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ウェブサイトの多言語自動翻訳|翻訳品質の管理と運用コストまで考えたツール選び|翻訳会社WIPジャパン

作成者: 芳澤理|Oct. 23, 2026

 

ウェブサイトの多言語化を、できるだけ手軽に、低コストで実現したい。こうしたニーズに応えるサービスとして、ウェブサイトの多言語自動翻訳ツールが普及しています。既存のウェブサイトにツールを導入することで、ページごとに翻訳を発注することなく、多言語ページを生成できるサービスもあります。

一方で、自動翻訳ツールを導入することと、品質の高い多言語サイトを継続的に運営することは、別の問題です。

翻訳会社には、自動翻訳ツールをすでに導入した企業から、「翻訳された文章をネイティブチェックしてほしい」「不自然な表現や誤訳を修正してほしい」といった相談が寄せられることがあります。しかし、実際に翻訳内容を確認・修正しようとすると、翻訳データをまとめて取り出せなかったり、修正した内容を一括で反映できなかったりと、作業環境の制約が判明する場合があります。また、一度修正した専門用語や表現が、別のページや今後の更新時に再利用されなければ、同じ修正作業を繰り返すことになりかねません。

こうした問題は、導入前に翻訳品質の管理方法や更新作業まで含めた運用を検討しておくことで、軽減できる可能性があります。本記事では、ウェブサイトの多言語自動翻訳ツールを選ぶ際に、翻訳品質と運用コストの観点から確認しておきたいポイントを解説します。

 

 

1. 自動翻訳ツールは「導入後の運用」が重要

ウェブサイトの多言語化ツールを比較する際には、一般的に対応言語数、導入のしやすさ、初期費用・月額料金、自動翻訳の精度、既存ウェブサイトとの連携、多言語SEOへの対応といった項目が検討されます。もちろん、いずれも重要な選定基準です。

しかし、もう一つ検討しておきたいのが、公開後に翻訳品質をどのように維持・改善するかという視点です。

 

企業のウェブサイトは、一度公開すれば完成というものではありません。新しい製品やサービスが追加され、既存ページの内容が変更され、キャンペーンやニュースが日々更新されます。そのたびに、新しい自動翻訳が生成されることになります。

例えば、ある製品名が誤って翻訳されていた場合、そのページだけを修正しても、別のページや今後追加されるページで同じ誤訳が繰り返される可能性があります。そのため、翻訳内容を修正できるだけでなく、修正結果を他のページや今後の翻訳にも活用できる仕組みが重要です。

 

「翻訳を修正できること」と「翻訳品質を継続的に管理できること」は、必ずしも同じではありません。

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2. 用語集を一括登録・管理できるか

翻訳品質を安定させるうえで、最初に確認したいのが用語集の管理機能です。企業サイトには、製品名、サービス名、部署名、業界特有の専門用語など、統一して使用すべき用語が数多く存在します。同じ日本語でも、ページによって異なる訳語が使われていると、情報の一貫性が損なわれたり、利用者に混乱を与えたりする可能性があります。

確認したい機能

  • ExcelやCSVなどから用語集を一括登録できるか
  • 訳語の変更・削除を一括で行えるか
  • 言語ごとに用語を管理できるか
  • 翻訳してはいけない製品名・固有名詞を指定できるか
  • 用語集の変更が今後の自動翻訳に反映されるか
  • 公開済みの訳文にも用語集の変更を反映できるか

特に注意したいのが、最後の2点です。用語集を登録できても、その内容がどのような条件で適用されるかは、ツールによって異なります。例えば、自動翻訳された文章には用語集が適用されても、人が修正した訳文には同じルールが適用されない場合があります。また、用語集を変更した後に、既存の翻訳を再生成する操作が必要となる場合もあります。

 

