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なぜ、日本ではサービスが「ガラパゴス」化するのか?ThreadsとWhatsAppに見る世界とのズレ

作成者: WIP japan|Jun. 21, 2025

 

「あれ、このアプリ、最近見ないな…」
「なんで海外ではこれが当たり前なのに、日本では違うんだろう?」

そんな風に感じたことはありませんか?ローンチ当初は大きな話題になったThreads(スレッズ)が日本では静かになったり、世界中で20億人以上が使うWhatsAppが日本ではほとんど普及していなかったり。


これらはまさに、日本市場がしばしば陥る「ガラパゴス現象」の典型例です。鎖国時代のガラパゴス諸島で独自の進化を遂げた生物のように、日本の製品やサービスが独自の進化を遂げ、結果として世界のトレンドから隔絶されてしまう現象を指します。

「島国だから」「言語の壁があるから」だけでは説明しきれない、この「世界との微妙なズレ」はなぜ生まれるのでしょうか?

この記事では、ThreadsとWhatsAppを具体例に挙げながら、その根底にある理由を深掘りし、グローバルビジネスを展開する日本企業がどう向き合うべきかを考察します。

「ガラパゴス」の象徴:ThreadsとWhatsAppの日本と世界のギャップ

まずは、私たちが日々目にしているこのズレの具体例を見てみましょう。

  • Threads(スレッズ):期待と現実のギャップ
    X(旧Twitter)の対抗馬としてMetaが鳴り物入りでローンチしたThreadsは、2023年7月のサービス開始直後、わずか数日で1億人以上のユーザーを獲得しました。日本でも「Twitterの代わりになるか?」と大きな話題になりましたが、その勢いは続かず、「もう使ってない」という声も多く聞かれます。

    しかし、世界に目を向ければ、Threadsは着実にユーザー数を伸ばし、2024年末には月間アクティブユーザー数が2.75億人を超えるなど、Metaのエコシステム内で堅調に成長を続けています。特にインド、米国、ブラジルなどでは、Xの強力な代替プラットフォームとして機能し始めています。日本では「一時的なブームで終わった」という印象が強いかもしれませんが、世界ではそうではありません。

  • WhatsApp:世界標準と日本の特殊性
    WhatsAppは、Metaが所有する無料メッセージングアプリで、世界中で20億人以上が利用しています。インド、ブラジル、インドネシア、中南米、欧州、アフリカなど、実に100カ国以上で主要なコミュニケーションツールとして定着しており、ビジネスからプライベートまで幅広く使われています。

    一方で日本では、圧倒的にLINEが主流です。これは、東日本大震災後の連絡手段としてLINEが先行者優位を確立し、スタンプやニュース、決済などの多機能化で日本市場のニーズに特化してきた結果です。WhatsAppが「シンプルで広告なし、高プライバシー保護」という世界標準を貫く中で、日本は独自の進化を遂げ、結果的に世界で最も使われているメッセージングアプリとの間で大きな溝が生まれてしまったのです。

なぜ日本のサービスは「ガラパゴス」化するのか?

島国であることや言語の壁も確かに大きな要因ですが、それ以外にも、日本の市場と文化に深く根差した複雑な理由があります。

高度に均質化された市場と「完璧主義」

  1. 日本は非常に均質な市場であり、企業は「国民的ヒット」を目指し、細部まで徹底的に作り込む傾向があります。この「完璧主義」や「過剰な機能追求(オーバースペック化)」は、消費者にとっては非常に喜ばしいものです。しかし、海外市場に展開する際には、その過剰な機能が「コスト増」や「ニーズとのズレ」となり、結果的にグローバル展開の足かせとなります。

    消費者の「安心・安全・利便性」への強い志向

    日本の消費者は、既に使い慣れた、信頼できるサービスへの「安心感」や、きめ細やかな「利便性」「安全性」を強く求めます。 例えば、LINEが日本のユーザーにとって十分便利で安心な存在であるため、たとえ世界標準のWhatsAppでも、わざわざ乗り換える必要性を感じにくいのです。新しいサービスへの乗り換えには慎重で、周囲が使っていないと不安を感じる傾向も、海外サービスの普及を阻む要因となります。

    「内向き」になりがちな企業文化と意思決定のスピード

    多くの日本企業は、依然として国内市場を最優先し、海外市場を「別のもの」と捉える傾向があります。国内市場が十分大きいがゆえに、グローバル市場への積極的な投資や、現地のニーズに合わせた柔軟な意思決定が遅れがちです。世界が猛スピードで変化し、次々と新しいサービスが生まれる中で、この意思決定のスピードの差は致命的になることがあります。

    ガラパゴス化を乗り越え、世界と繋がるために

ThreadsやWhatsAppの事例は、日本の「ガラパゴス現象」が、決して他人事ではないことを示しています。しかし、これは単なる日本の「弱点」ではありません。

  • 日本で磨かれた品質やきめ細やかさは、間違いなく世界に通用する強みです。
  • 独自の文化から生まれたアニメや漫画、VTuberといったコンテンツは、世界中で熱狂的なファンを生み出しています。

重要なのは、この日本市場の特性を理解した上で、「どこを強みとして維持し、どこをグローバル標準に合わせるか」を戦略的に見極めることです。

当社は、まさにこの「世界とのズレ」を埋めるための支援をしています。WhatsAppのような世界標準ツールを使いこなすための戦略、AI翻訳を駆使した多言語コミュニケーションの最適化、そして日本の強みを世界に伝えるためのローカライズなど、多角的なアプローチで貴社のグローバルビジネスをサポートいたします。

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