通訳・翻訳ジャーナル2008年夏号
翻訳会社に訊く
中国語市場は高め安定。
日本人翻訳者のクオリティで
現地の翻訳会社との差別化を目指す
お話
WIP ジャパン(株)
営業統括部 クライアント担当 福角和憲さん
Partner Relations Manager 吉田綾子さん
■ 中国語は定着。ロシア語も盛り上がりが
1995年の創業当時より、多言語展開を行っていることでも知られるWIPジャパン。現在は世界各国の139言語を扱い、翻訳にとどまらず通訳や海外の市場調査などでも高い実績を残している。「言語を通じて日本と海外の橋渡しをしたい、それに付随するのは何でもやろうという理念で発足した会社ですので、取扱言語はどんどん増え、業務も多岐にわたっています」と営業統括部の福角さんは言う。
登録翻訳者は約6500人で、全世界にネットワークを持っているのも強みだ。和文外国語訳、外国語和訳だけではなく、外国語から外国語への翻訳にも対応。登録翻訳者の大半は英語だが、その他ドイツ語やフランス語、中国語や韓国語も比較的多い。「登録翻訳者の人数分布は実際の翻訳需要と同じ傾向だと思います」とPartner
Relations Managerの吉田さんが言うように、受注案件数では英語、ドイツ語、中国語が堅調に推移している。英語以外の言語、特にBRICs言語の翻訳需要はどうなのか?
「中国語は別格ですが、昨今増えていると感じるのはロシア語です。また、BRICsには入りませんがアラビア語も近頃引き合いが多い言語のひとつです」(福角さん)
ロシア語ではプラントや建築・土木関係の翻訳案件が多数あり、アラビア語はドバイを中心に日本の建設会社経由の依頼が急増。またBRICsでいうと、ポルトガル語やヒンドゥー語などのインドの言語については、登録翻訳者はいるものの翻訳案件としては少ない。ブラジルやインドに関わるビジネスから派生した翻訳は、英語の文書が多いのが現状だ。
一方、中国語に関しては「いま注目の言語というよりもすっかり定着している感がある」と福角さんが言うように、安定した翻訳需要がある。マニュアル、法律・契約関係など翻訳文書も多岐に渡り、日→中、中→日ともにニーズがある。日本人に加え日本語を勉強した中国人翻訳者も多いため、日中翻訳者の層は厚く、レベルも高い。
「中国語翻訳者に関しては法律が得意、ITに強いなど専門性を持つ方も多い。そのため、単に中国語で翻訳ができますというだけの方には依頼がしにくくなってきました。専門分野で細分化されつつあるという面では、英語翻訳者の状況に近づいてきていると感じます」
その背景には、中国の翻訳会社の台頭による競争の激化も関係する。同社では、できる限り専門知識を持った日中翻訳者をアサインすることでクオリティを高め、現地の翻訳会社との差別化を図っている。
■ 専門・得意分野も必要に
139もの言語に対応する同社では、稀少言語を扱う日本人翻訳者も多数登録している。
「英語以外の言語の翻訳者の方には、言語への興味から出発する方と就労経験から言語の勉強を始める方がいると思います。特殊言語の場合、その言語に興味をもち極めていれば翻訳者としても十分強みになると思います」(福角さん)
一方、就労経験から出発した人は、その分野で精通していることが武器となる。
「本当にできる人の少ない言語なら別ですが、ドイツ語や中国語などある程度翻訳者がいる言語では得意分野がある方がベターです。就業経験があればその知識をアピールしていただくと、お仕事のチャンスは拡大すると思います」(吉田さん)
言語が何であれ、語学力に加えて翻訳者に求められる資質――理解力・表現力・専門分野――というのは変わらない。すべてを網羅する人材がベストではあるが、「向上心を持って翻訳に真摯に向き合う方、調査力のある方は伸びると思いますし、お仕事をお願いしたいと思います」と登録担当の吉田さん。
さらにベトナム語やアラビア語などアルファベットに対応していない特殊文字の場合は、言語をアウトライン化して納品するケースも多い。そういったパソコン表示に関する知識も、非英語かつ特殊文字言語の翻訳者には求められる。
WIPジャパンでは、外国語和訳で日本人翻訳者がいないものは英語を介して翻訳することもあるが、基本的にはターゲット言語のネイティブによる、ストレートな翻訳がポリシー。そのため、クライアントの多様なニーズに的確に対応するためにも、さまざまな言語、得意分野を持った日本人翻訳者を常時募集中だ。
「稀少言語であればあるほど、定期的にお仕事があるとは言い難いですが、それでもご応募いただくと必ず印象に残ります。どんな言語でも歓迎です」
<意外!?こんな言語・分野に注目>
ロシア語・アラビア語
好景気で建設ラッシュ。
インドネシア語・タイ語
現地で合弁会社を設立する際などにまとまった依頼が。
中国語のゲーム翻訳やTRADOSを使った翻訳
中国語はより専門的な案件が増加。力があれば中国語翻訳だけで食べていけるだけの仕事量が有
<COMPANY DATA>
WIPジャパン株式会社
1995年11月に大阪で創業。翻訳と通訳業務を担う言語事業部と海外の市場調査などを行う情報事業部からなる。全世界139言語に対応。翻訳ではローカライズ、メディカル、ファイナンス分野に強い。また、社内スタッフに英・仏・中・独・アラビア語のネイティブが揃うなど、社内外の豊富なリソースを駆使してクオリティの高い翻訳を提供。<東京本社>
<東京本社>
〒102-0093 東京都千代田区平河町 1-4-12 KDX平河町ビル
Tel: 03-3230-8000(代表)
<大阪本社>
〒530-0041 大阪市北区天神橋3-3-3 南森町イシカワビル
Tel: 06-4801-5710(代表)
http://japan.wipgroup.com/
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