実際、ウェブサイト多言語化サービスのWeglotでは、用語集ルールの適用条件や再生成に関する仕様が公式ヘルプで説明されています。

「用語集機能があるか」だけでなく、「登録・変更した内容が、どの翻訳に、どのタイミングで反映されるか」まで確認することが重要です。

参考:Weglot公式:翻訳ルールの管理

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3. 一度修正した翻訳を再利用できるか

自動翻訳された文章を人が修正しても、その修正結果が次回以降に活用されなければ、同じ作業を繰り返すことになります。ここで重要になるのが、翻訳メモリなどの再利用機能です。

 

翻訳メモリとは、原文と訳文の組み合わせを蓄積し、同じ文章や類似した文章が出てきた際に、過去の翻訳を再利用する仕組みです。例えば、製品紹介ページに「詳しくはお問い合わせください。」という文章があったとします。自動翻訳された英文を、企業の表現方針に合わせて修正した場合、別のページでも同じ英文を再利用できれば、品質の統一と作業時間の短縮につながります。

 

ただし、翻訳メモリの機能にも違いがあります。過去の翻訳を保存するだけの仕組み、類似訳を候補として提示する仕組み、一定の条件で自動適用する仕組みは、それぞれ異なります。

確認したい機能

  • 修正した翻訳を翻訳メモリに保存できるか
  • 同じ原文に対して過去の修正訳を再利用できるか
  • 類似した文章にも翻訳候補を提示できるか
  • 過去の修正訳を一括適用できるか
  • 複数ページで翻訳メモリを共有できるか
  • 原文が更新された際、以前の修正内容がどのように扱われるか

例えば、翻訳管理システムのLokaliseでは、翻訳メモリからの完全一致・類似一致の利用や、一括適用の機能が公式資料に説明されています。ただし、翻訳メモリに保存された訳文が、必ずすべてのページに自動反映されるという意味ではありません。

 

また、翻訳メモリによる再利用と、自動翻訳エンジン自体が学習することは別の仕組みです。翻訳メモリを参照する方法、用語集を適用する方法、AIへの指示で表現を制御する方法、AIモデルそのものを追加学習する方法は、技術的に異なります。導入前には、「人が修正した結果が、具体的にどのような仕組みで次回以降に活用されるのか」を確認しておきましょう。

参考:Lokalise公式:Translation memory

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4. 翻訳データを一括でエクスポート・インポートできるか

翻訳会社にネイティブチェックや翻訳レビューを依頼する場合、作業環境は品質だけでなく、作業効率にも大きく影響します。例えば、サイト全体に数千件の翻訳対象があるとします。一つひとつのページをブラウザで開き、対象となる文章を探して修正する方法では、翻訳チェックそのものよりも、画面操作に多くの時間がかかる可能性があります。

 

一方、翻訳データをExcelやCSV、XLIFFなどの形式で一括出力できれば、翻訳会社が使用する翻訳支援ツール(CATツール)や品質チェックの仕組みを活用できる場合があります。CATツールでは、原文と訳文を対応させながら作業し、用語の不統一、数字の不一致、訳抜けなどを確認できます。修正したデータを一括で取り込めれば、反映作業も効率化できます。

確認したい機能

  • 翻訳データを言語別・ページ別に一括出力できるか
  • 原文と訳文を対にして出力できるか
  • 翻訳対象を識別するIDやURLを取得できるか
  • 修正した翻訳データを一括アップロードできるか
  • 修正箇所だけを更新できるか
  • 既存の修正訳を誤って上書きしない仕組みがあるか
  • インポート・エクスポートに件数やファイルサイズの制限があるか

実際に、WeglotではCSV・XLIFF形式による翻訳データのインポート・エクスポートに対応していますが、利用できるプランやファイルサイズなどの条件が定められています。また、出力できることと、修正済みのデータを正しく再取り込みできることは別の問題です。例えば、翻訳データを一括で取り込む際、どの文章がどのページに対応しているのかを正確に識別できなければ、修正内容が適切に反映されないおそれがあります。

 

そのため、機能一覧の確認だけでなく、実際の翻訳データを使って、「一括出力→外部での翻訳チェック→一括再取り込み→公開ページでの確認」という一連の作業をテストすることが望ましいでしょう。

