海外展開を検討するとき、商品名やサービス名をそのまま海外で使用できるとは限りません。
日本では問題のない名称でも、現地の言語では別の意味に聞こえたり、ネガティブな言葉やスラングを連想させたりする場合があります。また、同一または類似する名称が現地で商標登録されている可能性もあります。
そのため、海外で使用するネーミング候補を決定する前には、現地語・文化面からのチェックや、必要に応じたネイティブへのイメージ調査、商標調査などを行うことが重要です。
では、海外ネーミング調査にはどの程度の費用がかかるのでしょうか。
本記事では、海外ネーミング調査の費用相場を、調査内容や対象国数、候補名の数など、費用を左右する項目から解説します。
【結論】海外ネーミング調査の費用は、何をどこまで確認するかによって大きく変わります。
単純な現地語チェックだけなら比較的抑えられますが、ネイティブによるスラング・文化面の確認、複数候補のイメージ調査、複数国での比較、商標調査まで行うと費用は上がります。
公開されている料金例では、海外ネーミング調査について1カ国15万円程度からとされている例があります。一方、一般的なネーミング調査では、ネットリサーチを利用した調査について30万円~100万円程度という料金目安も示されています。
ただし、これらはあくまで公開料金の一例であり、「海外ネーミング調査は必ず○万円」という統一された市場価格があるわけではありません。
1.海外ネーミング調査とは?
海外ネーミング調査とは、海外で使用する商品名・サービス名・ブランド名などについて、現地の言語や文化の観点から問題がないかを確認する調査です。
例えば、現地のネイティブスピーカーに候補名を見てもらい、ネガティブな意味やスラングを連想しないか、発音しにくくないか、どのような印象を持つかなどを確認します。
必要に応じてアンケート形式で複数の候補名を比較し、どの名称がより好意的に受け止められるのかを数値化することもあります。
また、ネーミング調査と商標調査は関連しますが、確認している内容は異なります。現地で悪い意味を持たないことと、商標として使用・登録できることは同じではありません。
2.海外ネーミング調査の費用相場はどのくらい?
海外ネーミング調査の費用は、調査方法によって大きく変わります。
| 調査内容 | 費用の目安 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 現地語・スラングの簡易チェック | 数万円~ | ネガティブな意味、スラング、別の連想などを確認 |
| ネイティブによるイメージ調査 | 十数万円~ | 候補名を現地ネイティブに提示し、印象や連想を確認 |
| アンケート型のネーミング調査 | 数十万円~ | 複数候補を対象者に評価してもらい、結果を集計・分析 |
| 海外商標の簡易調査 | 1万円程度~/国・区分 | 対象国で同一・類似する商標の有無を確認 |
この表は、各種サービスの公開料金などを参考にした大まかな目安です。実際には、対象国、調査対象言語、候補数、対象者数、調査方法、レポート内容などによって料金が変わります。
特に注意したいのは、「ネーミング調査」と「ネーミング開発」は別のサービスであるという点です。
ネーミング開発は、商品やブランドのコンセプトを踏まえて名称そのものを考案する作業です。一方、ネーミング調査は、すでに絞り込んだ候補名について、海外で使用するうえで問題がないか、どの候補が受け入れられやすいかなどを確認する作業です。
3.費用を左右する最大のポイントは「何カ国・何言語を調べるか」
海外ネーミング調査では、調査対象となる国・地域・言語の数が費用に大きく影響します。
例えば、米国だけを対象に英語で調査する場合と、米国・英国・フランス・ドイツ・中国など複数国を対象とする場合では、必要となるネイティブスタッフや調査工程が異なります。
また、同じ「英語圏」であっても、国や地域によって表現や文化的背景が異なる場合があります。そのため、「英語だから1回調べれば世界中で問題ない」とは限りません。
海外展開先がある程度決まっている場合は、実際に使用する予定の国・地域に絞って調査することで、調査範囲を必要以上に広げずに済む場合があります。
4.候補名の数が増えるほど費用も上がりやすい
調査する候補名の数も、費用を左右する重要な項目です。
例えば、最終候補を3案程度に絞って確認する場合と、20案、30案を一度に比較する場合では、調査・集計・分析に必要な工数が異なります。
そのため、海外ネーミング調査を依頼するときは、候補名をできるだけ早い段階で絞り込んでおくことが費用を抑えるポイントになります。
特に、現地ネイティブへのイメージ調査を行う場合には、「大量の候補を調べてから最終案を決める」のではなく、日本国内で候補を絞り、その後に海外で確認するという進め方も考えられます。
5.「スラングチェック」だけなら、アンケート調査より費用を抑えやすい
すべてのケースで大規模なアンケート調査を行う必要があるわけではありません。
例えば、「この候補名が現地語で悪い意味にならないか」「卑猥な言葉や差別的な表現を連想しないか」「現地で別の商品やサービスを想起させないか」といったリスク確認が目的であれば、ネイティブスタッフによるスラング・言語チェックが適している場合があります。
WIPジャパンでも、現地ネイティブスタッフを通じて、候補名のネガティブな意味やスラング、現地でのイメージなどを確認する海外ネーミング調査を提供しています。
一方、「A案とB案のどちらが好まれるか」「どの名前が商品のイメージに合っているか」といった比較まで行いたい場合には、対象者へのアンケートなど、より調査規模の大きい方法が適しています。
6.商標調査の費用は、ネーミング調査とは別に考える
海外でネーミングを使用する場合、商標についても確認が必要になることがあります。
ここで注意したいのが、ネイティブによる言語・イメージ調査を行ったからといって、商標上問題がないとは限らないということです。
