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リサーチテクノロジー:AIに「海外調査」はできるのか?AI+人間のハイブリット手法、世界のリサーチ市場

作成者: WIPジャパン株式会社|Dec. 29, 2025


「α世代に今流行っているスイーツ」 そう
AIに尋ねれば、数秒もかからず答えを得られる時代になりました。しかし、その回答をそのまま信じて投資を決断できるでしょうか?

 

2025年は、「スピード」と、AIの死角を補う「エビデンス力」が統合され、AIのかつてない精度が実現された年でした。リサーチ手法のハイブリッド化が進み、EUAI法(EU AI Act)をはじめとするコンプライアンス環境の厳格化が特徴的でした。今回は、AIが海外調査をどう変えるのか、世界の動向も見つつ、その裏側を覗いてみましょう。

目次  

1.地域別特徴
2.進化したリサーチの「スピード」
3. AI時代だからこそ価値が上がる人間による「情報の質と根拠」
4. 今後の展望:AIが「聞き手」になり、人間が「意思決定」を支える
まとめ

 

1.地域別特徴

「リサーチテクノロジー」と言っても、地域ごとにその進化は様々です。

 

アメリカ

AIのベンチャーキャピタルが世界で最も多く、ResTech(リサーチテクノロジー)への投資が活発。リサーチ手法において、従来のフルサービスからAIを用いたハイブリットサービスへの転換が目立ちます。

 

欧州

2025年はEU AI法が本格的に段階的適用を開始し、企業には『透明性』や「リスク管理」の具体的な遵守が求められる元年となりました。GDPREU一般データ保護規則)による厳格なプライバシー規制の影響もあり、データガバナンスを重視した、透明性の高いリサーチテクノロジーの開発が進められています。

 

アジア

モバイルファーストの消費者が多く、SNSやモバイルエスノグラフィ(スマートフォンを用いて日常生活を記録)を活用したリサーチが増えている。インド等の言語や文化の多様性が高い国では、AI翻訳機能の活躍が期待される。

2.進化したリサーチの「スピード」

  1. AIツールの進化により、リサーチの目的を入力するだけで、スクリーニングや本調査の設問から調査票のドラフト作成までが数秒で可能となりました。AIのアンケートのチャットボットとしての活用は、いつでもどこでも+スピーディな対応を実現しました。総じて、AIがリサーチに最も大きく寄与したのは「スピード」であるといえるかもしれませんが、AIが寄与したのは作成力や応答のスピードだけではありません。以下が多方面のスピードに寄与するAIの特徴です。

 

自然言語処理(NLP)+感情分析(Sentiment Analysis)

バイアスのない表現や国・地域ごとの文化感情は注意すべき点であり、AIが数秒で作成しようと、人によるチェックは不可避です。人によるチェックの前に、自然言語処理(NLP)に感情分析(Sentiment Analysis)を統合させたAIを挟むことにより、作業負担を減らすことができます。

 

また、ライブチャットで数百人の参加者と同時セッションを行い、AIがリアルタイムで回答を分析・セグメント化する試みも行われています。これにより、定性調査でありながら定量的な規模感を確保できます。収集されたデータは短時間でAIが解析し、行動パターンや感情を可視化します。

 

リアルタイムAI

リアルタイムAIで昨今特に注目されているのが、SNSのリアルタイムデータに直結したAIです。代表的なものにはGrokがあります。従来の海外調査は、「まず現地の対象者を募集」「その後一定期間かけてアンケートを回収」という世界でした。しかし、リアルタイムAIは、世界中の「今」のつぶやきを数秒で解析します。例えば、「B国で特定のアパレルブランドのネガティブな噂が広まり始めた」といった細やかな予兆を、最速で検知します。リアルタイムAIは、「最速で街の声を拾い上げるセンサー」ともいえるでしょう。

 

一方、SNSを活用したリアルタイムAIは「拡散スピード」には強いですが、botによる投稿や、特定層の偏り(バイアス)が含まれる点は、注意すべきです。

 

アカデミックリサーチ

SNSのトレンド」だけでは、ビジネスの土台としてはあまりにも不十分です。SNSで話題になっている現象が、一時的なブーム(Fad)なのか、それともその国の人口統計や経済状況に根ざした構造的な変化(Trend)なのかを検証する必要があります。とりわけ、「因果関係の特定(なぜそうなっているか)」については、人が統計データや歴史的背景から解釈することが不可欠です。

学術論文や公的機関の統計をベースとした「アカデミックリサーチ」の重要性が増していますが、この分野でもデータ検証を得意とするAIが力強いサポートとなります。

 

3. AI時代だからこそ価値が上がる人間による「情報の質と根拠」

  1. AIの進化が目覚ましい一方、AIが万能になればなるほど、ビジネスの勝敗を分けるのは「情報の質と根拠」であるといえます。AIは時に「もっともらしい嘘(ハルシネーション)」をつきます。データ分析においても、人による「エビデンス」の裏付けは必須です。特に現地の法規制や、人間が肌で感じている微妙なニュアンスについて、AIの回答を鵜呑みにするのは、あまりにハイリスクといえるでしょう。

 

そこで重要になるのが、公的な統計データや信頼できる文献を徹底的に突き合わせ、現地の専門家や人間のリアルな視点を通した「多層的な検証プロセス」です。今後、EUのプライバシー規制や透明性に対する厳格化は、世界中に拡大していくと考えられます。

 

4. 今後の展望:AIが「聞き手」になり、人間が「意思決定」を支える

これからの海外調査はどう変わっていくのでしょうか? キーワードは「高速の反復(イテレーション)」かもしれません。

  • AI:リアルタイムな流行や予兆の検知、リサーチの調査票ドラフト等の作成、チャットボットによる応対
  • 人間:SNSデータやチャットボットの回答に対する検証、および統計、論文、公的文書による論理的裏付け。AIが出した謎(例:なぜかこの地域だけ反応が悪い)に対し、現地の文化に精通したリサーチ担当が、数値化できない文化的な背景をヒアリングで特定。

 

リサーチは「大イベント」から、ビジネスの隣で常にPDCAを回し続ける「伴走者」へと変わりつつあるともいえるでしょう。

 

まとめ

実は最新ツールを使いこなしている人ほど、AIが出した結果に対して「それは、どの信頼できるソースに基づいているのか?」という泥臭い裏付け(エビデンス・チェック)に、あえて時間と情熱を注ぎます。それこそが、AI時代のビジネスの差別化に繋がるからです。

 

WIPジャパンが提供しているのは、単なる「翻訳」でも「データ収集」でもありません。最新テクノロジーがもたらす「速さ」と、世界400都市のネットワークが届ける「現地の生の声」。とりわけ、ビジネスの根幹を支える「盤石な裏付け」を統合したインテリジェンスです。

 

AIツールをどう使い分ければいいか、どのデータが信頼できるのか。海外調査の戦略立案から、具体的なエビデンスチェックまで、WIPジャパンが貴社のパートナーとして伴走できたら幸いです。