参考:Weglot公式:翻訳データのインポート・エクスポート

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5. ブラウザ上の編集と一括処理は使い分ける

自動翻訳ツールの中には、実際のウェブページを表示しながら、翻訳された文章を直接修正できる機能があります。これは翻訳品質の確認に役立つ機能です。文章だけを見ていると適切に判断できない表現も、表示位置や前後の文脈を確認することで、より適切な修正が可能になります。

 

また、英語やドイツ語などでは、日本語よりも文章が長くなる場合があります。ボタンやメニューから文字がはみ出したり、レイアウトが崩れたりする問題も考えられます。ブラウザ上で確認できれば、こうした問題も発見しやすくなります。

 

ただし、ブラウザ上の編集機能だけで、大規模サイト全体の品質管理を効率的に行えるとは限りません。例えば、同じ専門用語の誤訳が100ページで発生している場合、それぞれのページを開いて個別に修正するよりも、用語集の修正や一括処理で対応する方が効率的な場合があります。一方、文章の意味が画面構成や前後の文脈に依存する場合は、ブラウザ上での確認が必要です。

 

つまり、大量の文章に対する用語統一や修正は一括処理で行い、文脈やレイアウトの確認は実際のページ上で行うという使い分けが効果的です。

 

なお、動的に生成されるコンテンツやログインが必要な画面、外部システムの埋め込み部分などは、ツールによって翻訳対象の取得や編集に制約が生じることがあります。導入前には、トップページだけでなく、実際に翻訳対象となる複数の画面で編集・確認作業を試すことをおすすめします。

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6. サイト更新時に翻訳品質が維持されるか

ウェブサイトの多言語化では、初回翻訳だけでなく、更新時の処理も重要です。例えば、日本語の製品説明を一部変更した際に、文章全体が新たに自動翻訳され、以前に人が修正した専門用語や表現が元に戻ってしまうと、再度チェックが必要になります。逆に、原文が変更されているにもかかわらず、古い訳文がそのまま表示されることも避けなければなりません。

確認したい機能

  • 原文の変更箇所を検出できるか
  • 変更された文章だけを再翻訳できるか
  • 人が修正した訳文を保護できるか
  • 原文が変更された場合に、翻訳を再確認するよう通知できるか
  • 翻訳の変更履歴を確認・復元できるか
  • 更新された文章を未確認として抽出できるか
  • 公開前に翻訳内容を承認するワークフローを設定できるか

特に重要なのは、原文の変更と訳文の管理状態を連動させる仕組みです。例えば、すでにレビュー済みの文章であっても、原文が変更された場合には再確認が必要になることがあります。一方、変更されていない文章まで繰り返し確認する必要がなければ、チェック作業を削減できます。更新頻度が高いサイトほど、変更箇所の抽出とレビュー状況の管理が重要になります。

 

「サイトが更新されること」と「翻訳品質を維持したまま更新されること」は、別々に確認する必要があります。

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7. ネイティブチェックだけで十分とは限らない

自動翻訳の品質確認として「ネイティブチェック」が依頼されることがありますが、その作業範囲は明確にしておく必要があります。ネイティブチェックという言葉は、一般的には、その言語を母語とする人が文章の自然さや読みやすさを確認する作業を指すことが多いものの、作業範囲が厳密に統一された名称ではありません。

 

例えば、英語の文章を自然な表現に修正できたとしても、日本語の原文と照合していなければ、誤訳や訳抜けを十分に検出できない場合があります。特に、技術仕様、法令・規約、安全上の注意、注文・契約に関わる説明などは、文章の自然さだけでなく、原文の意味が正確に伝わっているかが重要です。

そのため、翻訳会社に品質チェックを依頼する際には、以下を区別するとよいでしょう。

確認方法 主な目的
訳文のみのネイティブチェック 自然さ、文法、読みやすさの確認
原文照合を含む翻訳レビュー 誤訳、訳抜け、意味の相違などの確認
用語・表記チェック 専門用語や企業固有の表現の統一
ウェブサイト上の表示確認 文脈、ボタン、レイアウトなどの確認

