創生にも貢献できる可能性があります。

4. 海外在住の外国語人材をオンラインで活用する場合

ここが特に注意が必要な点です。海外に在住している外国人を、日本の労働者派遣法に基づいて日本の企業に「派遣」することは、原則として現在の日本の法律では困難、または多くの法的ハードルを伴います。

主な理由は以下の通りです。

  • 日本の労働法の適用範囲: 日本の労働法は、基本的に日本国内での労働関係を前提としています。海外在住の労働者に日本の労働法をどこまで適用できるか、その国の労働法との準拠法の問題が生じます。

  • 社会保険・税務: 日本の社会保険制度は国内居住者に適用されるため、海外在住の労働者を日本の社会保険に加入させることはできません。また、税務処理も複雑になり、二重課税のリスクも生じます。

  • ビザ・在留資格: 海外からのオンライン勤務のみを目的とした就労ビザは、現在の日本の制度にはありません。

現実的な選択肢は「業務委託契約」

このような法的問題を回避し、海外在住の外国語人材をオンラインで活用する最も現実的な方法は、その人材と直接「業務委託契約」(または準委任契約、請負契約)を締結することです。

  • この場合、その人材は日本の法律上「労働者」ではなく、「独立した事業主(フリーランス)」として扱われます。

  • 依頼元の企業は、業務の成果物に対して報酬を支払う形になり、労働法に基づく義務(労働時間管理、社会保険加入など)は発生しません。

  • ただし、業務委託契約であっても、実態が「指揮命令下での労働」と見なされる(偽装請負)と、労働法違反となるリスクがあるため、契約内容や業務の進め方には細心の注意が必要です。

まとめ:あなたのビジネスに最適な選択を

オンライン派遣とフリーランスは、リモートワークが可能という共通点を持つ一方で、雇用関係の有無、法的保護、企業の責任範囲という点で明確に異なります。

  • 安定した労働力を確保し、日本の労働法規に則った安心感を求めるなら、オンライン派遣が適しています。(特に国内在住者向け)

  • 特定のプロジェクトや成果物に対して、より柔軟かつ迅速に専門家を起用したい、そして海外在住の人材も視野に入れたいなら、フリーランスとの業務委託契約が現実的な選択肢となります。

どちらの形式を選ぶかは、貴社の人材ニーズ、予算、リスク許容度によって異なります。もし、この分野で具体的なご検討をされている場合は、必ず専門家(弁護士、税理士、社会保険労務士など)にご相談いただくことを強くお勧めします。

最適な人材活用で、貴社のビジネスがさらに加速することを願っています。