反対に、商標検索で問題が見つからなかったとしても、現地の消費者にとってネガティブな意味を持たないとは限りません。
つまり、海外ネーミングでは、少なくとも次の2つを分けて考える必要があります。
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言語・文化面の確認:現地語の意味、スラング、発音、連想、文化的なイメージなどを確認する。
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商標面の確認:対象国・対象区分で同一・類似する商標が存在しないかを確認する。
特許庁はJ-PlatPatを使った商標検索方法を案内しており、国内商標については自社でも一定の検索ができます。一方、海外商標については、対象国の制度や検索方法が異なるため、専門家への依頼が必要になるケースもあります。
7.海外ネーミング調査で費用が高くなりやすいケース
同じ「ネーミング調査」でも、次のような条件になると費用は上がりやすくなります。
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複数の国・地域を対象にする
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複数の言語で確認する
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調査候補が多数ある
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一般消費者へのアンケート調査を行う
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特定の年齢層・職業・所得層などに対象者を限定する
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調査結果の詳細な分析や戦略提案まで依頼する
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商標調査や現地専門家による評価まで含める
特に対象者を限定したアンケート調査では、対象者を集める難易度によって費用が変わることがあります。
8.費用を抑えるには「何を知りたいか」を先に決める
ネーミング調査の費用を抑えたい場合、単純に調査項目を減らすよりも、調査の目的を明確にすることが重要です。
例えば、最終候補の名称が現地語で問題ないかを確認したいだけであれば、ネイティブによる言語・スラングチェックが適しています。
一方、候補名の中から消費者に最も好まれる名称を選びたいのであれば、アンケートによるイメージ調査を検討します。
さらに、海外で長期的にブランド展開する予定であれば、言語・文化面の調査に加えて商標面の確認も必要になる可能性があります。
つまり、「できるだけ安く調べる」のではなく、「どのリスクを確認したいのか」を整理してから調査方法を選ぶことが、結果的に無駄な費用を抑えることにつながります。
9.見積もりを取るときに伝えておきたい項目
海外ネーミング調査を依頼する際は、次の情報をあらかじめ整理しておくと、調査会社から具体的な見積もりを受けやすくなります。
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対象国・地域:どの国で使用する予定なのか。
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対象言語:現地語だけでなく英語なども確認する必要があるか。
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候補名の数:何案を調査するのか。
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確認したい内容:スラング、ネガティブイメージ、発音、好感度、商品との適合性など。
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対象者:一般消費者なのか、特定のターゲット層なのか。
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商標調査:商標チェックまで一緒に依頼するのか、別途専門家に依頼するのか。
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納品物:簡易コメントでよいのか、数値化された調査結果やレポートが必要なのか。
この条件が曖昧なまま「ネーミング調査はいくらですか」と問い合わせると、調査会社側でも必要な工程を判断しにくくなります。
まとめ:海外ネーミング調査は、調査範囲によって費用が大きく変わる
海外ネーミング調査の費用は、対象国・言語、候補名の数、調査対象者、調査方法、レポート内容などによって変わります。
現地語の意味やスラングを確認する簡易的な調査であれば比較的費用を抑えやすい一方、ネイティブへのアンケートによるイメージ調査や、複数国での調査、商標調査まで含めると費用は大きくなります。
また、ネーミング調査と商標調査は目的が異なるため、「現地で悪い意味がない」ことと「商標として使用できる」ことを分けて確認することが重要です。
海外展開する商品・サービスの名称を検討する際は、最終候補をある程度絞ったうえで、対象市場に合わせて必要な調査だけを組み合わせることで、費用と調査精度のバランスを取りやすくなります。
海外ネーミング調査をご検討の方へ
WIPジャパンでは、海外で使用する商品名・サービス名などについて、現地ネイティブスタッフによるスラング調査やイメージ調査を行っています。
「候補名が現地語でネガティブな意味にならないか確認したい」「複数の候補名を現地消費者に評価してもらいたい」など、目的に応じて調査方法を検討することができます。
対象国・言語・候補数などによって費用は異なるため、まず調査したい内容を整理したうえでご相談ください。