また、機械翻訳の結果を人が修正する工程には、「ポストエディット」という考え方があります。国際規格ISO 18587:2017では、機械翻訳出力に対する人間のフルポストエディット工程や担当者の能力に関する要求事項が定められています。ただし、この規格はウェブサイトの自動翻訳ツール自体の機能要件を定めたものではありません。

 

翻訳品質の管理では、何を、どの程度、どのような基準で確認するかを事前に決めておくことが重要です。

参考:ISO 18587:2017 — Translation services — Post-editing of machine translation output

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8. すべてのページを同じ品質基準で管理する必要はない

翻訳品質の維持に必要なコストを抑えるには、すべてのページを同じ方法で翻訳・チェックするのではなく、コンテンツの重要度によって対応を変えることも有効です。例えば、次のような使い分けが考えられます。

ページの種類 品質管理の方針例
企業概要・主要サービス 自動翻訳+人によるレビュー
主力製品・重要な営業ページ 専門用語を確認し、原文との照合を実施
注文・問い合わせフォーム 入力項目、操作案内、エラー表示まで確認
規約・安全上の注意 専門知識を持つ担当者による確認
ニュース・お知らせ 内容の重要度に応じてレビュー範囲を決定
一般的なブログ記事 自動翻訳中心の運用も検討

もちろん、これらは一例であり、実際の運用はサイトの目的や扱う情報のリスクによって異なります。例えば、更新頻度の高いニュースページをすべて専門家が確認すると、多額のコストが発生する可能性があります。一方、契約条件や安全上の注意については、更新頻度が低くても、誤訳が生じた場合の影響が大きいため、慎重な確認が必要です。

 

ツールを選ぶ際にも、ページ単位やディレクトリ単位で翻訳方式やレビュー方針を設定できるかを確認するとよいでしょう。重要なページは人が確認し、それ以外のページは自動翻訳を中心に運用するなど、メリハリのある品質管理が可能になります。

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9. 多言語SEOへの対応と翻訳品質は別の評価軸

ウェブサイトの多言語化では、SEOへの対応も重要です。例えば、Googleは、多言語サイトについて、言語別のURLやhreflangなどを用いて各言語のページを適切に管理する方法を案内しています。

ただし、多言語SEOに対応しているツールだからといって、翻訳された文章の品質が保証されるわけではありません。検索エンジンが多言語ページを認識できることと、そのページの内容が正確で、利用者にとってわかりやすいことは別の問題です。

 

また、Googleのスパムポリシーでは、検索順位の操作を主目的として、利用者にほとんど価値のないコンテンツを大量生成する行為が問題とされています。自動翻訳を使用すること自体が禁止されているわけではありません。

 

そのため、多言語サイトでは、検索エンジン向けの技術的な設定と、実際の利用者に提供する情報の品質を、それぞれ確認することが大切です。特に、製品名、専門用語、問い合わせにつながる重要な説明などは、自動翻訳の結果を適切に管理しておくことが望まれます。

参考:
・Google検索セントラル:多地域、多言語サイトの管理
・Google検索セントラル:スパムに関するポリシー

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10. ツールの利用料金ではなく「総運用コスト」で比較する

自動翻訳ツールの選定では、利用料金が重要な判断材料になります。しかし、月額料金だけで比較すると、導入後の運用コストを見落とす可能性があります。多言語サイトの運用では、ツールの初期導入費・月額利用料のほか、用語集や翻訳ルールの整備費用、初回翻訳の品質チェック費用、修正データの反映作業、サイト更新時の翻訳確認、社内担当者による管理・調整、制作会社や翻訳会社への外部委託費用といった費用が発生します。

 

例えば、2つのツールを次の条件で比較してみます。

項目 ツールA ツールB
月額利用料 20,000円 50,000円
月間の管理作業時間 20時間 5時間
管理作業の時間単価 4,000円 4,000円
月間の管理人件費 80,000円 20,000円
月間総コスト 100,000円 70,000円
年間総コスト 120万円 84万円

※上記は考え方を示すための仮定に基づく試算であり、特定製品の料金や実際の削減効果を示すものではありません。初期導入費や外注レビュー費などは含めていません。

 

この例では、ツールBの利用料金はツールAより月額3万円高いものの、管理作業が少ないため、年間の総コストは36万円低くなります。3年間、同じ条件で運用した場合、差額は108万円になります。

 

もちろん、管理機能が充実したツールを選べば、必ず作業時間が削減されるというわけではありません。しかし、ツールの機能によって管理作業の効率が変わるのであれば、月額料金だけでは適切な比較ができません。さらに、翻訳対象の語数、対応言語数、更新頻度、再翻訳時の従量料金、外部委託費なども考慮する必要があります。

 

導入コストだけでなく、数年間の運用を見据え、社内人件費や外部委託費まで含めて比較することが重要です。

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11. 翻訳資産を将来も活用できるか

もう一つ検討しておきたいのが、ツールを変更する際のデータの取り扱いです。多言語サイトを長期間運用すると、用語集、修正済み訳文、翻訳メモリなどが蓄積されます。これらは、企業にとって重要な翻訳資産です。しかし、ツールによっては、蓄積されたデータを十分に取り出せなかったり、他のサービスで再利用しにくい形式になっていたりする可能性があります。

将来のツール変更に備えて確認したいこと

  • 修正済みの翻訳データを一括出力できるか
  • 用語集や翻訳メモリを取り出せるか
  • CSV、XLIFF、TMXなどの形式に対応しているか
  • 原文と訳文の対応関係を維持できるか
  • 解約後のデータ取得条件や保存期間はどうなっているか

自動翻訳ツールは、導入時点の機能だけでなく、数年後の拡張や変更にも対応できることが望まれます。翻訳品質を高めるために蓄積してきた資産を、将来も継続して活用できるかは、長期的な運用コストを考えるうえで重要な視点です。

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12. セキュリティと翻訳対象の管理も忘れずに

ウェブサイトには、一般公開されているページだけでなく、ログイン後の画面、会員情報、注文情報などが含まれる場合があります。自動翻訳ツールを導入する際には、どのコンテンツが翻訳サービスに送信されるのか、データがどのように処理・保存されるのかを確認する必要があります。特に、個人情報や機密情報を扱うページでは注意が必要です。

確認したい項目

  • 翻訳対象となるページや項目を指定・除外できるか
  • 個人情報や機密情報が外部サービスに送信されるか
  • 翻訳データがどこに保存されるか
  • データがAIモデルの学習に利用されるか
  • 翻訳管理画面のアクセス権限を制御できるか
  • 外部翻訳会社と安全にデータを共有できるか

こうした点は、翻訳品質とは別の問題ですが、企業サイトの運用では欠かせない検討事項です。また、翻訳会社に外部チェックを依頼する場合にも、必要なデータだけを適切な方法で共有できる環境が望まれます。

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13. ウェブ制作会社と翻訳会社、それぞれの視点が必要

ウェブサイトの多言語化では、ウェブ制作会社がツールの選定や導入を担当することもあります。制作会社にとっては、既存サイトとの互換性、導入の容易さ、表示速度、SEO、システム保守などが重要な検討項目です。一方、翻訳品質を維持する観点では、用語の統一、翻訳資産の再利用、一括修正、品質確認のワークフローなどが重要になります。

 

いずれも多言語サイトの運営に欠かせない要素ですが、求められる専門知識は異なります。そのため、ツールを導入する際には、制作会社だけでなく、実際のサイト運用担当者や、必要に応じて翻訳会社も検討に参加するとよいでしょう。特に、外部の翻訳会社にチェックを依頼する可能性がある場合には、データの受け渡しや修正の反映方法を、導入前に確認しておくことが重要です。

導入後に作業環境の制約が判明すると、想定外の手作業が発生したり、運用方法そのものを見直す必要が生じたりすることがあります。

 

翻訳会社が導入前の段階から関与することで、翻訳精度だけでなく、長期的な品質管理のしやすさについても検討できます。

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14. 導入前に確認したい10のチェックポイント

ここまで説明した内容を踏まえ、ウェブサイトの多言語自動翻訳ツールを選ぶ際には、次の10項目を確認することをおすすめします。

No. チェック項目 確認する内容
1 用語集の一括登録 大量の用語をまとめて登録・変更できるか
2 用語集の適用範囲 既存訳、修正訳、新規訳にどう反映されるか
3 翻訳メモリ 過去の修正訳を保存・検索・再利用できるか
4 翻訳データの一括処理 外部で修正し、一括して反映できるか
5 ブラウザ上の編集 実際のページを確認しながら修正できるか
6 更新時の品質管理 原文変更の検出、修正訳の保護、再確認ができるか
7 レビュー・承認 担当者や外部翻訳会社と確認状況を管理できるか
8 翻訳資産の持ち出し 用語集や訳文を将来も再利用できるか
9 セキュリティ 翻訳対象やデータ送信・保存を制御できるか
10 総運用コスト 利用料金だけでなく、人件費や外注費まで比較したか

すべてのサイトに、これらの機能が必ず必要というわけではありません。ページ数が少なく、更新頻度も低いサイトでは、シンプルなツールでも十分な場合があります。一方、多数の言語を扱うサイトや、製品・サービス情報を頻繁に更新するサイトでは、翻訳の一括管理や再利用機能の重要性が高くなります。

導入前には、実際のウェブサイトの一部を使って、用語登録、翻訳修正、原文更新、一括出力・再取り込みといった一連の作業を試してみるとよいでしょう。

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まとめ:自動翻訳ツールは「翻訳する機能」だけで選ばない

ウェブサイトの自動翻訳ツールは、多言語展開のハードルを下げる有効な手段です。しかし、自動翻訳によって最初の訳文を生成することと、その訳文の品質を長期的に維持することは、別の課題です。

 

特に企業サイトを継続的に更新する場合には、用語集、翻訳メモリ、一括編集、変更履歴、承認フローなどの管理機能が、運用効率に大きく関係します。さらに、社内の作業時間、外部翻訳会社への委託費、将来のツール変更時のデータ移行なども考慮する必要があります。

 

  • 自動翻訳ツールを選ぶ際に重要なのは、最初の翻訳をどれだけ安く生成できるかだけでなく、その後の修正・更新・品質管理をどれだけ効率的に続けられるかという視点です
  • 翻訳品質を維持しやすい仕組みを整えることは、単に誤訳を減らすためだけでなく、長期的な運用コストの削減にもつながる可能性があります
  • これからウェブサイトの多言語化を検討する企業は、ツールの機能や利用料金に加えて、導入後の品質管理まで含めて比較することをおすすめします

 

ウェブサイトの自動翻訳・品質管理についてのご相談

WIPジャパンでは、ウェブサイトの多言語化に関する翻訳・レビューサービスを提供しています。自動翻訳された文章の品質確認、専門用語や企業固有の表現の統一、ネイティブチェック、原文照合を含む翻訳レビューなど、多言語サイトの品質管理についてご相談いただけます。

すでに自動翻訳ツールを導入されている場合にも、翻訳データの取り扱いや修正方法を確認し、対応可能な作業方法をご提案します。ウェブサイトの多言語自動翻訳を検討する際には、導入後の品質維持や運用コストも含めて、ぜひご相談ください。

 

参考資料
・Weglot「翻訳ルールの管理」https://support.weglot.com/article/130-translations-exceptions
・Lokalise「Translation memory」https://docs.lokalise.com/en/articles/1409589-translation-memory
・Weglot「翻訳データのインポート・エクスポート」https://support.weglot.com/article/206-can-i-export-my-translations
・ISO「ISO 18587:2017 — Translation services — Post-editing of machine translation output」https://www.iso.org/standard/62970.html
・Google検索セントラル「多地域、多言語サイトの管理」https://developers.google.com/search/docs/specialty/international/managing-multi-regional-sites?hl=ja
・Google検索セントラル「スパムに関するポリシー」https://developers.google.com/search/docs/essentials/spam-policies
※各ツールの機能・仕様は変更される場合があります。最新情報は各社の公式ヘルプ・公式資料でご確認ください。